市販の本や収納のプロの収納法を手本にしてチャレンジしてみたものの…
続けられなかったという経験、ありませんか?
その要因はもしかすると、「自分に合うやり方ではなかったから」かもしれません。自分に合ったストレスフリーな心地いい収納とは? クローゼットオーガナイザー鈴木尚子さんに伺います。


一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会監修

鈴木尚子

鈴木尚子

SMART STORAGE!代表。日本初のクローゼットオーガナイザー。テレビ出演、女性誌や書籍の監修など幅広く活躍中。

https://smartstorage.jp/

自分に合った配置や収納のスタイルを知る。

「私たちオーガナイザーが大切にしているのは、その方に合った方法で収納を提案するということ。そこで参考にするのが利き脳です」とクローゼットオーガナイザー 鈴木尚子さん。

人の特徴に「利き手」「利き足」があるように、それぞれに働きが異なる右脳と左脳のどちらかを得意とする脳のタイプ=「利き脳」が、片づけや収納に大きく関わってくるというのです。

「通常、本などで紹介されている収納の方法というのは理論的でしたり、理屈っぽかったりして、それを真似てやってみようとおもって実際に取り入れてみても、なかなかうまくいかないでリバンドしてしまうケースってとても多いとおもうんですね。それは、自分に合うやり方ではなかったからなんです」

整理や片付けをするときに人は、「片付ける決心をする」「散らかったものを見て、識別、選別、分類する」「分類されたものをどこにしまうかを判断する」「ものの形や大きさ、使う頻度などに応じて適切な場所へ配置する」といったプロセスをたどりますが、そのプロセスには脳の働きが影響しているのです。

「せっかく現状を変える決心をしても自分にあった方法を知らなければ、結局続かない、無理をしてがんばらないとできないという状況になってしまいます」 整理収納が苦手だと思い込んであきらめてしまっていた方も、自分に合った収納方法を知るヒントになるかもしれません。

右脳左脳が得意とすることと機能分担

整理収納を始める前に、セルフチェック。

ここでは、ものを探す(インプット)、ものをしまう(アウトプット)のときに右脳と左脳のどちらを利き脳としているのかをセルフチェック。

「利き脳は一生変わらないということではなく、さまざまな社会生活や環境によって変化していく場合も。一般的に先天的なものが30%、後天的なものが70%といわれます。それぞれの特徴が混在していることも珍しくありませんので、自分に近いなとおもう方を試してみるとよいでしょう」

【指組でインプットするときの利き脳チェック】

  • ●右脳タイプ

    右の親指が下

  • ●左脳タイプ

    右の親指が上

【腕組でアウトプットするときの利き脳チェック】

  • ●右脳タイプ

    右腕が下

  • ●左脳タイプ

    右腕が上

【右脳タイプ/左脳タイプ特徴で利き脳チェック】

以下の項目であてはまった項目が多い方があなたの利き脳です。

●右脳タイプ

  • □一気にものごとを進めるのが好き
  • □優先順位をつけるのが苦手
  • □成り行きまかせが好き
  • □柔軟性を好む
  • □自分の見える範囲にものを置こうとする
  • □どれくらいその作業に時間がかかるか見積もるのが苦手
  • □本を読むときは飛ばしながら読む
  • □ファイリングが嫌い
  • □まずマニュアルなしでやろうとする
  • □毎日同じ作業をするのが苦痛だ

●左脳タイプ

  • □毎日少しずつものごとを進めるのが好き
  • □優先順位を容易につけることができる
  • □事前に計画を立てるのが好き
  • □仕組み(組み立て)が好き
  • □ものを常に定位置に戻す
  • □予定を立てるのが容易
  • □本は最初の方から順番に読み進める
  • □ファイリングが得意
  • □マニュアルに従う
  • □日常の決まりきった仕事を楽しめる

利き脳のタイプ別にストレスフリーな収納方法を学ぶ。

●左脳×左脳(インプット左脳/アウトプット左脳)

特徴:するべき理由で行動を起こす、細かい部分を気にする、空間認識が苦手 収納アドバイス:見た目より機能や効率を重視。文字認識が得意なので文字によるラベリング、ものを仕切る収納を好む

●右脳×左脳(インプット右脳/アウトプット左脳)

特徴:完璧主義、自分で決めたい(人に言われるのが嫌)、一足飛びにやろうとする 収納アドバイス:形から入る傾向があるので、収納グッズを購入することから始めようとしますが、その前に持ち物の見直しが必要。同じ形の容器が並んでいる様を好む

●右脳×右脳(インプット右脳/アウトプット右脳)

特徴:衝動的に行動する、次々に手を出してしまう、元に戻すのが苦手 収納アドバイス:見えないと忘れてしまうタイプなので、アクションいらずのかんたん収納、素材や色がそろっている状態を好む

●左脳×右脳(インプット左脳/アウトプット右脳)

特徴:情報収集好き、思考と行動が違う自己矛盾型、マイルールを優先させる 収納アドバイス:一般的なやり方ではなく自分のやり方を大切にすることが必要。かんたんなアクションでざっくり収納を好む

利き脳タイプに合わせたクローゼット収納を取り入れる。

自分の利き脳の特性を知ったら、暮らしに取り入れてみましょう。「なんか続かない」「うまくいかないな」というときは、自分に合わない方法になってしまっている可能性がありますので、再び利き脳の特徴に戻って自分に合うスタイルを見つけましょう。

【ハンガー編】

●アウトプット右脳タイプは…「色別にハンギング」

アクションいらず見た目にこだわる(視覚重視)右脳タイプには、色別のざっくり収納が適しています

●アウトプット左脳タイプ…「シーン別にハンギング」

左脳タイプは機能性にこだわるので、掃除がしやすい、取り出しやすいといった効率を重要視する傾向があります。防虫剤などで仕切り、シーン別にするとよいでしょう。

【引き出し編】

●アウトプット右脳タイプ…「オシャレにざっくり収納」

引き出しごとにブラック、グレーなど色別で場所を決めて収納。ストールは くるくると巻いてポーンが、ラクなのにオシャレに見えるので右脳的。ラベリングにもこだわります!

●アウトプット左脳タイプ…「色/素材/用途別にきっちり収納」

ブラックのタートル、Vネック、Uネックといった色、種類、用途まで考えて細かく仕分け。IKEAのSKUBBシリーズなどを使用し、完璧に仕切ります。

【バッグ】

●アウトプット右脳タイプ…「そのまま魅せる収納」

見えないとないものになってしまう右脳タイプは、バックにカバーをしてしまうのは不向き。ショップのディスプレイのように美しく並べてみましょう。

●アウトプット左脳タイプ…「大事におくるみ収納」

ホコリを気にして不織布にくるみ大事に収納。ブランド名やカラーなど詳細までしっかりラベリングすると安心です

【アクセサリー】

●アウトプット右脳タイプ…「素材別まとめて収納」

アクセサリーは素材別に指定席を決めたら、あとはまとめてあげましょう。ひと目でわかる状態にキープすることが大事です。

●アウトプット左脳タイプ…「かけて機能的収納」

コルクボードにピンを指し、機能別にアクセサリーをかけます。すると、からまずに取り出しやすく整います。

鈴木尚子のクローゼット収納術の記事はこちら

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