前回に引き続き、引き手のリペア術をご紹介!今回はすごい職人技が飛び出します!
(前回の記事はこちら)
<上級編>大正初期の引き出し箱を職人技で生き返らせる!
BEFORE
大正初期の引き出し箱。長い歴史を重ねるうちに、引き手の金具が取れて紛失している。同じ金具を見つけるのはほぼ不可能だが、果たして…?
職人技が注ぎ込まれた和家具の引き手の仕組み
味わい深いアンティークの金具がバランスよく配置され、裏側には付き出さない長さの木ネジで表面から固定してある。リペアには知識と職人技が必要!
STEP1 まずはオリジナル金具の取り外し<直伝!真似テク>
残っているオリジナルの金具は大切にしたい。目線の行く上の引き出しに古い金具を移動し、目立たない下の引き出しに新しい金具を付け替える。
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オリジナルの金具を外す。ネジ山を潰さないよう押し付けながら回して。
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古いネジはサビで動きづらいことも多い。機械油を吹き付けて滑りを良くして。
STEP2 金具のセレクト<直伝!真似テク>
大正初期の古い金具は、同じものを探すことはほぼ不可能。イメージに合わせて、新しい金具を選ぶ。
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幅や厚みが似ている新しい金具をセレクト!
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山本商店では新品のほか、古い金具もリペア用に大切にストックしている。
STEP3 色味の調整<職人技!>
新品の金具をそのまま付けては、アンティークの風合いが台無し!職人技でエイジング加工を施し、しっくりと馴染む金具に作り変える。特殊な薬品で腐食させる方法もあるが、目の肥えた職人ならスプレー塗料で簡易エイジング加工ができてしまう。
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光沢のある新しい金具は、職人技で“いぶし加工”!
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目の細かい紙やすりでつや消し。
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黒、茶などのスプレー塗料を適宜吹き付け、元の金具のイメージに近づける。
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乾かすと落ち着いた色合いに生まれ変わった。
STEP4 取り付け<直伝!真似テク>
バランスを見ながら新しい金具を取り付ける。本来なら塗装まで補修してから金具を付けるが、以前の金具の跡も風合いとして残したいという人も多い。
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裏に突き出さない長さの木ネジを選び、慎重にしっかり固定。
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元のネジ穴と合わなければキリで新しい穴を開ける。
AFTER
大正時代の風合いを残したまま生まれ変わった引き出し箱。元の金具を上に、新しい金具を下に付け替えるひと手間で、違和感はまったくなし!
オリジナルを大切に使いたい和家具の引き手は、日頃のメンテナンスは欠かさないようにしたい。でも、取れてしまった金具も新しくすれば、現役の家具として生まれ変わる。歴史の積み重ねが風合いとなる和家具は、直すことも味わいを増す手立てのひとつだ。
時代和家具の店 アンティーク 山本商店
下北沢で70年続く時代和家具の専門店。明治、大正、昭和初期の時代和家具と雑貨が、常時1500~2000点ほど揃う。地下1階から2階まで所狭しとディスプレイされたアンティークの和家具は、すべてメンテナンス済み。「使ってこそ良さを実感できる」とのポリシーから、仕入れた和家具は1点ずつ丁寧に職人が手入れし、新たな命を吹き込んでいる。お手入れ方法や家具の特性は、和家具を愛するスタッフがアドバイスしてくれる。価格も数千円からとリーズナブルで、幅広い年代の和家具ファンが足繁く通う人気店。
- 時代和家具の店 アンティーク 山本商店
- 東京都世田谷区北沢5-6-3
- 営業時間 11:00~19:00
- 定休日 月曜日 ※祝日の場合営業し、翌火曜日が振替休日
- 問い合わせ
- 03-3468-0853
- http://www.antique-yamamoto.co.jp/