毎日使うクローゼット。なんとか手持ちの洋服は収納できているけれど、必要なものが取り出し難かったり、定期的に見直しや整理をしていても、すぐに見た目が雑多でごちゃついた印象になってしまったり…。そんなお悩みを解消する方法をクローゼットオーガナイザー 鈴木尚子さんに伺いました。
訪れたのは、クローゼット収納に悩む30代の主婦Eさん宅。Eさんは、マンションに備え付けてあるクローゼットのひとつを、ご自身の洋服の収納スペースとして使用していますが、収納容量はあるものの衣類をスムーズに取り出すことができず、使い勝手が悪いことに悩んでいるといいます。そして、大事な衣類を定期的に整理してしまっているのに、雑多な印象になってしまいスッキリしないのが気になっているとのこと。そんなEさん宅のクローゼット収納の悩みを解決すべく鈴木尚子さんに収納のヒントを伺います。
【Eさんプロフィール】
●家族構成:ご夫婦と2児の4人家族
●間取り:3LDK
●備え付けの収納:クローゼット
具体的な悩みは、3つ。
1.衣類をスムーズに取り出せるように改善したい
2.洋服や着物、バッグを大事に保管、管理したい
3.すっきりと美しいクローゼットに変えたい
「賃貸マンションに備え付けのクローゼットを上手に活用できず、使いやすい状態に整えられない方は多くいらっしゃいます」と鈴木尚子さん。
クローゼットの問題点を認識する
クローゼット収納のプロ 鈴木尚子さんによれば、「心地よいクローゼット」といっても、人によって心地よいと感じる条件は異なるといいます。 「まず大事なのは、いまのクローゼットの問題点を認識すること」と鈴木さん。 では、Eさん宅のクローゼットにおいて解決すべき問題とは、どのような点なのでしょうか。
「Eさんは、ご自身にとって必要なアイテムを定期的にチェックして、自身のクローゼットの収納容量に見合う量の洋服やバッグ、小物などをアイテムごとに収納されていました。けれど、しまったものを取り出すときに重ねた衣類の中から目当ての衣類を探して引っ張り出す、といった手間が生じていました。そのため、取り出すときのストレスを軽減できる使いやすさを重視し、そして見た目がすっきり美しく整う工夫を施しました」と鈴木さん。深さのあるボックスにしまい込んでしまうと、底にある服はほとんど出番がなくなってしまいます。クローゼットの服は、しっかり見渡せてコーディネートにいかせる状態にしてあげることも大事なポイントです。
収納するアイテムの特徴や生活スタイルに合わせて指定席を変える
「Eさんにとって使いやすいクローゼットに改善するために、基本に立ち返ってアイテムをすべて出し、指定席の見直しを行うことからはじめます。
その際のポイントは、自分にとっていちばん使いやすい『ゴールデンゾーン』に使用頻度が高いアイテムを配置すること。そして、上段と下段には、シーズンオフのものや使用頻度の低いアイテムを収納します」(鈴木さん)
※ゴールデンゾーンの詳細はクローゼットづくりのルールを知る後編へ
クローゼットの棚板の高さ調整が肝心
さらに今回の収納でもっとも注目すべきは、棚板の高さを変更したことです。
「備えつきのクローゼットの棚板の高さを、入居時から一度も変えたことがない方がいらっしゃるかもしれませんが、実はそれが使いにくいクローゼットの要因となっている場合があります。とくに今回のEさん宅のクローゼットのようにスペースが細かく分かれており、引き出し等の収納用品を用いることができないタイプは、収納するアイテムのサイズや数量に応じて、棚板の高さと数を調整しなければ、ムダなスペースを生むことにつながる可能性が高いです」と鈴木さん。
Eさん宅のクローゼットには、4枚の棚板を追加し高さを調整。そうすることで、高く積み上げられ取り出しにくかったパンツやニット類を種類別に収納でき、すっきり取り出しやすい状態に整いました。
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BEFORE
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AFTER
積みあげられていたパンツやニットを、棚板の数を増やし種類別に収納。ひと工夫で取り出しやすく、見た目もすっきり美しい印象に
大事なアイテムは詰め込みすぎないこと
使用頻度、取り出しやすさをふまえた指定席が決まったら、順次アイテムを収納していきますが、Eさんのクローゼットに合わせて鈴木さんはベッド下に収納スペースを増やすことを提案。
「Eさんはクローゼットに収まる容量を考え、アイテムを厳選していましたが、バッグや着物など大事なものをコンディションよく保つには、窮屈な印象でしたので、ベッド下に収納のスペースを追加しました」
また、着物を包んでいた、たとう紙を同じサイズのものに統一。無駄なかさばりがなくなり、見た目も美しく整いました。
クローゼットにはできるだけ多くのアイテムを収めたいと思ってしまうものですが、ものを大事に維持するために、詰め込みすぎは禁物。スペースにゆとりが生まれる工夫を心がけましょう。
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BEFORE
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AFTER
クローゼットのスペースは無限ではないため、使用頻度が低く、クローゼットになくても困らない帯や帯締めなどの小物はベッド下に専用の収納場所を設けました
たとう紙はサイズを揃えるとともに、シンプルで清潔感のある無地に統一しました。「たとう紙(収納の巣)」
ハンガー選びは、美しいクローゼットへの近道
さらに、鈴木さんのハンガー選びにも、快適なクローゼット作りへのヒントがありました。「ハンガーを統一するだけで、クローゼットはすっきり美しい印象に変わります。そして今回は、簡単に収納力をアップすることができるフックを使用しました。洋服の中でも厚みが出やすい肩周りを段違いにズラしてハンギングすることで省スペースを実現できます」(鈴木さん)
クローゼットに対するちょっとしたストレスを我慢している方も、工夫次第で、効率よく快適なクローゼットへと改善することができそうです。自分にとっての心地よいクローゼット作りの参考にしてみてください。