料理に洗濯、掃除、片づけ。名もなき小さな家事を含めると、家事は果てしなく無限です。それ、すべて自分でこなさなければいけないのでしょうか? 水谷さんもかつてはひとりで抱え込み、ストレスが極限に達した経験があるそうです。家事に対する水谷さんの思い、手放し方について、話を伺いました。

水谷妙子

水谷妙子

「無印良品」で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務めたのち、現在は整理収納アドバイザーとしてお片づけ講座開催、書籍出版やテレビなどで活躍。

https://www.instagram.com/monotokazoku/

「家事が好きではない自分」を卑下せず、認める

大前提として、私は家事があまり好きではありません。なるべくならやりたくない。そう思っています。それでも、夫婦ふたり暮らしのときはなんとか頑張っていました。ところが、家事に子育てが加わると一気にキャパオーバーに。第一子の産後に、精神的に追い詰められてしまったのです。もう無理だ、というところまで来てようやく夫と家事について話し合いました。「家のことはいい、俺がやるから一緒に子育てを頑張ろう」と言われて初めて、ひとりで抱え込まないことの重要さに気づきました。「自分で全部やらなくてもいいんだ」と思えたことで、心がずいぶん軽くなったことを覚えています。

苦手な家事は、自分以外の誰かに委ねてもいい

私は家事が好きではないし、家中いつも清潔でないとダメだという気持ちもありません。

苦手な家事に、余計な労力を使いたくない。そう思っているからこそ、私は持ち物の数や種類を絞り、収納用品や収納場所に工夫を凝らしているのです。ただし整理収納で家を整えたとしても、最低限の家事は発生します。小学生のこどもが3人いて、仕事もある。そんな忙しい毎日で、苦手な家事まで自分で頑張らなくてもいいと思っています。

家事を委ねる相手は家族だったり、家電だったり、内容によってさまざま。洗濯や朝食づくりは夫が担当しているし、食器洗いは食洗機にお任せです。もっと大がかりな家事は、定期的に専門業者に依頼しています。例えばエアコンや浴室クリーニング。最も効果を実感しているものの一つは、浴室です。

普段のお手入れは最後に入浴した人が洗剤を使ってさっとシャワーで流し、スクイージーを使って壁や鏡の水気を落とす程度です。そもそも掃除に力を入れなくてもいいように、浴槽のフタや風呂椅子はあらかじめ撤去。排水溝のフタも外して入浴しています。

業者さんはプロ専用の清掃器具や洗剤を使って隅々まできれいにしてくれるので、終わった後はピカピカ。半年に一度のペースでお願いしているから、普段の掃除で少しくらい手抜きしてもいいか、と思えて気楽です。

さらに業者さんには汚れがたまりにくくなるコツやお手入れ方法を質問して、普段の掃除にも活かしています。「浴槽のエプロンをこまめに外すと、カビが発生しにくい」とアドバイスをもらい、それ以降取り入れています。家事のアウトソーシングは、「ラクしてきれいになる」以外のこうしたメリットもあると思っています。

業者さんに依頼するとお金がかかってしまうので、何もかもお任せすることはもちろんできません。でも精神的な負担の軽減、家事を手放すことで生まれる時間とのバランスも考えて、私は今のスタイルを選んでいます。

あわせて読みたい