記念すべき第1回目は、鳩(@tyore)さんのリノベーション物件。築33年のマンションを3年前に購入し、リノベーションを行ったそうです。自分たちで手がけたDIYや、住み始めてから追加したセルフリノべなどについてもたっぷり教えていただきました。

HOUSTO 編集部

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ツレヅレハナコさんプロフィール

食と酒と旅を愛する文筆家。出版社勤務時代からブログやSNSが反響を呼び、文筆家に。現在は雑誌やWebメディアに多数寄稿し、『女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、『世界の現地ごはん帖』(光文社)、『47歳、ゆる晩酌はじめました。』(KADOKAWA)など著書も多数。
ツレヅレハナコ

鳩さん宅のプロフィール

住まいの種別:都内中古マンション→フルリノベーション
床面積:約70㎡
施工会社:非公開
間取り:1LDK
家族:夫、娘(2歳)、猫2匹

リノベのテーマは「つくりながら暮らす家」

ツレヅレハナコさん(以下 ハナコ):床が全面カーペット! 青が効いてますね〜。

鳩さん(以下 鳩):カーペット、珍しいですよね。これは私たち家族の希望ではなく、入居条件(防音対策)のひとつだったんです。ちなみに内見に来たときはピンクのカーペットが敷いてありました。シャンデリア照明もあってロココ調……。

ハナコ:そんな個性的な部屋を見たら、リノベのしがいがあるな〜と思いますよね! どうにでも変えられるというか。

鳩:もう伸び代しかない(笑)

ハナコ:そもそも、購入は中古マンションのリノベーション一択だったんですか?

鳩:夫婦ともに間取りやインテリアにこだわりがあったので、規格が決まっている新築マンションは難しいと思っていました。買うなら中古マンションをリノベするのがいいかなぁ、と。賃貸も考えましたが、ここは広さが十分にあって自由度の高いリノベができそうだというのが決め手のひとつになりましたね。

ハナコ:そうなんですね。リノベのテーマはあったんですか?

鳩:仕切りや壁はできるだけ取り払って、シンプルな間取りにしたいと思っていました。本来の間取りは2DK。今は1LDK+土間です。猫がいるので、走り回れる広いスペースを確保したかったという思いがあったんです。予算の問題もあったし、リノベ施工会社にお願いするのは最小限にして、後は住みながら自分たちで手を加えていこうと。だから、テーマは「つくりながら暮らす家」ですね。

ハナコ:DIY、やってみたら意外とできるもんだって言いますもんね。雑で不器用な私にはハードル高いけど(笑)

鳩:私も苦手なタイプです。テレビ横の本棚、洗面所の棚とタイル貼り、キッチンのタイル貼り、クローゼットのハンガーバー設置は夫がやってくれました。

キッチンカウンターも追加リノベ。自由度が高い間取りだからこそ、手直しやDIYが楽しめる

ハナコ:キッチンは家の真ん中にあるんですね。

鳩:リノベ前から位置は変えていないのですが、壁を取り払ったからオープンになりました。キッチン設備は「toolbox」で購入したオールステンレスキッチンです。シンプルに引き出しは少なめ、食洗機もつけませんでした。でもいざ入居したら収納が足りなくて、ホームセンターで買った木材を棚板にしてガス台の下にとりつけています。

ハナコ:toolboxはいい、という評判は私もよく聞きます。ステンレスいいですよね。食器棚がすぐ向かいにあって便利そう! キッチンの並びにダイニングテーブルもあるし、動線いいですね〜。

鳩:これはつい最近オーダーでつくってもらったキッチンカウンターで、下を食器棚として使っています。「WOODWORK」にオーダーして作ってもらいました。自分たちでつくろうと思ったのですが、さすがに難しくて。

ハナコ:お、私もよく買う箱ワイン(ルナーリア・モンテプルチアーの・ダブルッツォ)がある(笑)。これ安くてウマいですよね! キッチン側には食器が並んでいたけど、こちら側には棚板はないんですね。

鳩:将来は食事もできるカウンターとして使いたいと思っていて。今はりんご箱と収納ボックスを置いています。

ハナコ:りんご箱! これいいですね。どちらで買えるんですか? 箱がずれないように留めているこの金具も気になる。

鳩:オンラインショップ「木のはこ屋」で購入しました。金具はクランプと呼ばれている工具で、本来はDIYの作業中に材料を固定する目的で使うものですが、わが家では箱の固定に使っています。テレビ横の本棚でも似たような用途で使っていますよ。

ハナコ:へぇ〜。うちでもやろうかな。本棚のほうは針金を巻きつけているんですね。

鳩:こちらはハタガネといって、クランプの一種。薄くて幅の広い板をおさえるのに向いています。針金を巻きつけているのは、本の落下防止のため。地震などで多少揺れても、本がずり落ちにくいからおすすめですよ! どちらもホームセンターで手に入ります。

剥き出しのダクトと茂る植物が高相性。天井や壁もフル活用して空間を活かす

ハナコ:天井も高いですよね。コンクリートと換気扇ダクトが剥き出しですが、それがまた無骨でカッコいい。

鳩:隠そうと思っていましたが、いい感じなのでそのままです。

ハナコ:このダクトレールからぶら下がっているのは、もしや電源タップ?

鳩:そうです! リノベ時にコンセントの位置を決め込むほうがすっきりしますが、飽きっぽい私たちにはこのほうがいいと思って。「パナソニック」のリーラーコンセントです。

ハナコ:レール内で位置を変えられるし便利ですね。猫もロボット掃除機も干渉しないし。そういえばこのおうち、天井からぶら下がってるものが多いな〜。植物の量がすごい!

鳩:夫の趣味です。増えすぎて困っているくらい。ここは天井にフックを取りつけて、棒を通しています。本来は洗濯物干しスペースのはずなんですが…。

ハナコ:洗濯物ではなく植物が占領している!(笑) コンクリートに穴って開けられるんですね。ご自分でやったんですか?

鳩:もともと通気口などの穴がたくさん空いていていたので、そのまま活用しています。コンクリート専用のフックはホームセンターで手に入れ、自分たちでDIYしました。ちなみに棒は、こちらもホームセンターで買った鍬(クワ)の柄を活用しています(笑)

ハナコ:よく見たら床は一部カーペットじゃなくて土間みたいになっていますね。ダクトもあるから、バランスがめちゃくちゃいいなぁ。

鳩:水回りと、ベランダとの境目はセメント塗りにしました。でも水回りはともかく、ベランダのほうは端っこまでカーペットでもよかったかな。リノベで少し後悔している点です。全面カーペットのほうが、部屋がもっと広く見えたかも。

「こうすればよかった」はあるけれど、追加で手を加える楽しさもある!

ハナコ:なるほど〜。他にこうすればよかったとか、妥協したポイントはありますか?

鳩:大きく後悔したところはないですが、シンプルな間取りを追求した結果、収納が少なくなってしまったことは妥協ポイントですかね。

ハナコ:確かに作りつけの収納がほとんどない。リビングの本棚と、寝室のクローゼットくらいですかね?

鳩:あとは玄関を入ってすぐの土間に少し。夫の工具コーナーになっています。こどもが成長したら荷物ももっと増えるし、もう収まりきらないですね。実はもう少ししたら、今寝室として使っている部屋をこども部屋にする予定なんです。それで、キッチンと土間の間のスペースに新たに寝室をつくろうかと計画中です。

将来寝室になる予定のスペース。正面の室内窓の奥が土間になっている

鳩:このスペースにベッドを置いて、カーテンか何かを上から吊るそうかと。そんな経緯もあり、ここに室内窓をつけて置いてよかった!と住んでみて実感しています。

ハナコ:さらに奥の窓も開ければ風通しがよさそうですもんね! 部屋も広く見えるし。

鳩:反省点としては、リノベ施工会社をもう少しこだわっていろいろ探してみてもよかったですね。とても暖かい対応をしてくれる会社だったのですが、リノベ自体の提案はあまり多くなくて。ざっくりした要望しか伝えなかった部分は「あれ?こんなはずじゃ」という仕上がりになってしまった部分もあります。私たちも初めてのリノベなので、どこまで細かく伝えたらいいか分からない部分もたくさんありました。

ハナコ:一度経験したからこそ言えることですよね。分かる〜。建築家や設計士との相性もありますし、家づくりはほんと難しいです。

鳩:今ならいろいろ分かるし、2回目のリノベはうまくいくはず! そんな予定はありませんが…。予算的に妥協したのは、ドア。木の造作建具にしたかったけれど、オーダーするととんでもなく高いんです。結局、既製品の中から選びました。

インテリアにはなるべく色を使わない。木製家具と植物で青いカーペットを引き立てる

ハナコ:インテリアのコンセプトは決めているんですか?

鳩:青の主張が強いので、ケンカするような色は使わない。あとフローリングではないぶん、木の要素をできるだけ入れるようにしています。ソファは木のブラウンがきれいな「ハンス・J・ウェグナー」のデイベッドを選びました。背面部の木板はテーブル代わりにもなるし、簡易ベッドとしても使えて気に入っています。植物の緑とも相性がいいかなと思います。青と木と緑の部屋です。

ハナコ:この壁収納もいいですね。細々したものを機能的に整理できていて素敵〜。

鳩:「vitra」のウーテン シロ 1という壁掛け収納です。私はものをあまり入れないほうがいいと思っているのですが、夫は入れたい派。抜いても抜いても、いつの間にかものを入れられていますね…。

ハナコ:夫婦でそれぞれに主張がある(笑)。でも生活感が出てしまいがちなアイテムは収納に困るから、参考になります。あとさっきから気になっていたんですが、熊の木彫りが家のあちこちに。

鳩:熊のモチーフが大好きなんです。木彫りの熊は、阿寒湖を訪れたときからハマってしまって! テレビ横に置いているのは、こどもをくわえている珍しいデザイン。壁にかけている熊も素朴な表情でお気に入り。

ハナコ:本棚にも熊の木彫り図鑑、ありましたね! いわゆるみやげものの木彫りとは違って、どれも味があって素敵~。

ハナコの取材後記

ゆるい間取りで、部屋の使い方を決め切っていないところがおもしろい!と感じました。最初から完璧主義じゃなくて、住みながら変えていく。つくっていく。いい意味で肩の力が抜けていて楽しそうだな〜。私の家は戸建てなので、マンションリノベの考え方はかなり新鮮。あるものを生かしつつ、自分たちの使いやすさと向き合ってリノベするのは工夫のしがいがありますね。真似したいと思ったのは、りんごの木箱棚。無骨な感じで、インテリアとしてとり入れてみたいです。ホームセンターにも行かねば!

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