収納について考えるとき、つい忘れてしまいがちなのが「安全性」への意識。 大事なのはどうしまうかではなく、いかに安全に取り出しやすく使いやすい環境を整えるか。住生活アドバイザー すはらひろこさんに、ものを安全に心地よく使うための収納法を伺います。安心収納のキホンを押さえ収納プランを考えていきましょう。

すはら ひろこ

すはら ひろこ

株式会社アビタ・クエスト代表。一級建築士、インテリアコーディネーターの資格を活かした整理収納アドバイスに定評がある。

https://ouchisuteki.com/

家族みんなが安全に快適に暮らす空間づくりには、子どもの目線に配慮した整理収納も大切です。ものがきちんと定位置にある片付いた空間、ものの出し入れがスムーズで使い勝手のよい空間は、一見安全そうに思えても子どもの目線で見ると思わぬ危険が潜んでいるかもしれません。ゾーンごとに収納のポイントを知って、子どももおとなも快適に暮らせる部屋づくリの参考にしてみては。

ZONE1:子どもの手が届く場所

  • 乳幼児がいるご家庭の収納について考える場合、まず最初に注意すべきは子どもが手を伸ばして届く場所。このスペースには、誤飲や怪我につながるものを収納しないようにします。収納する必要がある場合は、オープン棚を使うのを極力避け、収納家具の引き出しや扉などにはチャイルドロックを施すなど、子どもが勝手に空けないような工夫を行うことが大切です。

とくに、洗剤、漂白剤、化粧品、ルームスプレー、薬、ハサミ、カッター、工具類など子どもが触って危険なものの収納には、細心の注意が必要。背丈より上の場所でも、台や椅子の上に乗ると手が届いてしまう可能性もあるので、子どもの手が届く範囲は想像以上に広いということを認識し、充分な配慮が必要です。

反対に、玩具や子どもがよく使うアイテムを収納する場合は、オープンになった収納ボックスなど、子どもでもスムーズに取り出しやすい収納用品を活用するとよいでしょう。

ZONE2:床や廊下

  • 成長とともに子どもの行動範囲は広がり、活動は活発になっていくもの。ヨチヨチ歩きで急に転倒したり、ソファや椅子からうっかり落下したり、日常生活の中での事故の危険が増えるので、床や廊下には直接ものを置かない習慣をつけましょう。

掃除機やアイロンなど家事の道具の出しっ放しも思わぬ事故につながる可能性が。子どもが歩き回るような場所に収納するのはおすすめできません。

ZONE3:窓際

  • 窓の周辺にも、子どもにとっては危険が潜んでいます。おとなの腰の高さから上の位置に窓がある場合も油断はできません。壁にそって棚やソファといった家具を配置してしまうことがありますが、子どもが踏み台にして窓から落下するような危険も考えられます。子どもが上がったり、踏み台にするようなものを置かないように気をつけましょう。

ZONE4:ベランダ

  • ベランダにストッカーを置いて、ガーデニング用品、趣味のものなど使用頻度の少ないものの収納スペースとして活用しているご家庭があります。ベランダをうまく活用することで収納スペースは広がりますが、小さな子どもがいらっしゃるご家庭では安全性を考えて判断することが必要です。窓際と同様に、子どもが踏み台にしてベランダから落下するような事故にならないよう、注意しましょう。

ZONE5:壁面/飾り棚

  • 壁面や飾り棚を活用した見せる収納で、空間づくりをおしゃれに楽しんでいる方も多いはず。けれど、好奇心旺盛な子どもは予期せぬ場所に手を伸ばしたり、登ったりしてしまいます。子どもの安全を確保して、センスある空間づくりを実現するために、オープンラックではなくガラスの扉をつけるなどの工夫を行うことをおすすめします。

    また、扉つきの収納家具を使用するときは、指ハサミ防止グッズを活用するなどの用心をお忘れなく。

+ワンポイント!

みなさんは買い物のときに製品に表示されている認定マークを意識されていますか? マークの果たす役割はその製品が一定の品質や技術基準に適合していることを消費者に伝えること。消費者自身で製品の安全性を判断することはなかなか難しいですが、マークの意味をきちんと理解していれば、安全な製品を選ぶヒントになります。

  • 「Sマーク」 …Sマークは、電気用品安全法を補完し、電気製品の安全のための第三者認証制度。Sマーク付電気製品は、第三者認証機関によって製品試験及び工場の品質管理の調査が行われている証となります。

  • 「STマーク」 …一般社団法人 日本玩具協会の安全基準(ST基準)による、幼児用の乗り物を含むおもちゃの機械的安全性、可燃安全性、科学的安全性のサンプル検査に合格した玩具に表示が認められています。

  • 「SGマーク」 …一般財団法人 製品安全協会が、消費者の安全確保の視点から、125品目の消費生活用品ごとに定めた安全・品質についての安全基準に適合した製品に表示されています。