好きな料理家を挙げてみて、と言われたら、どう答えますか? 誰しも、味の好みはもちろん、作りやすさ、コーディネートのセンス、何かしらの思い出など、いろんな観点から、好きな料理家が何人かいると思います。好きな料理家の存在は、暮らしを豊かにしてくれるもの。料理取材を数多く手がけるライターが、今、推している新進料理家をご紹介します。

ライター・山野井

ライター・山野井

思春期まっただ中の10代男子と、天然な夫との3人家族。鎌倉の小さな家で、インコとワンコと共に暮らしています。趣味は旅と料理、マイペースでフランス語を勉強中。

信頼できる料理家には、「哲学」がある

長かった夏が終わったと思ったら、いっきに晩秋感。なかなか体調がついていきませんが、スーパーへ行けば、すっかり秋の食材がそろっていて、楽しい気分になってきました。

今年の夏は暑すぎたので、そばやそうめんなど、冷たい麺類ばかり食べて、きちんと料理をしてこなかったなあと、振り返って反省しています。 せっかく集めている器も、出来合いものをのせるばかりではかわいそう。この秋は、きちんと料理に取り組もう、と決意しました。

さっそく、大好きな料理家のレシピ本をパラパラ。 みなさん、好きな料理家はいますか?

「私が学生の頃から大ファンなのは、栗原はるみさん、有元葉子さん。カズコ・ロッシュさん、行正り香さんのおもてなし料理や、カノウユミコさんの野菜料理にも、とても影響を受けました。
最近は、「さつまいもクリエイター」のえなりんさんにも注目しています。

 

仕事がら、ベテランからニューカマーまで、さまざまな料理家と直接仕事をする機会があります。それぞれに個性がありますが、著名になるには明確な理由があると感じています。それは、料理に対する哲学のようなものを持っているということ。料理を通して、何を伝えたいのか。自分自身にどんなルールを持っているか。人気の料理家には、必ずブレない筋があります。

 

料理家への道は、SNSが大きく広げたと思いますが、本物だなと思える投稿にはなかなか出会えないのは、上記のようなことが関連しているのかな…と思ったりしています。

料理家の馬場さんが大切にしているもの

今回は、最近私が注目している、新進の料理家をご紹介したいと思います。
鎌倉を拠点に「New Table」を主宰する、馬場靖乃さん。
まだSNS投稿は少ないのですが(noteもはじめたばかり)、私は何度か彼女の料理教室に参加して、とてもファンになりました。

ショコラ専門パティスリー、ピエール・マルコリーニ銀座店のオープニングからスタッフを務めた馬場さんは、結婚後は専業主婦になりました。現在はご主人と長男長女、そしてお義母さんとの5人暮らし。料理が得意で、趣味で作り続けてきたスイーツが友人の間で評判となり、「教えてほしい」という声が増えたことで、料理教室を開くことを決意。その矢先、世はコロナ禍に…。

90歳を超える高齢者と同居しているため、ステイホームの時期が長く続き、人との交流が難しくなってしまいました。孤独を感じながらも、「今自分にできることを」と考えた馬場さんは、さらに料理と真摯に向き合うことを決意します。

誰よりも慎重に「コロナ明け」をして、ふたたび友人たちと交流をはじめた馬場さんは、ステイホーム期間に研究したレシピをさらに進化させ、料理教室「New Table」をスタート。自宅での少人数クラスや、出張教室、さらに大学で学生向けのワークショップを行うなど、精力的に活動をはじめました。

体に寄り添った食材・レシピで手作りするおやつ、高齢者からこどもまで、みんなで食べられる三世代の食事など、馬場さんのレシピにはどれも温もりを感じます。

「手作りすると様々な発見があります。そしてよく考え、行動すると感情が育まれます。
人それぞれに性格や体質、環境が違うように、食べるもの、選ぶものは違います。合うものがあれば、合わないものもあります。
良い食品、良くない食品ということではなくてそれよりも「知って考えて自ら選択、調節、行動すること」の方が大切だと思っています。
このサイクルは地球環境と自身の健康、災害時に食で命を守ることにも繋がると信じています。」

*馬場さんのnoteより引用 https://note.com/newtable_yasuno/

手作りしてみたい、New Tableのやさしいごはん

作りやすくて、毎日食べても飽きない、馬場さんのごはん。インスタグラムでは、いくつもレシピを惜しげなく公開しています。たとえば…

  

  

鶏ひき肉そぼろ丼

鶏そぼろとゆで卵、枝豆の3色丼。前日から作り置きができて朝ご飯やお弁当にも便利なおかず。

余ったそぼろはサラダの具材や冷奴にのせたり、根菜の煮物とあんかけにしたり様々なおかずになるので2日に分けて使える量を作っておく。

●材料
鶏ひき肉 450~500グラム
梅酢   15グラム(無ければ酒と塩で代用)
玉ねぎ  1個

みりん
醤油
生姜は好みで

●下準備
鶏ひき肉に梅酢(または酒と塩)を揉み込ん下味をつけておく。1~2時間程度。

作り方
1.鍋またはフライパンにみじん切りにした玉ねぎに被るくらいの水を入れ少し柔らかくなるまで茹でる。鍋には玉ねぎがかくれるくらいの水分をのこしたまま。
2.鶏ひき肉、酒お玉1、醤油お玉1、みりんお玉0.5、(すりおろし生姜)を入れ、煮汁のなかで鶏肉をほぐしながら火を入れる。
3.煮汁が馴染み鶏肉に火が通ったら完成。

 

直ぐに食べる場合は煮汁と一緒に器に盛る。(ひき肉に水分を残す為)。翌日食べる分は煮汁と一緒に冷蔵庫に保存。煮凝りが楽しみ。

 

ひき肉が細かすぎると器官に入り咽てしまいそうなので、ある程度の塊をのこしている。

 

高齢化社会に向かう日本で、これから求められるのは、食べる人のことを考えた、こんなごはんのレシピなのではないかな、と思います。 馬場靖乃さんのインスタとnote、ぜひチェックしてみてくださいね!

馬場靖乃さんインスタグラム

馬場靖乃さんnote

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