本多さんが一般のご家庭を訪問し、収納の悩みを解決するこの企画。今月の収納迷子さんは、先月に引き続きHOUSTO編集部 栗谷川。リビングの大きなクローゼットは、一見スッキリしているし悩みもないようで、実は「もったいない」がいっぱい!「ん?これって…」を解消したら、今日からすぐに暮らしがラクになるような可能性のカタマリでした。
目次
- ・この収納の攻略が、暮らしのラクに直結!リビングクローゼットを大改造
- ・スッキリに見えてもったいないがたくさん!それは……
- ・STEP1 まずは基本の全部出し。とにかく全部出して、並べる!
- ・STEP2 一畳分あるリビングクローゼット、ポイントは引き出しの「配置」
- ・今回の発掘収納「まさかの木の板」
- ・STEP3 クローゼットにイチから収納!ポイントは「大物から配置する」
- ・STEP4 イチから収納!ポイントは「こども服を管理しやすく」
- ・STEP5 イチから収納!ホームセンターをつくろう!
- ・リビングクローゼットが完成!
- ・かがむ、押し込むを解消すれば、暮らしはラクに
- ・改善後、暮らしてみての感想は……
今回の収納迷子さん

HOUSTO編集部 栗谷川
・東京都在住
・2LDK 58㎡のマンション
・整理整頓苦手系の夫、3歳長女の3人家族+猫2匹
この収納の攻略が、暮らしのラクに直結!リビングクローゼットを大改造

リビングにある大きなクローゼットは、2LDKの家の中で唯一扉のある収納です。外に見えていると生活感が出るようなモノは、すべてこのなかに集約。
けれど、その「隠したいモノはここ」という考え方が、「モノの使いやすさ」を二の次にしていたのです。収納方法の切り口を変えれば、暮らしはぐっとラクになるはず。
【Before】

中段には、アイロンなど日用品、アルバム、書類、こどもの2軍おもちゃ。
上段には、手芸グッズ、ペットキャリー、こどもの思い出服など使用頻度が低いモノ。
【Before】

下段には引き出しをびっしり入れ込み、こどもの休日服、ペット用品、夫のコレクションを分類収納。
スッキリに見えてもったいないがたくさん!それは……
●下段の引き出し左列が扉に干渉して開かないのがもったいない!

中身は「保管」が目的のコレクターグッズということですが、出すまでのハードルが高すぎるため、時折愛でたり「もういらないな」と判断したりの機会を得られずにいます。本当にしまいっぱなしで見ることもないとなると、使わないサブスクに課金し続けるようなモノ。なぜならそこは、家主がお金を払って得ているスペースだからです。
●こどもの服が違う部屋に分散しているのがもったいない。
たとえオフシーズンのモノだとしても、成長の早いこどもの服はちょこちょこ確認できる方が着る機会を逃しません。クローゼットのせっかくの大きさを活かして、ここにひとまとめにしたいところです。
●日用品のなかに使用頻度のとても高いモノが一緒くたなのはもったいない。
扉があるため生活感を隠すことはできますが、夫さんは体温計などを毎日ここに取りに来ているのだそう。(詳細はこちら)「日用品は全部ここ」とすると、毎日の動線を長くしてしまいます。
STEP1 まずは基本の全部出し。とにかく全部出して、並べる!

すべての「もったいない」を解消するために、収納の中身をすべて出します。そんな面倒なこととてもできない、と感じるかもしれません。けれど実は、一部だけを動かして“いい仕組み”にするのは本当に難しいこと。
すべてを出して仕組みをゼロから構築しなおせば、固定観念に引っ張られることもなく、シンプルに根本解決へ向けてモノを配置していきやすいのです。

収納の中身をすべて出してみると、リビングを埋め尽くすほどの収納ケースや数多のモノ!
STEP2 一畳分あるリビングクローゼット、ポイントは引き出しの「配置」

中段は、大人が立ったままサッと取れる収納の一等地。ここに面を増やして、よく使うモノを配置したいところ。上段は取りにくいので使用頻度の低いモノに。

引き出しが4列並んでいたビフォーでは、端の引き出しが開けられませんでした。じゃあ、どうする?

引き出しは下段に集中していましたが、中段にも置いて便利に使うのが本多さんのアイデア。
「これまで『引き出しは目線より下の位置に』という意識でしたが、中段に置いても使いやすそうですね。ただ、中段に2段重ねにすると上が少し見にくいかも」(編集部栗谷川)
このように仮置きすることで、どう引き出しを置けば使いやすいかを考えることができます。

実際に引き出しにモノを入れてみて、しっかりと確認。引き出しやすさ、見やすさ、取りやすさをチェックします。
「この段の高さはラク。普段使いのモノを入れたい!」(編集部栗谷川)
こうして大きいケースから配置を決めて行くと、そのほかのスペースをどう使っていくかと考えやすくなります。大きいモノは置く場所のパターンが限られるので、まずは配置して収納全体の骨組みをつくります。

下段の引き出しを配置します。扉に干渉して開かない引き出しがないように、左右を空けて。

「引き出しの上(黄枠部分)にスペースが!アイロン台など横に長いモノを置いたら使いやすそう。びっしり引き出しで埋めなくてもいいんですね!」(編集部・栗谷川)
今回の発掘収納「まさかの木の板」
引き出しの位置は確定し、あとは残りの空間にどう面を生み出すか、どう仕切るかです。中段の引き出しの上を平らにできれば、その上にモノが置けるなあと部屋を見回すと……
「あっ、あれはなんですか!?」(本多さん)

なんと、古道具屋で以前購入した「裁板(着物の裁断に使われていた古物で、インテリアとして立てかけていたモノ)」が目に入りました。
「クローゼットで使えるならぜひ!」(栗谷川)

奇跡的!ピッタリと乗りました。これでこの上にモノが置けます。

上段には、中段で使っていたカラーボックスを利用します。
大きい空間には、しっかりとした仕切りのできる棚を入れ込むと秩序が生まれます。
モノを単体で置いたり、カゴやボックスを利用するよりも雪崩れにくく、使った後は戻す位置が明確になります。モノの分類も明確化できて、わかりやすいのもいいところ。
これで、収納のベースが完成しました!

STEP3 クローゼットにイチから収納!ポイントは「大物から配置する」

まずは、「絶対にここにしか入れられない大きなモノ」から入れていきます。大物を見渡し、猫のキャリーケースが上段の空きスペースにぴったりだったので、確定。
大きなモノというのは、だいたい使用頻度が低いモノです。一等地ではない上の方や下の方に置いてかたをつけていきます。
STEP4 イチから収納!ポイントは「こども服を管理しやすく」
こども服は、大きく3つに区分できます。
①着ている服
②オフシーズン服
③将来着る服(出番待ちお下がり)
ポイントは、これらの区分をはっきりとわかりやすくしておくこと。
そして今着ている服は取り戻ししやすく収納することです。
今回の発掘収納アイテム「メッシュのトラベルポーチ」
②③の今着ていないこども服の保管には、中身が見えるメッシュのトラベルポーチがおすすめです。メモを挟んでおけば、いちいち開けて中身を確認する手間が省けます。

トラベルポーチは使っていない状態で家にあるので、試しやすいのもいいところ。

たくさんの服をきゅっと圧縮してまとめられます。使用頻度は低いので、奥に長い引き出しの一番奥に保管。

服を畳むときにも一工夫、畳むときに引き出しの高さに合わせましょう。空間をフルに使うことができます。折った輪が上に来るように入れると取りやすく、美しい。
明確な区分で、こども服収納を攻略!

トラベルポーチと不織布の仕切りを利用して、左(奥)から「出番待ち」「お出かけ服」「公園服」と仕切って入れました。

別の引き出しに、「夏のこども服」ゾーンをつくります。オフシーズンの夏服だけではなく、水着やプール用タオル、ビーチサンダルや浴衣をひとまとめ。夏になったら開ける引き出しとなり、わかりやすい!
STEP5 イチから収納!ホームセンターをつくろう!

ガムテープ、工具といった日用品をどう収納していいのか悩まれる方は少なくありません。ひとくくりにしておくと便利なのは、「ホームセンターに売っているモノたち」。引き出しをひとつ「わがやのホームセンター」とすると、そこに集合するモノはおのずと決まってきます。家族にも伝わりやすいネーミングもミソです。

「これはホームセンターに売っている?」と自問自答しながら仕分け。この場所以外でも、引き出しの中身を決めるときに「ドラッグストア」「スーパー」などお店で分類すると引き出しに入れるものを整理しやすいのでおすすめです。

不織布などで仕切りを作りつつ、家中に散らばっていた日用品が片付いてスッキリ!

ホームセンターが開店しました!場所は、取り出しやすい中段の左側。
リビングクローゼットが完成!

BEFORE


AFTER
使用頻度の高いモノを、腰の位置のいい場所に取りやすく収めることができました。引き出しの上に渡した板も、奥行きを使い切る広い収納面を生み出しています。
ここでのポイントは、両方の扉を開ける必要のあるど真ん中は最上の一等地ではないということ。頻度の最も高いモノは、片方の扉を開けるだけでアクセスできる右か左の引き出しに入れるのがおすすめです。
そして収納用品は、同じモノが2つ以上並ぶようにしています。これも場に秩序をもたらすポイント。情報量を減らし、わかりやすくスッキリとした見た目の収納となります。

BEFORE


AFTER
下段の引き出しは、すべて開くように配置。左右の隙間には頻度の少ない薄いモノ、細いモノを入れることができます。
夫さんのコレクションも手軽に手に取れるようになり、愛でたり、手放したりが容易になりました。どんな“とっておくモノ”も、年に1度は目にすべき。
かがむ、押し込むを解消すれば、暮らしはラクに

「とくにストレスはない」「スッキリできている」というクローゼットでしたが、よく使うモノが下段に収められていたクローゼットでもありました。立ったままモノの出し入れができると、流れるように行動できて家事が滞りません。スムーズに動けることが体感できて初めて、それまでのストレスに気づくモノ。
3つの「もったいない」も解消できたことで、きっとほかの場所の収納にもハッとするところが見つかるのではないでしょうか。ぜひ、どんどん仕組みを更新してみてください!ラクなら片付けは続きます。
改善後、暮らしてみての感想は……
「特に不便はないと思っていたクローゼットですが、『かがんで取るのは面倒では?』という本多さんの一言で目から鱗。実際、よく使うモノが腰上あたりの位置にあると、本当に取り出しやすい! 面倒だから後で畳んで入れよう…と思っていたこども服も、すぐにしまえて家がスッキリしてきました。また、家族に『ガムテープはどこ?』と聞かれたらすぐに『ホームセンター』と回答。みんながわかりやすく、覚えて元に戻しやすいのがすばらしい。ネーミングって大切ですね!」