グリーン好きなら、一度は手に入れたことがあるのでは? もじゃもじゃの見た目がかわいい「ウスネオイデス」は、雑貨店でもよく見かける、定番人気のエアープランツです。手が出しやすい反面、枯らしやすいグリーンでもあって…。今回も工房「グレナトレド」代表、新井奈緒子さんに、ウスネオイデスの育て方のコツを教えてもらいました。
「枯らした」経験ナンバーワン! 意外と難しい? ウスネオイデス
エアプランツ「ティランジア」は、世界に700種類ほどあるそう。なかでもこのウスネオイデス(スパニッシュモスとも呼ばれます)は、日本で特に人気があります。
「3月のグリーン 本当は手がかかる? 『エアプランツ』のウソ・ホント」でも紹介しましたが、エアプランツという名前から、「空気から水を取り込むから、水やりは必要がない」と勘違いをしている人が多いのですが、ほかのエアプランツ同様、ウスネオイデスも水が大好き。つい水やりを怠って、枯らしてしまったという人は多いのではないでしょうか。
この独特の形状から、枯れていてもそれなりに絵になるので、「生きているかいないのかわかりにくい」という声も聞きます。枯れてしまったら、ドライフラワーとして楽しむのも一案ですが、やっぱり生物ですから、長く生かしてあげたいですよね。
比べたら歴然!元気なウスネオイデス(右)はふわふわしています。
比較するとわかりやすいのですが、ウスネオイデスには「太葉」タイプと「細葉タイプ」があります。
左が「太葉」タイプ、右が「細葉」タイプ。
初心者は、扱いが比較的楽な「太葉」タイプを選ぶといいでしょう。乾燥しやすい「細葉」タイプは、慣れた人、上級者向けという感じです。
茎を下に伸ばしていき、垂れ下がった状態でゆっくり成長するグリーンです。
どちらも、うまく育てれば花が咲くこともあります。小さな花なので目立ちませんが、見つけるとうれしくなります。
毎日こまめに霧吹きを。週に一度はほぐして水やりを
とにかく乾燥には弱いので、こまめに霧吹きを。
週に一度は、しっかりと水やりをします。ショップや雑貨店では、上の方できゅっとまとめて吊り下げてあることが多いと思いますが、結んであるところから乾燥しがちなので、水やりのときにはきちんとほぐしてあげるのがポイントです。
水道水でざっと濡らしてもいいですが、雨が降っていたら、表に出して直接雨を当てるのが一番です。
風が強いと飛んでいってしまうので、気をつけて。
工房でも、ふだんから時間があれば、ここちよい風が吹く日に、屋外の日陰に出して、雨にもあてています。冬は寒さに注意しながら行います。
「ソーキング(水に漬ける)をしたほうがいいですか?」と聞かれることもありますが、私はそこまでは必要ないと思っています。浸したい場合は、さっとでOK。
浸しっぱなしにすると、蒸れやすく、枯れる原因になってしまいます。
冬は加湿器で水分を、と言われることもありますが、そこまでしなくても大丈夫。
霧吹きをしたり、部屋干ししている洗濯物があれば、そのそばに吊るしておくのもいいと思います。
水に濡らしたら、ほぐしてしっかりと乾かす
乾燥にも弱いですが、蒸れにも弱いのがウスネオイデス。
束ねてある部分もしっかりほぐして水をやったら、広げるようにして干すのがコツです。
干すときはハンガー状のものが便利。
写真のものは金物作家さんに作ってもらったもので、下辺が波型になっていて、ウスネオイデスを干すのに持ってこいなのです。
もちろん、洗濯物用のハンガーでもいいですし、太めの針金で、小さなハンガーのようなものを手作りすれば、インテリアとしてもかわいいと思います。
しっかりと乾いて、また結ぶときには、結び目を変えてください。なるべくふわっと結んであげたほうが、負担も少なく、細くなりづらいです。
量が多かったら、分けて飾るのもおすすめです。一房があまり少ないと見た目も寂しいので、分ける場合は2つ程度に留めておくとよいでしょう。
一部が枯れてきたらどうする?
細葉タイプはほぐすのが難しいので、まとめて水に当て、なるべく広げて干します。どうしても蒸れやすく、中心から枯れてしまうこともあります。
一部が枯れても、全体の7、8割が元気なら、特に気にすることはありません。
途中が枯れていても、先の方から新芽が出てくることもあります。
太葉は、枯れたところを取り除きやすいので、どんどん少なくなってしまったという人もいますが、新しいものを買い足して一緒に飾り、束を増やしてもいいと思います。
水やりのコツが掴めたら、あまり枯れることはなくなると思いますので、ぜひ根気よく育ててみてください。
ほかの植物と一緒にしてあげると喜ぶウスネオイデス
家の中で、ほかの観葉植物にひっかけて飾るのもおすすめです。
これは見た目だけではなく、湿気を分けてもらうという意味があります。
自生地の中南米では、ウスネオイデスは木々にぶらさがって生きています。もともと自力で水を蓄えるのが苦手なので、ほかの植物に助けてもらっているのでしょう。
さみしがりやのウスネオイデス。こまめに調子をよく見てあげれば、きっと大丈夫。今度こそ枯らさないで、ぜひ家族の一員として、長く育ててあげてくださいね。