ようやく師走らしくなってきました。この季節に元気なグリーンといえば、意外にも「苔」。「苔玉」は夏のイメージがあるかもしれませんが、苔は蒸し暑い時期よりも、ぴりっと空気が冷えた冬にイキイキと育ちます。お正月仕様の苔玉づくりにチャレンジしてみましょう。つくり方や育て方のコツは、今回も工房グレナトレド代表、新井奈緒子さんが教えてくれます。

新井奈緒子

新井奈緒子

「グレナトレド」代表。グリーン・コーディネーター、デザイナー。横須賀市にある工房では、アレンジや寄せ植えなどさまざまなレッスンを、また各地でワークショップを開催。個人宅から、都内のインテリアショップまで、室内外のグリーンコーディネートを幅広く手がける。

https://www.grena-tred.com/

コロンとしたフォルムがかわいい! 苔玉でつくるお正月飾り

大掃除、進んでいますか? そろそろ年末、お正月を迎える準備をする時期になりました。
お正月のインテリアというと、門松、お正月飾り、鏡餅…といったところでしょうか。実際はクリスマスと違ってあまり飾りつけはしないという家も多いと思いますが、私のおすすめは「苔玉」でつくるインテリアです。

この季節になると、お花屋さんやホームセンターなどで小さな松がポットで売られています。苔玉と組み合わせ、盆栽のように仕立てて和風の飾りつけを施したら、お洒落なお正月アレンジのできあがり。クリスマスが終わったら窓辺などに飾って。また、新年を祝う食卓に置いても素敵です。

苔玉は、なんとなく春から夏のイメージがありますが、苔は暑さよりも寒さに強い植物。今なら、ホームセンターの園芸コーナーや大型園芸店などで見つけることができると思います。ベルベットのようにきれいな苔を使って、苔玉づくりにチャレンジしてみませんか。

簡単にできる苔玉のつくり方

苔玉をつくるときは「けと土」を使います。けと土は盆栽に使われる粘土質の土です。

苔玉は、もともと盆栽づくりの「根洗い」という作業から生まれたそうです。根洗いとは、何年か育てた盆栽を鉢から取り出し、器に置いて根鉢として鑑賞すること。このとき根の周りに苔を巻いたのが、苔玉のはじまりといわれています。

苔玉づくりの材料

けと土、培養土、赤玉土、炭

好みのグリーン
木綿糸
針金

苔玉のつくり方

1.土台の土ボールをつくる

けと土5:培養土3:赤玉土1:炭1くらいの配合で混ぜ、少しずつ水を加えながら、耳たぶくらいのかたさになるまで練る。土台となる玉部分は、肉団子のようにギュギュッと固めて。

2.苔を巻き付ける

すわりよく丸められたら、ここに苔を巻きつけていきます。

苔は適度にちぎりながら、服を着せるようにくっつけていきます。

全体に苔を巻きつけたら、軽く握ってまとめます。

3.全体に糸を巻いていく

片手に苔玉をのせたら、木綿糸を巻いていきます。イメージは、着膨れしている苔を土台の玉にピタッと密着させていく感じ。バランスよく、グルグル巻いてみてください。

巻き終わりは、見えづらい部分に針金をさして糸を始末します。

永遠に苔玉でいられるグリーンはない

今回は中心に据えるグリーンを、松・コウモリラン・シンゴニウム ネオンで作ってみました。ほかにはアイビーもおすすめです。基本的にグリーンは好みで選んで大丈夫。ただし、乾燥気味に育てた方がいいものは向いていません。苔同様に、水を好む植物が適しています。

特に温かい室内では、乾燥に注意してください。苔に水分を与えるイメージで、毎日全体に霧吹きを。また週に一度は水をかけたり、バケツの水に沈めたりして、土に水を吸収させましょう。グリーンが寒さに強いタイプなら、外置きで育てることもできます。

残念ながら苔玉は、そのままずっと元気でいられる形ではありません。もって数年というところでしょうか。中心のグリーンは、苔玉のままでは大きくならないので、調子が悪いなと思ったら苔をむいて土に植え替えてあげましょう。

小ぶりで扱いやすい苔玉は、はじめてのグリーンとしても最適です。
手づくりの苔玉とともに、楽しい年末年始をお過ごしください!

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