プライバシーの確保とスペースの有効活用の両立が課題となる、異性きょうだいのこども部屋。今回は、67平米のマンションで、快適な4人暮らしを実践するライフオーガナイザーの手塚ちさとさんに、きょうだいの無理のない住み分けかたと収納のコツを伺いました。長期休暇前に増える“学校からの持ち帰り品”整理方法は必見です!
今回教えてくれたのは…
手塚ちさとさん
大阪府在住のライフオーガナイザー。67平米のマンションに、中学1年生の長男、小学5年生の長女と夫婦の4人暮らし。「暮らしの仕組みづくり」をテーマにオンラインサロンを運営。相談室、出張オーガナイズで、仕事に子育てに忙しい保護者をサポートしています。
https://www.instagram.com/tezukachisato
きょうだいのワークスペースは年齢によって家中の配置を試す

リビングを使ったワークスペース。今ここは妹と、手塚さん夫妻が共用しています
手塚さんの住まいは、10年前に新築で入居した分譲マンション(67平米・3LDK)。10畳のリビングに隣接している5畳の部屋を、引き戸を開けて広いリビング兼家族のワークスペースとして使用しています。リビングから離れている6畳の個室は兄(中1)の部屋ですが、きょうだいの二段ベッドも置いてあります。もう一つの部屋は、夫婦の寝室です。
「男女で分けるという考え方もありますが、コンパクトなわが家にはスペースの問題もあって、はじめからそれぞれの個室は考えませんでした。うちは兄妹が幼い頃から仲が良かったので、まずは長男が幼稚園くらいの時、細長い机をリビングに入れて、共用させました。長男が中学受験の勉強をするころには、少し小競り合いも増えてきたので、リビングの中でそれぞれの机を離して置くようにしました」
1人1部屋とは限らない!6畳に二段ベッド+長男の学習スペースを配置
都度、2人の様子を見ながら配置換えを繰り返したという手塚さん。兄が中学に進学すると、今度は妹の受験勉強がスタート。生活サイクルにもズレが出てきたことと、思春期に差しかかってきたことから、ついに兄の勉強スペースを個室に移したそうです。

兄の個室。上の妹のベッドは、布を使ってプライバシーを確保しています
「長男はもう受験も乗り越えて、親が横について勉強を見る必要もなくなったので、リビング学習を卒業して、個室にワークスペースを配置。これからは自立の芽生えもありますから、ちょうどいいタイミングかな、と思いました。きょうだいが寝ている二段ベッドを、間仕切りがわりにして部屋の中央に設置。突っ張り棒を使って布を垂らし、プライバシーを守る工夫もしています。娘はこの部屋では、ベッドを使っているだけ。おそらく、この一年くらいはこの状態でいけるんじゃないかな、と。ひょっとしたらこの先、もっとしっかり個別の空間がほしい、と言われることもあるかもしれません。その場合は、一部をリノベして乗り切ることになるのかなと思っていますが、今はどの程度ならプライバシーを確保できるのかと、お試しでいろいろやってみているところです」
異性きょうだいの部屋づくりは、性格・相性を考えて

リビング側からワークスペースを見たところ。スタッキングシェルフを使って圧迫感なくゾーニングされています
「仕事で、さまざまなご家庭を見てきた経験上、異性だから分ける、が正解でもないんですよね。同性であっても、喧嘩が絶えないきょうだいはいます。その場合も、同性だからといって同じ机を並べて隣同士にする必要はなくて、ちょっと離してあげた方が、喧嘩も減ると思います。その子、きょうだいの関係性で、部屋づくりも変わると考えています」
こどもの学習環境は、「ちょっと一歩早めに、親が考えていく」ことが大切、と手塚さん。意識したのは、「机選び」だそう。
「ずっと幼稚園の時の机を使っているというケースもよくあるんですが、こどもって、思わぬところで成長ポイントがあるんですよ。その瞬間に、環境が整っていないと、こどものやりたい気持ちに応えられない、という状態になってしまいます。うちは、最初はこども用の机を使っていましたが、幼稚園の年中くらいから大人も使える机を入れて、学習スペースを作りました」

現在、中学受験の勉強を頑張っている妹の机。有効ボードやボックスを活用して、使いたいモノにすぐに手が届く工夫がなされています
長期休みの前に持ち帰る学用品は、まとめて管理
学校から帰ったら、ランドセル、上着や帽子もここに置く習慣づけがされているといいます。
習字や絵の具セット、彫刻刀、リコーダーなど、出番がさほど多くない学用品の置き場所に困っているという人も多いのでは。手塚さんは、学校まわりのアイテムはほぼ一箇所(ワークスペース横のスチールラック)に集めて管理。学用品は、最下段に「無印良品」のソフトボックスを置いて収納しています。
「学期始めに持っていく雑巾や、オフシーズンの体操服、水着、帽子など、学校の持ち物って、大きさもまちまち。分けてしまうとどこに行ったかわからなくなるので、大きなボックスで一元管理しています」
冬休みの宿題は、一つのボックスに丸ごと入れて一括管理
春・夏・冬の長期休み前には、こどもたちが学校から出されるさまざまな宿題を持ち帰ってきます。手塚さんはこれらもまとめて「ボックス管理」することを勧めています。
「地域や学校によって、量も異なるとは思うんですが、休みの宿題は、教科別などに細かく分けてあちこちに置くと行方不明になりやすい。期限はみんな同じですから、すべてをまとめてボックス管理するといいですよ。わが家では、しばらく使わないランドセルを棚の上へ移動させて、空いたスペースに、折りたためる紙製のファイルボックスを置きます。そこに宿題を全部入れています。課題にリコーダーの練習があったら、チェック表と一緒にリコーダーもここへ。とにかくこのボックスにすべてがあれば、親も確認しやすくなって、一石二鳥です」
休みが明けたら、ファイルボックスは畳んでしまう。このように期限の決まった課題をまとめてボックス管理する方法は、こどもだけでなく、大人の作業にもいろいろと応用できそうです。
次回は、こども2人の中学受験を経験する手塚さんならではの、学習スペースの整え方について詳しく伺います。