こんにちは。ライター佐藤望美です。
私のコラムは「暮らしにつながる旅」をテーマにお届けしています。今回は再び、旅先で手に入れたモノをご紹介。取材やプライベートで訪れたあちこちの、素敵なモノをピックアップしました。
旅の購入品1 益子焼の高台皿
栃木県の温泉旅館を訪れた際に購入した高台皿は、作家、笠原良子さんが手がけたもの。コロナ禍真っ只中の3年前、温泉旅館「界 鬼怒川」でリモート陶器市が開催されたタイミングで購入しました(※現在は実施されていません)。
高台皿は、私の中では「扱いに困るけれどなぜか惹かれる」アイテム。収納しづらいし、場所をとるしで、あまり数を持てないのです。でも、ついつい欲しくなってしまうんですよね。
益子っぽい釉薬の色味が素敵です。手づくりのでこぼこスイーツも、実力以上においしそうに見せてくれて重宝しています。
当時は陶器市が開催できるような状況ではなかったので、旅館のロビーに展示されている作家さんたちの作品を見てオンライン購入、自宅に届けてくれるという催しに参加したのでした。今振り返ると、「実際に手に取って見たい」「旅先から割れ物を持ち帰るのは心配」という要望を満たしてくれるいい企画だったなぁと思います。
コロナ禍が明けたら陶器市に行くぞ!と意気込んでいましたが、結局はまだ果たせずじまい。旅取材はピークを外して行うことが多いため、すっかり人混みを避けるようになってしまいました。あとは物欲に勝てず大量買いしてしまいそうで怖いという理由も…。
「界 鬼怒川」では、季節の会席にもふんだんに益子焼が使われていて目の保養になりました。これからの季節は紅葉も素敵だろうなぁ。また足を運びたいお宿のひとつです。
旅の購入品2 公長斎小菅の手付きかご
こちらは京都の竹細工ブランド、「公長斎小菅」の竹かごです。オンラインでも購入できますが、京都には三条通に本店があるので帰省した際によく訪れます(私は京都出身なのです)。
四角いかご好きな私にはたまらないフォルム。何を入れてもいいと思いますが、フルーツやパンかごにするつもりで手に入れました。
今は玄米ご飯生活なのでパンを購入する機会はあまりなく、コーヒーや紅茶などの飲み物をまとめて収納する用途で落ち着いています。ピクニックバスケットのように使うのもいいですね。キャンプに持参したら映えるかも! 入れるものが変わってもずっと使い続けられる竹かご、やっぱり好きです。
旅の購入品3 金網つじの手編み手付きセラミック付き焼き網
京都つながり、パンつながり。で、こちらの焼き網。
京都の高台寺近くにある「金網つじ」で購入しました。といっても、ショップで予約をして半年以上待ち、自宅に届いたという言い方が正解です。一つひとつ手づくりだから、その場で購入できることはほとんどありません。
遠赤効果により食パンの外側はサクサク、内側はふっくら。1枚ずつ焼く手間はかかりますが、本当においしいです。ごくたまに食パンを食べる機会があれば必ず使います。
でも普段はパンというより、万願寺とうがらしなどの野菜かお餅を焼くほうが断然多い。お餅はプクーッとふくれてくれて、見た目も美味しそうです。
場所は京都、石畳の一念坂を登るとショップが見えます。京都の街歩きは四条通や花見小路、ねねの道など有名どころで時間切れになってしまうことも多いと思いますが、細道にこそ魅力的なお店が集まっている気がします。
金網つじから徒歩4分の場所にあるごま専門店、「祇園むら田」も好きなお店です。むら田さんのごまは百貨店や京都駅のお土産屋さんでは買えないため、わざわざ訪れる価値ありです。取材時の手土産にすることもあります。
買わなかったけれど、今でも心惹かれるモノはある
とここまで書いて、最近はあまりモノを買っていないことに気づきました。挙げたのは数年前に購入したものばかり。巷に素敵なモノは数あれど、今ある器やかごで満たされている部分が大きいからかもしれません。
その場では買わなかったけれど「いいなぁ」と今でも感じているモノも中にはあります。一番心に残っているのは、大分県の臼杵焼マグカップ。
臼杵焼は江戸時代に始まりましたが、数年で途絶えてしまったという幻の焼き物。これは大分県の温泉旅館「界 別府」内のトラベルライブラリーという宿泊者専用スペースで、ドリンクカップとして使われていたものです。ショップでも購入できるようでした。独特の取っ手フォルム、アンティーク風の色合い。かなり好みだったのですが、マグカップはたくさんあるしな…と断腸の思いで見送ることに。でももし再訪したら買ってしまいそうです。
静岡県伊東市の「界 アンジン」に飾られていた豆船モビールも素敵でした。
地元を拠点に活動するアーティスト、三枝文子さんによる作品です。伊豆の「豆」とかけて、落花生の殻でつくられています。ショップでは1艘、3艘、5艘 のモビールが販売されていました。
「界 アンジン」は、16世紀に日本に漂着した英国人航海士ウィリアム・アダムス(のちの三浦按針)が、日本初の西洋式帆船を造船したと言われるエリアに建つ温泉旅館。大航海時代やイギリスのエッセンスが散りばめられていて、スタイリッシュなインテリアが印象的でした。
家を建ててから自宅で過ごす時間がさらに好きになりましたが、旅はそんな暮らしをピリッと引き締めてくれる柚子胡椒のような存在。旅に出ると「まだまだ知らないモノがたくさんある」と思い知らされるし、帰ってきたら「やっぱり家は落ち着く」ということにも改めて気づかされます。
今は欲しい情報が勝手に入ってくる時代なので、「知らないモノ」や「これまで興味を持たなかったこと」にあえて触れる機会はものすごく少なくなっている気がします。
これは旅先選びも同じ。そういう意味では、プライベートでは決して選ばなかったであろう土地に仕事で行く機会が多いのはありがたいこと。そのお裾分けを、みなさんにもできればいいなという思いでいつも旅記事を書いています。
それでは、また次回お会いしましょう。