本多さんが一般のご家庭を訪問し、収納の悩みを解決するこの企画。今月の収納迷子さんは、前回に引き続き東京都の小さな1Kに住まう一人暮らしのAKさん。パートナーが泊まりに来ることが多く、2人分の荷物が部屋に溢れてごちゃごちゃなことがお悩み。有効に使えていなかったクローゼットにメスを入れ、本当に使っているモノ以外はここに収めたい。目指せ、すっきり片付いた部屋!前回の記事はこちら。
今回の収納迷子さん
・東京都在住
・1Kの小さなアパート
・パートナーがよく来るけれど基本一人暮らし 愛するペットはカメ
ひとり暮らし1Kの要。クローゼットを活用し尽くす収納術

BEFORE
部屋に唯一の備え付け収納ながら、稼働率の低い状態。床面にシーズンオフの布団や推しグッズなどが積み重なって出し入れしにくく、ほかに何があるのかよくわからないとのこと。これ以上モノを入れることができなかったために、部屋にモノがあふれていました。

服の入った引き出しが、扉に引っかかってすべては開かない状態。これまで、開く引き出しに入っている服しか使わなかったため支障がなかったのだとか。引き出しの配置も見直したいところです。
STEP1 あとから「入らない!」とならないよう大物から配置

細かい日用品が居住スペースにあふれていたAKさんの部屋。
クローゼットというと「服の収納」がイメージされますが、何を入れても大丈夫。使用頻度の高くない日用品は可能な限りこちらに収めて、部屋をすっきりさせていきます。
一度すべてのモノを出して、クリアな状態から最適な配置を考えていきましょう。
最初に入れ込みたいのは、スーツケースなどの大きいモノ。あとから「入らない!」とならないように場所を確保していきます。大きいモノが置けるのは、床面か、棚面。スーツケースはたまにしか出番がないとのことなので、アクセスの悪い端の高い棚に仮置きしました。アクセスのいい所は、使用頻度の高いモノのために取っておきます。(※スーツケースはのちに床面に移動。試行錯誤がありました。)

レンタルのルーターの空箱とコード、小さな季節家電などを紙袋にまとめて上段へ。保管の必要はあるけれど使わないようなモノは、塊にしておけばいざ必要なときにすぐにたどり着けます。まとまっていることで、場所を変えるときもさっと簡単。

中身をラベリングしておくとさらに便利
STEP2 クローゼットのゴールデンゾーンは「中央付近」。右端、左端に頻度低いモノをかけていく

真ん中から左右に開く折れ戸のクローゼットは、扉を少し開ければモノが取れる真ん中付近がゴールデンゾーンです。
反対に、端の方は扉をすべて開けなければ取れない位置のため、使用頻度の低いモノを配置します。
服を吊るせるポールには、真ん中付近に普段使う服、端の方に冠婚葬祭用の服などをかけていきます。

扉がジャマで開けられなかった引き出しを中央に寄せて、すべて引き出せるように配置。
今回の発掘収納!奥行きを使い切る突っ張り棒

クローゼットに眠っていた長い突っ張り棒を発掘しました!ポールの奥に設置して、S字フックで帽子やバッグなど軽いモノの定位置を設えます。
これで形を崩さず保管でき、行方不明にならず、選びやすい。
STEP3 画材、推しグッズ、思い出やゲーム類。無理やりにでも共通項を見つけ出し分類する

AKさんは、ご自身の「思い出のモノ」「推しグッズ」「コレクションアイテム」「ボードゲーム」「ぬいぐるみ」「画材」「工作アイテム」「梱包用品」といったモノを部屋のあちらこちらに散らせて持っていました。どう分類していいかわからないこれらのモノ、お悩みの方はとても多いんです。
散っていることで部屋にごちゃごちゃ感が出たり、持っていることを忘れて二重買いをしてしまう原因に。こういったものはひとまずすべてをかき集め、多少無理やりにでも共通点を見つけて分類しましょう。
カテゴリーごとに分けられたら、それが何かを明示して出し戻しができるように収納すると、頭の中までスッキリします。
今回は「画材、工作アイテム、梱包用品」を「資材」として一つにまとめました。必要が出ればここだけを確認すればよく、持っている資材が一発でわかります。

タリーズコーヒー限定テディベアのコレクションはエコバッグにひとまとめ。「いずれ広い部屋に移ったらケースに入れて飾りたい!」(AKさん)
それまでは大切に保管ですね。

学生時代に使っていた画材など、資材として大きなスクエアバックにまとめます。

部屋の各所に点在していたボードゲームやコントローラー、カセットなどは「ゲーム」とひとまとめに。クローゼット内で眠っていたスツールボックスに収納しました。前回の部屋の配置換えでかなり居住スペースができたので、このスツールは出しておけばカバンを置いたり座ったりでき便利そう。
STEP4 クローゼット=洋服だけにあらず!棚を入れ込み本も収納

書籍や漫画類は今まで居室に置いてありましたが、ほこりをかぶっていました。クローゼットに移動しても支障なく、「地震で落ちて来る」「ほこりをかぶる」のデメリットも防げそうです。しまわれることで部屋の情報量が減り、かなりすっきり。
居室で使われていた棚とカラーボックスをクローゼットに移動し、本を配置します。手にすることの多い本は手前に置いて、取りやすく。
今回の輝く発掘収納賞は「羽毛布団をスーツカバー」に決定!

シーズンオフの羽毛布団、どう収納しよう…と話していたときに目に入ったスーツカバー(ガーメントケース)。ここに羽毛布団をぎゅっと入れてみたところ、まさかのピッタリ賞!

入るかな…ドキドキの瞬間

入った〜!きゅっと塊になり、クローゼット上段に収まる最高のサイズ感に!やってみるものですね。
STEP5 細かい日用品を仕分けして、使いやすく管理

部屋のあちらこちら、キッチンの方にも散っていた日用品の数々。
文房具、メイク用品、爪切りや耳かきなどの雑貨類を、まずは一か所に集めます。種類ごとに分類して、何をどれだけ持っているのか把握します。
テーブル周りで使うモノを、すぐに取れるところに収納すれば、戻すときにもラクなので散らかりにくく。
再び、収納用品を発掘!懐かしの茶盆

テーブル周りで日用品をどう収納しよう…と思っているときに発見したのが、キッチンでカップ麺を置いていた、深めの茶盆。
丸いトレイはとても懐が深く、モノを入れるときに角度を気にせず放り込めるのがよいところ。どんな形のモノでも許容してくれる「丸」なのです。
このトレイに、テーブル周りでよく使うモノをキュッとひとまとめ。

見事、丸く収まりました!デスクの上にちょっと置くのによい感じ。
収納がついに完成!BEFORE-AFTERを大公開!
モノが部屋にあふれ、人の行動を制限してしまっていた6畳1K。ゼロから構築し直し、ついにアフターが完成しました!
家具配置BEFORE-AFTER 捨てずにここまでスッキリを実現!

BEFORE

AFTER
「モノを全部捨てたの⁉」という印象ですが、実はほとんど捨てたモノはありません。クローゼットを活かしてモノを取りやすく効率的に収めた、その結果なのです。床、窓、壁は見える面積が広いほどすっきりとした印象に。

BEFORE

AFTER


1Kの間取りのため、このテーブルが「食事」「仕事」「お茶」「化粧」等すべてをする場。仕事道具(ベッド下)、メイク用品(テーブル下)、日用品(テーブル上)、お茶とポット(小棚)と必要なモノだけがここにあり、それ以外はクローゼットに。いつもの作業にさっと取り掛かれて、広々と取り組めます。
しかも、壁に寄りかかれる配置でもあるため、これまでベッドを背もたれにしていた習慣はそのまま続けられるのです。

テーブル周りで使う家電、ガジェットの電源は小棚にねじ留めしたタップから。

お茶セットは小棚の下段に。
部屋に出ている棚には、本当によく使うモノだけを少数精鋭で置くようにしました。
動線をジャマしない薄い棚を選んだこともあり、なんでもかんでもここに置かない、と決めるのがポイント。もしここに置きたいモノが新たに出たときは、今入っているモノが本当にここに必要かを見直して入れ替えましょう。「ここじゃなくてもいいな」のモノはクローゼットへ。
それが、スッキリを保つコツです。
クローゼットBEFORE-AFTER 棚の利用で稼働率バツグンに!

BEFORE

AFTER
AKさんの折れ戸クローゼット攻略ポイント
❶端の「扉がジャマで出しにくい場所」は本棚を縦置き。横からアクセスできる収納面をつくりました。
❷中央のゴールデンゾーンには、使用頻度の高い衣類を入れた引き出しを設置。
❸奥行きを活かして、奥側床面にカラーボックスを横置き。保管が目的の書類を収納しました。仕切りの棚板を有効活用し、「推しグッズ」「それ以外」をカテゴリー分けしています。
③のカラーボックス上面にはプリンターを置きました。
これらのように、大きい収納内に棚を入れ込むと収納可能面を増やして収納力を爆増させられるのです!

BEFORE

AFTER
上段には、かさばるモノを直置き。細かいモノはボックスにまとめてラベリングします。使用頻度は低いけれど、必要となればすぐにそのモノにたどり着けるように。
テレビ周りBEFORE-AFTER テレビ台下に「ホムセン」と「薬局」が開店!

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AFTER

AFTER
テレビ台の中に、ガムテープや工具類をまとめた「ホームセンター」と「薬局」を開設。テレビ台はリビングの立派な収納家具で、意外と好アクセスです。

AFTER
このテレビ台、実際は普通の棚なので背面にコードを流せません。やむなくごちゃつくコード類は姿見の裏に隠しました。配置換えによりコードはもっと短くても大丈夫。今後、「短いコード」と「電源タップ収納」を導入するのもおすすめです。
ベッド周りBEFORE-AFTER 棚の上を何もない状態にしたことで、モノの一時置き場に生まれ変わった

BEFORE

BEFORE

AFTER
棚上にはたくさんの本が並んでいましたが、実はホコリをかぶっていました。地震が来たら…という不安も。“いつかまた読みたい”のものであるならば、今はクローゼットの中で十分。棚上が空いたことで見た目もスッキリ。
「彼が横のテーブルで何かをしているときには、ここで仕事ができそうです!」とAKさん。
もらったモノを一時置きしたり、作業途中の資料を広げて置いておけたり。洗濯物の一時置きにも活躍しそうです。
AKさん、しばらく暮らしてみてのご感想は?

「今までモノでごちゃついていたベッドのテーブルが何もない状態になり、すごく使いやすい!メインのテーブルと近い位置のため、仕事のモノをパッと載せられたり、起き抜けに飲み物を置いておけたり、とにかく便利です。ただモノが並んでいた場所が、“使える台”に変身しました。
モノがクローゼットに収められて、ベッドの配置も変わったことで、大きな窓から光がたくさん!本当にありがとうございました。」AKさん
部屋に出しておきたいモノは、そんなに多くない
これからも、“オープンな場所に取りやすく置きたいモノ”が出たときには、小棚を増やすのではなく、今ある棚からクローゼットに移せるモノを探すようにしてみてください。するときっと、気持ちのいい部屋を保てると思います。
いつも、「暮らしがよい方へ変わるように」と思いながら整理収納、家具の配置換えをしています。なので、いただいた感想は本当にうれしい!ごほうびをいただいたような気分です。