可動棚を取り入れるときに、意外と見落としがちなのが棚板の「奥行き」。深すぎても浅すぎても使い勝手が変わってくる、収納の快適さを左右する大切なポイントなんです。今回は、場所別のおすすめサイズや、奥行きを決めるときに知っておきたいことを深掘りしてご紹介します。
そもそも可動棚って?
収納を考えていると必ず生まれるのが「この棚があと10cm高ければ……」という悩み。スパッと解決してくれるのは「可動棚」かもしれません!
可動棚とは、棚板を上下に自由に動かせる棚。壁に棚柱という支柱を固定し、そこに設置した棚受けに棚板を渡す仕組みです。棚柱にはいくつも棚受けの差し込み穴があるので、高さを好きなように変えられるのが魅力です。
扉のないオープン棚だから、扉を開ける幅が取れない狭小住宅でも大丈夫。見せる収納としてディスプレイも楽しめます。
棚板の「奥行き」とは
棚板の「奥行き」とは、壁から棚板の手前までの長さのこと。可動棚の場合は、壁に固定した棚柱の位置を起点に、棚板の先端までの寸法を指し、上のイラストだと350mm部分が奥行きです。棚の「幅」や「高さ」に目が行きがちですが、奥行きも収納のしやすさやお部屋の印象を大きく左右する要素の一つです。
棚板の奥行きのサイズの目安
棚板の奥行きは、一般的に150〜450mm程度のサイズで展開されていることが多いです。メーカーや商品によって規格はさまざまですが、ざっくり以下のような区分で考えると分かりやすいでしょう。
- 浅め:150mm〜200mm
- 標準:250mm〜300mm
- 深め:350mm〜450mm
DIYで棚板を用意するなら、もっと自由なサイズも選択可能。ただし、棚受け(ブラケット)が対応できる奥行きや、棚柱の耐荷重との関係もあるので、メーカーの推奨範囲を必ず確認しましょう。
場所・用途別の奥行きの選び方
奥行きを決めるときは、「何を置きたいか」をしっかりイメージするのが基本。場所別の目安を見ていきましょう。
キッチン
オーブンレンジや炊飯器など、大型の調理家電を置くなら奥行き350〜400mmと深めのサイズを見ておくと安心です。家電のサイズに合わせて、少しゆとりのある奥行きを選びましょう。
一方、食器類を収納する場合は逆に浅めがおすすめ。深い棚に食器を並べると、奥の食器に手が届きづらく、出し入れのたびに手前の食器をどかす…となってしまうなど、毎日の使い勝手が一気に落ちてしまいます。食器のみなら、お皿の直径に合わせたサイズを選ぶと一目で見渡せて出し入れもスムーズ。お気に入りのグラスやカップを「見せて並べたい」ときも、浅めの棚のほうが一つひとつがしっかり主役になり、ショップのディスプレイのような美しさに仕上がりますよ。
本棚・書斎
文庫本やマンガなら150〜200mmで十分。ハードカバーや雑誌を並べるなら250〜300mmが安心です。デスクを兼ねるなら、ノートPCや書類を広げられる400mm〜が快適です。
洗面所
タオルや洗剤のストックが中心の洗面所は、200〜300mmが使いやすい奥行き。深すぎると奥のモノが取りにくくなるので、置きたいアイテムに合わせて選びましょう。
クローゼット・押し入れ
衣装ケースや収納ボックスを置く場所では、収納したいケースの奥行きをまず確認しましょう。一般的なクローゼットの内寸奥行きは550mm前後、押し入れ内寸奥行きは750mm前後で、それぞれに合わせて販売されている衣装ケースのサイズもさまざまです。
クローゼット用なら奥行き550mm前後、押し入れ用なら650mm前後と、選ぶケースによって最適な棚板の奥行きも大きく変わります。設置場所と収納するケースの両方を見て決めるのが、失敗しないコツです。
棚板の奥行きは全部そろえなくてもOK!
意外と盲点なのが、可動棚は「段ごと」に奥行きの違う棚板を組み合わせることもできるということ。棚受け(ブラケット)の仕様が許容する範囲内なら、段ごとにサイズを変えることが可能で、これがとっても便利なんです。
奥行きの異なる棚板の組み合わせ例
- 取り出しやすさで選ぶ:目線の高さの段は200mmと浅めにして、よく使うモノを取りやすく。手の届きにくい上段は350〜400mmと深めにしてストック類を置く、というメリハリの効いた使い方。
- 圧迫感を逃がす:高い位置ほど奥行きを浅くすると、視線が抜けてお部屋が広く感じられます。リビングなどの広い空間に可動棚を設置するときに特に有効です。
- 地震対策に活かす:あえて深めの棚板を選び、壁側に割れやすいモノを置いておけば、地震で揺れても手前側に余白があるぶん、すぐ床に落下するのを防げます。逆に普段使いや壊れづらいモノが置かれる場所は浅めの棚板にしてモノは手前に置く、など段ごとに役割を分けることもできます。
- 1段だけ多用途に:基本は浅めでそろえつつ、1段だけ腰位置の棚を400mm前後の深い棚板にすればデスクスペースに早変わり。書斎や作業台として兼用できます。
- コストの最適化:棚板は奥行きが深いほど価格も上がりがち。必要な段だけ深くすることで、コストを抑えられます。
「使う場所」「収納するモノ」「お部屋の見え方」に合わせて自由に組み立てられるのが、可動棚最大の魅力です。
奥行きが深すぎる場合のデメリット
「奥行きはあればあるほどモノを置ける」と思いがちですが、深すぎるとかえって使いづらくなる場合も。
たとえば日本人女性の腕の長さは、平均で約66〜67cm(肩から指先まで)。さらに、実際の収納では腕をまっすぐ伸ばせない姿勢で使うことが多いので、無理なく手が届く範囲はもっと短くなります。奥行きが450mmを超えるような棚だと、奥のモノを取り出すのに手前のモノをどかしたり、踏み台に乗ったりと、思った以上に手間がかかってしまうことも……。
特に高い位置の棚やキッチン上部の棚は、奥行きが深すぎると「奥は死蔵スペース」になりがち。使う人の身長や腕のリーチも考えて、無理なく届くサイズを選びましょう。
自分にぴったりの奥行きで、柔軟度の高い収納を
棚板の奥行きは、収納の快適さを左右する大切な要素。場所や用途、そして使う人の体格に合わせて選べば、毎日の出し入れがぐっとラクになります。段ごとに奥行きを変えるカスタマイズも視野に入れて、自分にぴったり合う可動棚をつくってみてくださいね!