たくさんモノを捨てたらキレイになったけれど、どこか物足りない気持ちに
岡山県在住の整理収納アドバイザー、おおもとまさこさん。こどもたちはすでに家を出て、築26年の一軒家で夫と2人暮らしです。家を建てた当時は義両親と同居していたそう。
「フルタイムの仕事をしながら息子2人を育てる6人暮らしの生活は、毎日ひどく散らかっていました。土日は掃除と片づけに追われる日々。家を建てて16年経ってから整理収納を学び、ようやく片づけられるようになりました。でもモノをたくさん捨てたことで、部屋が少し殺風景になってしまったのです」
手放したのはもちろん不要なモノばかりなので、生活はぐんと快適に。ただ、楽しみや潤いが足りないのでは?と感じるようになりました。
「でも何が足りないのか、どうすればいいのか分かりませんでした。義両親との同居、そして子育て。自分の感情以外のモノやことを優先する生活が長く続いたせいか、自分自身を見失っていたのです。植物が好きだったので、観葉植物やスワッグを飾ってはみたものの、それ以外に好きなモノがまったく思い浮かびませんでした」
モノを飾る前に必要だったのは、「私は何が好きなのか?」をとことん知る時間
何が好きか分からないままやみくもに雑貨や家具を買うと、また手放すことになるかもしれない。それに、以前と同じようにモノが増えて散らかってしまう。だからおおもとさんはじっくり時間をかけて、自分の“好き”を追求することにしました。
「自分が好きなモノを飾ったら、たとえテイストが混じっていてもOK。どれも自分の好みだから意外と合うものだよと、インテリアに詳しい友人に言われたことも大きいです。だから、まずは自分の感覚を取り戻そうと思いました」
器の企画展や蚤の市に足を運んだり、アンティークショップを覗いてみたり。美術館や民芸館もたくさん訪れました。
「ただインテリアを見るだけでなく、美しいモノを見る目を育てることが重要だと感じていました。料理が好きなこともあって、料理教室にも通いましたね」
1、2年が経った頃、「自然素材が好き」「経年変化するモノが好き」ということに気づき始めたおおもとさん。殺風景だと感じていた家に、少しずつ好きなモノが増えていきます。

アンティークはおおもとさんが心惹かれるモノのひとつ。花を生けたかごはフランス製、小さなピッチャーは蚤の市で出合ったアイテム

ステンレスユニットシェルフの一角に、好きなモノコーナーを設置。右には資生堂のスタンドミラーを置いて
「こどもと一緒に河原で拾った石を飾ったり、森で見つけた植物で標本をつくったり。自分で何かをつくるのも好きだったことと思い出しました」
居間やキッチンが少しずつ整い始め、今は寝室のインテリアを改造中。襖紙を素敵な和紙で貼り替え、古くなった壁に漆喰を塗り直し、次はスタンドライトを置くか、大きなアートを置くか。じっくり悩むのも楽しい時間です。
目指すのは、「丁寧な暮らし」ではなく「今、家にあるモノを大切にできる暮らし」
いくら好きでも、モノが増えていけば、スッキリした暮らしとは言えないかもしれません。でもおおもとさんは、モノの少なさより居心地の良さにこだわりたいと話します。
「モノの量が問題なのではなくて、家にあるモノひとつひとつに気持ちを向けられているかどうか。モノがあっても、たとえ増えても、一つひとつに心を込めて扱えているなら大丈夫だと思っています」
モノを手放したら管理は楽になるけれど、本当に大切なモノまで手放さなくて良い。持っていても良い。整理収納サポートのお客様にもそう伝えています。
「思い入れのないモノが雑に扱われているのを見ると悲しい。かといって私も常に丁寧な暮らしを送っているわけではありません。掃除がちゃんとできない日だってあります。それでもなんとなく整っていて、居心地がいいと思える。そんな家が私の理想です」
完璧で丁寧でなくてもOK。今持っているモノ一つひとつにきちんと手をかけ、大切な家族に時間と気持ちを向けられるように。それを実現するために、これからも整理収納の考え方を生かしていきたい。おおもとさんの願いです。
今回教えてもらったのは…おおもとまさこさん
岡山県をベースに活動する整理収納アドバイザー。整理収納サービス、収納見学つき自宅セミナー、整理収納アドバイザー2級認定講座開催など幅広く活躍。
https://www.instagram.com/masako_omoto/
https://www.ouchi-biyori.com/