気密性の高いマンションは、グリーンを育てるのが難しいといわれています。「自宅の環境に適したグリーンを選んで、適切にケアをすれば、ちゃんと長持ちしますよ」と教えてくれるのは、グリーン・コーディネーターの新井奈緒子さん。湘南のマンションに赴き、お手入れのコツを教えてくれました。
マンショングリーンの育て方①日当たり・風通しを適度に設定

海にほど近い湘南のマンションの2階に暮らす、フィトセラピストの松井依里さん。奈緒子先生の提案で新たなグリーンを導入し、完成したインテリアにご満悦です。
もともとグリーンを使ったインテリアが大好きだという松井さん。自己流でさまざまなグリーンや観葉植物を育ててきましたが、いくつも枯らしてしまったことがあるそう。
松井さん:買ってきた当初、数週間はとても元気なんですけど、気づいたら急にダメになってしまうことが何度かあって。なんとなく、葉っぱが繊細なタイプのグリーンは枯れやすいのかな、と感じています。
奈緒子先生:まずこの部屋は、本当に日当たりがいいですよね。室内の観葉植物でいうと、アジアンタムやカラテアなど、葉っぱがやわらかいタイプのグリーンは、特に直射日光に弱いので、レース越しくらいの日差しの場所に置くことが大切です。水不足にも気をつけたいところですが、逆にあげすぎも根腐れの原因になって、よくないんです。
松井さん:旅行が好きなので、留守にすることもよくあります。だからつい、多めに水をあげていくんですが……。
奈緒子先生:夏場は特に、多めに水をあげて、マンションの室内をしめきって出かけることで、根っこの環境が悪くなることがあります。どうしても出かけなければならないときは、水をあげた後、土の表面が乾くくらいになってから、室内ではエアコンやサーキュレーターを使って空気を回しておくといいですよ。
マンショングリーンの育て方②毎日窓を開けて、新鮮な風を入れる

マンション室内でグリーンを育てるときは、風通しが命、と奈緒子先生。
奈緒子先生:窓も一つだけ開けるのではなく、風が通る方向にある窓をいくつか開けて、部屋全体の空気を入れ替えてあげてください。夏場は朝のなるべく早め、あまり暑くない時間帯がいいですね。または日が落ちてからでも。
松井さん:うちは玄関まで開けるとかなり風通しがいいので、そこは助かっています。
奈緒子先生:いいですね。換気のタイミングでスプレーで葉水をあげて、シャッキリさせてあげるとなおいいと思いますよ。
マンショングリーンの育て方③ベランダのグリーンは、日当たりを考慮して適度に位置替えを

今回、奈緒子先生の提案で、ベランダにグリーンの鉢を増やした松井さん。
ベランダはどうしても枯らしやすいので、ケアができるか心配だと言います。
奈緒子先生:ベランダは、方角によっては日中ずっと直射日光さらされることもあって、やっぱり難しいんですよね。でも松井さんのお宅の場合は、午後から日陰の幅ができるので、まず大丈夫ですよ。直射日光に当ててよい時間帯は、季節や植物の種類によって異なりますが、一般的に、午前中の比較的弱い光がおすすめです。夏場は、とにかく直射日光に注意してください。
松井さん:そうなんですか。ハーブなんか、すぐに枯らしてしまうので……。
奈緒子先生:今回新たに増やしたのは、すでに大きく成長しているハーブなので、環境に適応する力が強いから大丈夫だと思います。ハーブも、ほかの鉢も、日中から夕方にかけて日当たりの変化をよく観察してみて。一日中日に当たるようなら、位置を変えてあげてください。サボテンは日当たりが好きなので、このままで大丈夫。
夏場、ベランダに日中ずっと日が当たる場合は、シェードを取り入れるのも一案だそうです。
マンショングリーンの育て方④土カバーで蒸れているかも?風通しを確認する

松井さん:ベランダに置いているウンベラータが、夏が来てなんだか元気がなくなっているような気がするんですが。
奈緒子先生:室内で育てることが多いウンベラータですが、夏なら外が大好き。日差しに注意しながらベランダに出しておくのがいいと思いますが、今年の酷暑は心配ですよね。様子を見ながら、お昼は室内に入れてもいいかも。うーん、かなり根が張って、土も硬くなってますね。いったん、少し土を足して、栄養剤を入れて様子を見ましょう。涼しくなったら一回り大きな鉢に移してあげるといいですよ。
松井さん:そういえば、室外機の上に置いているプルメリアも、イマイチ育ちが悪いんです。これも栄養剤でいいですか?

奈緒子先生:ああ、これは、ちょっと蒸れていますね。この鉢の化粧に使うココナツヤシ、見栄えはいいんですが、これだけ蒸し暑いと、植物の負担になってしまいます。また、虫もつきやすくなるので、外した方がいいですよ。
松井さん:そうなんですか、知らなかった……。
奈緒子先生:自然素材だから大丈夫なイメージですよね。でも、ない方が土の渇きもわかりやすいですし、とにかく風通しがよくなりますので。植物もひと息つける秋まで、なんとか持たせてあげてください。
松井さん:さっそく外します!
奈緒子先生:室内のグリーンも、蒸れやすいと感じたら、土の表面にのせているカバーを取り外してみましょう。それだけで調子が戻ることもあります。

これまでの経験から、つい丈夫なグリーンを選ぶようになっていましたが、お手入れのコツを知った今、「もう一度、繊細なグリーンにも挑戦してみようかな」と松井さん。
マンションでのグリーンライフ、これからも楽しんでくださいね!