本多さんが一般のご家庭を訪問し、収納の悩みを解決するこの企画。今月の収納迷子さんは、先月に引き続きHOUSTO編集部 栗谷川。耳かきや爪切りなど、ダイニングまわりで使われがちなものがテーブルの上に置きっぱなしになりがち。リビングクローゼットのなかに収納場所はちゃんとあるのに、どうしてこうなるのでしょう?

本多 さおり

本多 さおり

暮らしを愛する整理収納コンサルタント。雑誌やwebなどで暮らし重視のシンプルな収納術を提案している。『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP 研究所)には物件探し&購入から家づくりの工夫まで紹介されている。また、新著書に『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)などがある。

http://hondasaori.com/

今回の収納迷子さん

HOUSTO編集部 栗谷川
・東京都在住
・2LDK 58㎡のマンション
・整理整頓苦手系の夫、3歳長女の3人家族+猫2匹

慣れている仕組みでも、実はもっとラクにできる!ラクは何より、散らかりを防ぐ近道です

栗谷川家の生活雑貨は、リビングクローゼットの中にまとまっています。耳かき、爪切り、体温計といった細かいものは、小引き出し(無印良品「ポリプロピレン小物収納ボックス6段」)を2つ重ねて小分け収納。
ただ、クローゼットはダイニングから5歩程度の距離にあり、取りに行って戻るのに10歩、戻すのにまた10歩を費やす必要が。さらには、毎回クローゼットを開けて、ちょっと奥まっている引き出しに手を伸ばして、引き出しを開けなくてはなりません。ほしいものを手にするまでの工程が多く、労力がかかるんですね。しかも少し高さがあり、開けた引き出しを上から見渡すことができません。
小引き出しの数が多いので、意識下でちょっとの「どこだっけ」も生じます。

「スッキリ見え」と、「片付けの手間」。どちらを取る?

「ここから耳かきをよく取る夫は、いつも律儀に取っては戻してくれていますが、ときおりテーブルの上に出しっぱなしになっていることも。ダイニングに小物を置かないことでスッキリして気に入っている収納システムなのですが、よりよい方法がある気もしています」と栗谷川さん。

電池や絆創膏などの日用品も、この引き出しで細かく分けています。ただ、ラベリングが過去のもので、今の収納の状態と合っていません

また、ダイニングに置かれたフタ付きバスケットの中にも、ハンドクリームやウェットティッシュといった細々した日用品が入っていました。同じような「生活でちょこちょこ出番のある小間物」でありながら、あっちに入っていたり、こっちに入っていたり。すると、取り出すときもしまうときも「どっちだっけ」と一瞬考える必要が出てきます。

本多さん「何も考えなくてもいい」がベストな収納!

よく使うものはとくに、何も考えなくてもサッと取って戻せる収納がポイント。段違いに暮らしをラクにしていけます。

一点、 “家にあるすべての”爪切りや耳かきを一か所にまとめておく必要はありません。本当に使う1軍だけを選んで戻しやすい一等地に置き、残りはストックとして違うところに保管します。
一等地にあるものは、数が少ないほど脳に負担なくサッと選び取れます。ラクなうえに、見た目もすっきりしますよ。

今回の発掘収納「オーバルの小物入れ」

家じゅうを探したところ、しまわれていたオーバルのトレイが2つ発見されました。
細かい日用品にぴったり!
省スペースかつ角のないオーバルのかご/トレイは、細かいものを取ったり戻したりしやすく収めるのにぴったり。たとえばかっちりとした長方形だとしたら、入れるものの方向がそろって重なり、下に隠れるものが出がちです。しまうときも、方向をそろえなきゃという“気遣い”が必要になります。
オーバルは、ポイッと放り込みやすく、サッと取りやすい優秀な形状なのです。

「取りやすい」「戻しやすい」収納用品と、収納場所も発掘!

一軍だけを入れたオーバルのトレイを、ダイニングテーブル横の棚に。使うところにこれだけ近ければ、取る時はもちろん戻すのもラクなので、自然と片付くようになります。今までしまっていたウェットティッシュも、小さい子のいる栗谷川家ではとくに緊急性を持って必要とされがち。そのまま置いて、サッと使えるように出しっぱなしに。

ところでこの棚、前回とりあげた「夫の小物入れ」があった場所です。
夫の動線上であるカウンター下に「夫の小物入れ」が引っ越したことで、空きスペースに日用品を置くことができました。夫婦ともに取りやすく、視覚的にもわかりやすい場所です。目線より少し高いので、栗谷川の「生活感を出しすぎたくない」「そんなにばっちり目に入れたくない」という思いにもピッタリマッチです。

ダイニングからもアクセスしやすい赤枠部分に置き場所を新設

「慣れているからそのままでいい」
でももし、ちょっとしたことでも悩みがあるなら変えてみて

「言われてみれば確かに遠いけど、しまえているから問題ない」「考えてみたら取りにくくて少しイライラするけど、まあいいや」と思うのならば、ちょっとしたことでいいので、何かを変えてみましょう。それは変化の余地がある収納ということです。

「収納の見直し」と聞くと気が重くなるかもしれませんが、なにもクローゼット丸ごとじゃなくていいのです。普段使うものの定位置を、「こうした方がいいかな?」と実験的にちょっと変えてみる。すぐにできますし、その効果は絶大です。
つい、「この収納を使いこなさなければ」と収納に着目しがちなのですが、注目すべきは人の動き。人の方に収納の仕組みを合わせるのが、見直しのポイントです。

改善後、暮らしてみての感想は……

「日用品など、目に入ると生活感が出るものは、しまい込んだ方がスッキリ見えると考えていました。けれど本多さんにわが家の収納を説明するなかで、あちこちに分かれて収められていたり、使う場所から遠くて複雑に仕組みをつくっていることに気づきました。ふたつきのバスケットは、見た目が気に入っていたから“無理をして”使っていたんだなあ……とも。蓋を開ける必要もなくサッと取れるオープン収納は暮らしをスムーズにしてくれています。忙しい毎日、そこで短縮できた時間を合計してみたら、かなり大きいと感じています」(編集部 栗谷川)

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