手入れがほとんどいらない多肉植物。初心者でも取り組みやすい寄せ植えが人気です。寒さにも強い植物ですが、極寒の季節には、気をつけたいポイントがあります。
越冬のコツを教えてくれるのは、工房「グレナトレド」代表、グリーン・コーディネーターの新井奈緒子さんです。

新井奈緒子

新井奈緒子

「グレナトレド」代表。グリーン・コーディネーター、デザイナー。横須賀市にある工房では、アレンジや寄せ植えなどさまざまなレッスンを、また各地でワークショップを開催。個人宅から、都内のインテリアショップまで、室内外のグリーンコーディネートを幅広く手がける。

https://www.grena-tred.com/

植物の個性に寄り添って

今回から一年間、本コラムを担当する、新井奈緒子です。
初回なので、少しだけ自己紹介をさせてください。

私は神奈川県横須賀市で、「グレナトレド」という予約制の工房を運営しています。リースや緑を扱う教室の開催、店舗のグリーン・コーディネートから、庭木の手入れなど、植物に関わるさまざまな仕事をしています。

主に活動している湘南エリアでは、お客さまや生徒さんから、よく相談を受けます。

「奈緒子さん、うちのサボテン、元気がないんです」
「葉っぱの裏に変な虫がついています!」
なかには、写真とともに、
「これ、まだ生き返りますか?」
と聞かれることも……。

さまざまな質問を受けながら、よく考えることがあります。
やっぱり植物も、人間と同じで、個性がある、ということ。
育てる人が、どれだけその個性に寄り添い、異なる環境にそれぞれ順応させていくか。植物の個性を知れば知るほど、イキイキと育ってくれます。
そして時々、「こんな花が咲くの?」「こんな実がつくんだ」などと、うれしい驚きをもたらしてくれるのです。
ぜひ、植物たちの個性を知って、長いお付き合いを楽しんでみてください。

今年、グレナトレドはちょうど10周年を迎えます。
このコラムが、みなさまのグリーン・ライフに、少しでもお役に立てたら幸いです。

基本的に外置きの多肉植物。真冬でもそのままで大丈夫?

さて、第一回目に取り上げるのは「多肉植物」です。
多肉は扱いも簡単で、種類も多彩、一年を通じて楽しめる植物です。プレゼントにも最適で、ワークショップでもずっと人気があります。

一般的には春や秋に寄せ植えをすることが多いのですが、私は1月から2月の寒い時期によく作ります。寒い時期に作った方が、腐りにくく、長持ちすると思っています。

多肉植物も紅葉するって、ご存知でしたか?
表面がうっすらピンク色になることがありますが、これが紅葉です。これからの季節、変化を楽しめますので、ぜひ多肉植物の寄せ植えに挑戦してみてくださいね。

多肉の寄せ植えはデザイン性に富み、かわいいので「室内で観賞したい」という人も多いのですが、これはNG。多肉植物はムレに弱いため、室内には向いていません。外置きが基本です。

真冬の水やり頻度はどのくらい?

水やりは、冬なら月に一度くらい、土が完全に乾いている状態で与えて、その後は乾かし気味に育てます。
寒さにも強いので、ほとんどほったらかしでも大丈夫。
ですが、雪が降るような、これからの極寒の季節だけは、ちょっと気にかけてほしいのです。

1〜2月は、夜になったら玄関へ

極端に寒くなる夜から朝方にかけては、さすがの多肉植物も凍ってしまい、元気を失うことがあります。私はこの季節、夜になったら、多肉植物たちを玄関に入れています。

もしも、玄関に入れるスペースがなかったら。発泡スチロールや段ボールなどで夜だけ囲ってあげるというのも手です。不織布をかけておくのもいいと思います。雪の場合は、衣装ケースのようなものでカバーする方法もあります。
囲いをした場合は、重石をして、風で飛ばないように気をつけてください。

そして朝になったら、日中は必ず外に出してあげること。
囲いの場合も、外して日光に当てること。
雪の場合は、降りやんだのを確認してから出してください。
気温の基準ですが、5度以下が長く続くようなら、玄関に入れておくことをおすすめします。

春がきたら、ところどころ歯抜けになってしまっていた……というのが、多肉の寄せ植えでよくある相談ですが、こうして極寒から守ることで、上手に冬越しをさせることができるはずです。

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