押入れは奥行きが深すぎる。使いやすく整えるのは、収納のプロでも難しい
築26年の一軒家に暮らす、整理収納アドバイザーのおおもとまさこさん。これまで何度かリフォームを行い、その時々の暮らしやすさを追求してきました。その中で大きく変わった部分が、押入れ。
「日本家屋への憧れがあったので、家全体はクロスは使わず塗り壁と無垢板でつくりました。畳の居間には大きな押し入れも。ただ昔ながらの押し入れは奥行きが深く、広すぎてずっと使いづらさを感じていて」
押入れは、敷布団を入れるにはちょうど良いものの、現代の暮らしにはマッチしにくいのかもしれません。
「私ひとりだったら、多少使いにくくても整理収納の力でなんとかきれいな状態を保てたと思います。でもここは、家族で暮らす家。片づけの理論とテクニックだけでは解決できない、と感じて押し入れをリフォームすることにしたんです」

リフォーム前の様子
襖を外し、押入れの隣のスペースと合わせてひとつの広い空間をつくり、「無印良品」のステンレスユニットシェルフを設置。奥行きが深いというデメリットをクリアするためです。
内側の板もきれいに張り替えました。
「実を言うと、同じ「無印良品」のスタッキングシェルフとどちらにするか迷いました。結果、マス目で収納スペースが分かれているスタッキングシェルフより、オープンなユニットシェルフのほうが、当時高校生だった息子たちの大きなリュックも収納しやすいと思ったのです。それに、ステンレスの素材感は意外と日本家屋の雰囲気にもなじむ気がして、選びました」
収納に合わせて家族に動いてもらうより、家族の行動パターンに収納を合わせるほうがうまくいく
ステンレスユニットシェルフは、押入れの深い奥行きを生かしてL字型に設置。同じ「無印良品」の収納ボックスやファイルボックスを並べ、使う人やアイテムごとに整理しています。
「今はこどもたちが成長し、独立しているので、夫婦ふたりの荷物を納めています。家族共有アイテムは「無印良品」の再生ポリプロピレン入り 小物収納ケースに。収納方法は、夫に合わせてざっくりです」
文房具、薬、電池類、充電ケーブルなどが家族共有の持ち物。引き出しごとにゆるくグルーピングしていますが、中身の仕切りは細かくなりすぎないように意識しています。
「以前は“ここはハサミ、ここは爪切り”などトレーを分けてもっと細かく収納していました。私ひとりならもちろん元に戻せますが、夫はできない。そのことにイライラしていたんです。でもテーブルの上に出しっぱなしではなく、ちゃんと文房具の引き出しまでは戻してくれます。夫は夫なりに片づけようと努力してくれていた…。だったら私も歩み寄らなければと思ったんです」
今はハサミが別のトレーに入っていても、刃が開いたままでも、文房具の引き出しにさえ戻ってきたならそれでOKにしています。
自分のやり方を押し付けるのではなく、「お試しでやってみない?」 強制でなく提案すればうまくいく
ユニットシェルフの左側はご主人のコーナーです。普段着やゴルフウェア、パジャマ、靴下など身支度に必要なモノを主に収納しています。これらの収納ボックスも、中身は基本的にざっくり。パジャマは、シェルフの下段に置いているかごが定位置です。以前は高床式のランドリーバスケットを使っていたそうです。
「脱ぎっぱなしで床などに散らばっていることが多かったので、夫でも戻せる方法を考えました。本当ならパジャマをきちんと畳むところまでやってほしいところですが、まずは脱ぎっぱなしを解決したい。まずは高床式バスケットをそばに置いたらどうかな?と思ったのです。畳まなくても、放り込むだけでパッと見はきれいに見えます」
最初にバスケットを導入する際は、「ここに入れてね」と自分のやり方を押し通すのではなく、あくまで提案として切り出したそう。
「人は押し付けられると反発したくなるもの。『ちょっとお試しでパジャマを入れるバスケットを用意したから、1週間くらい使ってみてくれる? やりにくいところがあったら違う方法を考えるから』と逃げ道を用意したんです。バスケットは高床式で、かがまず入れられるのがよかったのか、夫はきちんとパジャマをバスケットに入れてくれるように。今は、少しレベルアップして通常のかごをパジャマ入れとして使っています」
このかごは、夜パジャマを着たら、空っぽのままシェルフの前に出しっぱなし。本当は棚の中に戻してほしいおおもとさんですが、何も言いません。
「脱ぎっぱなしだったパジャマを、かごに入れるようになっただけで素晴らしい! それに、かごは朝パジャマを脱いだ後は棚に戻されているからそれで良し。夫も歩み寄ってくれていることが分かり、ありがとうという気持ちです」
片づけが苦手な夫にぴったりの収納を見つけられるかどうか。私の力が試されているようで楽しい
片づけは試行錯誤の連続。完成や正解はないと思う、とおおもとさん。
「私は凝り性で、細部まで整えたいとつい思ってしまいますが、きれいな状態をずっと続けるのはやっぱり大変。夫にそれを求めるのは酷だし、家族みんなが続けられる収納のほうが、気持ちが楽です。大事なのは、見た目のきれいさや一時の満足感ではなくて、目的。部屋をきれいにすることが目的なのか、家族が毎日心地よくなることが目的なのか…。正解だけを求めすぎないようにしたいし、お客様の片づけサポートでもそうお話ししています。リバウンドして“私はできないんだ”と自分を責めてしまうくらいなら、ざっくりなんとなく片づいているくらいが幸せなんじゃないか。そう思っています」
使う人みんなが続けられる収納について教えてくれた、おおもとさん。後編では、自分の家や暮らしがもっと好きになるモノ選びについてお話を伺います。
今回教えてもらったのは…おおもとまさこさん
岡山県をベースに活動する整理収納アドバイザー。整理収納サービス、収納見学つき自宅セミナー、整理収納アドバイザー2級認定講座開催など幅広く活躍。
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