第3回目は、ひださん宅の一戸建てを訪問。何よりもまず家の素材を厳選したという注文住宅です。間取りは、小さなこどもがのびのびと走り回れる空間を確保。こだわりポイントを見せていただきました。
ツレヅレハナコさんプロフィール
食と酒と旅を愛する文筆家。出版社勤務時代からブログやSNSが反響を呼び、文筆家に。現在は雑誌やWebメディアに多数寄稿し、『女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、『世界の現地ごはん帖』(光文社)、『47歳、ゆる晩酌はじめました。』(KADOKAWA)など著書も多数。
ツレヅレハナコ
ひださん宅のプロフィール
住まいの種別:注文住宅
床面積:約98㎡
施工会社:スミャスク
間取り:1LDK
家族:夫、娘(4歳)、息子(1歳)
アパートが手狭になり、購入を検討。無添加住宅を建てたかった!
ツレヅレハナコさん(以下 ハナコ):木のおうちですね! リビングダイニングが広々していていいな〜。吹き抜けがあるから開放感もある〜!
ひださん(以下 ひだ):自然素材でつくった家なんです。
ハナコ:もともとのお住まいは?
ひだ:アパートでした。こどもも生まれて手狭になってきたから購入を検討し始めたんです。建売も考えたけれど、どうせ同じくらいお金がかかるなら注文住宅がいいなと。
ハナコ:工務店はどうやって決めたんですか?
ひだ:無添加、自然素材の家というのが最も大きなポイントです。4歳の娘は肌が弱いので、いろいろ調べているうちに無添加住宅という言葉を知ったところがスタート地点。この家の施工会社は、ネット検索でヒットした1件目の会社だったんです。モデルハウスを見に行ったら、もう一目惚れで。
ハナコ:へぇ! 他はまったく見なかったんですか?
ひだ:大規模展示場でハウスメーカーをいくつか回りましたけど、もう「スミャスク」以外では考えられなかったですね。予算は厳しかったんですが、ちょっと頑張ってでも自分たちがいいと思うところにお願いしたいなと思って。
ハナコ:すごい〜。そこまで惚れ込んでつくったおうちなんですね。それにしても「無添加」とは?
ひだ:基本的にどれも自然素材を使っています。構造材は天然無垢だし、床は杉。壁もビニールクロスではなく珪藻土です。これ、すべてオプションじゃなくて標準仕様なんですよ!
湿気がこもらない、空気が乾燥しすぎない快適さを重視
ひだ:娘の肌を考えて、というのもありますが、調湿機能が高い素材をたくさん使っていることもかなり大きな決め手でしたね。私たちは夫婦ともに北海道出身。関東に来てから湿気のジメジメに耐えられなくて…。モデルハウス見学の際に、杉や珪藻土は湿気を吸い取ってくれると聞いて、もうここしかない!と。
ハナコ:昨年8月入居ということなので、梅雨のジメジメ時期はこれから体験されるんですね。どうなるか楽しみ! もしかして、すでに違いを感じられていますか?
ひだ:断熱材にはセルローズファイバー(木質繊維)を使っていて、冬はとても暖かく快適でした。結露を防いでくれるみたいです。セルローズファイバーも自然素材で、標準仕様なんですよ。
ハナコ:リビングの一角にあるこの黒い機械が気になっているんですが、もしかしてストーブ?
ひだ:はい、ペレットストーブで、「シモタニ」のEM Ⅱです。北海道って、エアコンをあまり使わない人が多いんです。私たちもエアコンの風にどうしても馴染めなくて…。これはペレットを燃料にしています。煙が気になるかな?と思ったのですが全然出ないし快適です。
ストーブ導入は、家づくりで夫が唯一こだわったポイントかも(笑)。
ハナコ:湿気と空気にこだわってる〜! そして家づくりはやっぱり奥さま主導だったんですね(笑)。
ひだ:夫は、寝る場所さえあればいいという感じでした。他に希望ないの? もっと何か出してよ!とケンカになったことも何度もあります(笑)。打ち合わせ時期はちょうど下の子の妊娠中。あれもこれもと考えることがたくさんあって大変だったなぁ…。体調が悪いときは夫だけ事務所に行ってもらい、私は家からオンラインで打ち合わせに参加することもありました。
ひだ夫:打ち合わせには毎回必ず参加しましたよ! 嫁さんがやりたいようにやってほしいという思いがありました。ただ、平面の間取り図で見てもイメージが湧かなかったみたいで、それを説明するのには苦労しましたね。
ハナコ:家づくりでいろいろな方に話を聞いていると、みなさん建てるタイミングに悩まれているんですよ。おふたりは30代前半ですよね? 一般的に考えればかなり早い! 計画的だなぁ〜。
ひだ:漠然と土地を探している時期も長かったけれど、いい場所が見つかったのが大きいですね。ここはちょうどネットに掲載される前に購入することができたんです。土地探しの段階から工務店へ相談に行っていたこともよかったのかもしれません。
水回りは総まとめ。洗面所からクローゼット、浴室まで回遊できる間取り
ハナコ:間取りでこだわったところは? かなり広めの1LDKですよね。
ひだ:じつは家の素材が一番のポイントで、自分の家に住めれば間取りはどんなものでも満足、と思っていました。1階がリビングダイニングと水回り、2階は広いフリースペースと寝室です。フリースペースはこどものおもちゃをたくさん置いて、遊び場にしています。リビングもこどもが走り回れる広さなので、それはとても気に入っていますね。ゆるい間取りだから、どこにいても家族がつながっている感じです。
ハナコ:キッチンの奥の設計が面白い! 洗面所、ファミリークローゼット、洗濯室、浴室の順番で並んでいて、回遊できるようになっているんですね。
ひだ:これは絶対にやりたかったことです! クローゼットと洗濯室の間には勝手口をつけて、洗濯物を外干しできるようにしています。乾いた服を取り込んでしまうのもラクですよ。
ハナコ:なるほど、浴室のドアを開けたらすぐダイニングテーブルのほうへ抜けられるんだ。家事しやすそう! 水回りがまとまっているから、お子さんのお風呂の世話をしながら料理したりもできますね。
玄関は横長に。家族みんなでゆったり使えて植物も置ける
ひだ:玄関を広めにとったことも、わが家らしいポイントかな? 横長の土間なんです。家族4人で家に帰ってきたとき、玄関が詰まっちゃうのがイヤだなぁと思って。買い物の荷物がたくさんあっても余裕で置けます。
ハナコ:これだけ広ければどっさり買い物しても大丈夫ですね! 土間に刻まれたご家族の手形と足形が素敵〜。
ひだ:建築時につけさせてもらいました! 時々植物で隠れたりもしていますが(笑)。
ハナコ:そうそう、このおうち、植物がいっぱいですね。
ひだ:夫婦2人とも植物が大好き。玄関は土間になっているので、水やりも気を使わなくていいから助かっています。
ハナコ:キッチンカウンターにもいっぱい。ちなみにキッチンの壁にかかっている時計、うちと同じです! IKEAですよね。
ひだ:そうです、うれしい〜。
ハナコ:リーズナブルですけど、「どこのですか?」ってよく褒められるんですよね。
ひだ:わが家は家具もほとんどIKEAです。家の素材にお金がかかっているぶん、家具は手持ちのものとIKEAでコストを抑えました。あと、キッチンなどの設備もグレードを上げずにほとんど標準を選んでいます。
ハナコ:まさにメリハリですね!
ハナコの取材後記
このお宅は間取りより家の素材、家族が健康に過ごせる家が最優先! 家づくりは間取りや設備にこだわって、素材はなんでもいいという人もいるから、住む人によって理想の家は全然違うということに改めて気づかされた取材でした。力を入れている通り、夏も冬も快適に過ごしやすそうでいいな〜。今回はペレットストーブが可愛くて私的にヒットでした!