姿形がユニークなエアプランツは、インテリアとしても大人気です。でも、「水は不要」「ほったらかしで大丈夫」と思いこみ、気がついたら枯れていた……という人も多いのでは? 「本当は、エアプランツはお水が大好き。きちんと手をかければ、ずっと長持ちしますよ」エアプランツとの上手な付き合い方を、工房「グレナトレド」代表、グリーン・コーディネーターの新井奈緒子さんに教えてもらいました。
それ、全部間違いです! エアプランツの都市伝説
10年以上前から流行が続いているエアプランツ。今ではグリーンショップだけでなく、インテリアショップでもおなじみのかわいいグリーンです。買い求めやすい掌サイズから、大きく高価なものまで、種類もさまざま。土がいらないので、初心者でも育てやすい印象があります。ところが……
「放っておけばいいと思って買ったのに、気付いたら枯れていた」
「空気中の水分だけで、お水はあげなくていいんですよね?」
「ボトルの中で育てるのがいいと聞きました」
「たまに水中に一日漬けておくのがいいらしい」
よく、こんな声を聞きます。そのたびに、「エアプランツの都市伝説にみんな振り回されているなあ」と残念に思います。
みなさん、エアプランツの代わりに、声を大にして言いますね。
「それ、全部間違いですから! 私たち、かまってほしいんです!!」
上の写真をよく見てみてください。
このエアプランツは、もう水分が足りていない状態です。葉の部分が丸まり、根っこもしんなりしています。こうなっていると、「お水が足りない」サイン。
一方で、元気なエアプランツは、このように葉に張りがあって、イキイキとしています。
比べてみれば一目瞭然なのですが、単体で育てていると、ちょっとわかりにくいかもしれません。
乾いてくると葉が丸まって、全体的に干からび、挙句には黄色くなってポロポロと葉が落ちてしまいます。これはやっぱり、インテリアの一部になると見逃してしまうからだと思います。エアプランツも生き物。ほかの植物同様、目をかけて、乾燥に注意してあげてください。
エアプランツにも水やりは必要! 裏側から、霧吹きでしっかり水分補給を。
エアプランツにも潤いが大切。空気の滞りや冷暖房の乾燥は大敵です。
冬はもちろん、3月から4月にかけては、まだまだ乾燥が続きます。
週に一度程度、様子をみながら霧吹きをしてあげてください。下側からかけて、濡れたらしっかり風にあてて乾かすこと。この「乾かす」という工程がとても大切なんです。つまり、メリハリが大事。
また、「ソーキング」といって、エアプランツを水に漬けておく方法がありますが、私はあまりおすすめしていません。長く水に漬けた後、湿った状態が続くと、環境によっては腐りやすくなるからです。どうしても漬けたい場合は、短時間で。内側に水をためないように、逆さにして乾かすのがコツです。
でもやっぱり、手間を考えると霧吹きが一番。
これからの季節なら、雨にあてて、そのまま外でしばらく置いて乾かすのもいいと思います。
ガラスの器に入れてぶら下げ……はエアプランツの鬼門!
ショップなどでは、たまにハンギングガラスの中にエアプランツを入れたインテリア提案を見かけます。見た目はとても素敵なのですが、エアプランツにとっては、実は苦しい環境。空気が滞る上、このまま水を与えると、蒸れて弱ります。
また、取り出す際に傷をつけてしまうのも心配。ハンギングガラスには、本物のエアプランツではなく、フェイクグリーンを合わせるのがおすすめです。
また、お皿の上に直接置くパターンも要注意。寒いシーズンには、お皿の冷気が直接エアプランツに伝わることで冷えてしまい、乾きやすくなります。貝殻やくるみの殻など自然素材のものをお皿に置き、ワンクッションを挟んでから飾るといいでしょう。
おすすめは、真鍮など丈夫な素材で作られたハンガーで吊るす飾り方。
霧吹きもしやすく、360度空気が当たるので、蒸れにくい。見た目もおしゃれです。
そして、木などの自然素材と組み合わせて飾るのもいい方法です。木は適度に水分調節をしてくれます。
流木やコルクなど、なんでもOK。このまま霧吹きをしてしまって大丈夫です。
エアプランツの成長はゆっくり。焦らずに見守って
水をあげてしばらくすると、エアプランツはイキイキふっくらとしてきます。まずその状態を把握し、それぞれの季節や家の環境で、どれくらいの頻度で手をかけるべきかを知っていくといいと思います。
水をあげても元気を取り戻さない……というとき、真冬・真夏でなければ、外の日陰に出してしばらく様子をみてください。外気の湿気を吸って、生き返ることがあります。
一度ダメにしてしまうと、なかなか手を出しづらくなるものですが、コツさえつかめば、エアプランツは長く楽しむことができる植物です。失敗した人もぜひもう一度トライしてみてはいかがでしょうか。成長はとてもゆっくりですが、きれいな花を咲かせることもあります。
ちなみに、大きなタイプの「ドーラティ」(私はイカ星人と呼んでいます)は、少し高価ですが、とても強い種類なので、実は初心者向け。プレゼントにもおすすめですよ。