GWも終わり、梅雨前のひととき、過ごしやすい季節になりました。が、意外とこの季節にダメにしがちなのが、強いはずの「サボテン」たち。夏が始まる前にケアをして、しっかりと育ててあげましょう。サボテン大好きなグリーンコーディネーター、工房「グレナトレド」代表の新井奈緒子さんに聞きました。

新井奈緒子

新井奈緒子

「グレナトレド」代表。グリーン・コーディネーター、デザイナー。横須賀市にある工房では、アレンジや寄せ植えなどさまざまなレッスンを、また各地でワークショップを開催。個人宅から、都内のインテリアショップまで、室内外のグリーンコーディネートを幅広く手がける。

https://www.grena-tred.com/

「私、サボテンも枯らす人なんです」

みなさんにとって、サボテンはどんなイメージでしょうか?
砂漠、灼熱の太陽の下、過酷な状況でもグングンと伸び続ける元気な植物。そのイメージは、「強い」ではないでしょうか。
ところが、わが工房にS O Sと持ち込まれる植物のトップ3に、サボテンが入っています。

このワード、よく聞きませんか?
「私、サボテンも枯らす人なんで…」。
サボテンすら育てられない=植物を育てるのが苦手、という感じでみなさんよくこうおっしゃるのですが、実はそうではないのです。

日本の一般家庭、特に室内でサボテンを育てるのは、実は意外と難しい。
そして、特に気をつけたいのが、5〜6月。本格的な夏が来る前、まさに今。暖かく、心地よい季節ではありますが、日本のサボテンたちにとっては、要注意シーズンなのです。

五月病でサボテンも枯れる!?

例年、5月はまだエアコンをつける頻度が少ない時期。だから、家の中が蒸れやすくなります。気温は上がりますから、水をたくさんあげすぎたりして、土を乾かさないでいると、ダメになりやすくなります。逆に気候がいいからと気が緩んで、水やりを怠ると、これまた枯れる原因になる。

人もG Wが終わると気分が下がり、五月病と言われることもありますが、この季節、植物へのケアをサボってしまう人が増えていると感じます。

強いと思っていたサボテンが枯れてしまうのも、この季節が多いです。
理由は、蒸れ、または水不足。極端ですが、どちらもあるのです。

サボテンの水やりは春と秋。「月に一度、多めに」が合言葉

では、どのようにケアしたらいいのか。
サボテン(今回はユーホルピアもサボテンの仲間として紹介しています)は、水が不要だと思われているようですが、もちろん必要です。
春と秋、月に一度、多めにあげます。この5月は、気温が一定になったら、外に出してたっぷりと、鉢底から流れ出るくらい水をかけてください。
そして風通しの良い日陰へ。一晩外に置き、きちんと土を乾かしてから室内に戻します。
ただし、湿度の高い日が続き、蒸れそうだと感じたら、多めの霧吹きで様子を見てください。

種類によっては、この方法が向かないサボテンもありますので、購入の際、お店の人に確認をしておくと安心です。

真夏と真冬は、水やりの必要はありません。
暑い時、寒い時には、同じような温度の下、じっと環境に慣れていくのがサボテンの特徴、とてもタフなのです。

ところが、暑かったり寒かったり、不安定になると、調子が悪くなる。サボテンは切ってみるとよくわかりますが、中身はほとんどが水分です。この水分が、煮えたり冷えたりを短期的に繰り返すことで、不調を招くのです。
人の体調も、同じようなものですよね。

長持ちさせるなら、意外と「外でほったらかし」が一番

インテリアとしてサボテンはかわいいので、どうしても室内に飾りたくなるものですが、長持ちさせ、かつ大きくしたいと思うなら、地植えにトライしてみるのもいいでしょう。

ウチワサボテンなど、種類によっては、一部を切り落として軒下など外に置いておくだけで、新たな芽をつけて定着するものがあります。やがて季節の変わり目にも順応して、どんどん強くなっていきます。
庭がないという場合も、大きめのプランターでベランダ栽培してみてはいかがでしょうか。

いずれの場合も直射日光は避けて。真冬は霜に当たらない場所を選びましょう。

色鮮やかなサボテンの花もかわいいものです。
いろんな種類を並べるのも楽しい。そしてやはり、ほかの植物に比べて霧吹きなどの手間があまりいらないのは楽なのです。
ぜひたくさん、大きく育てて、サボテンとの暮らしを楽しんでみてくださいね。

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