狭小住宅や首都圏のマンションで多い50㎡台の住宅。住宅価格の高騰も相まって、DINKS世帯や一人暮らし、ファミリー層など幅広い需要が高まっている平米数です。リノベーションをするにあたり、参考になる省スペースの工夫や収納のアイデアをご紹介します。
『HOUSTO』の人気記事でわかる!50平米(50㎡)の間取り実例
目次
50平米(50㎡)間取り事例①|中古マンション・3人家族・54㎡のマンションリノベ
隅研吾(くま・けんご)建築都市設計事務所で設計を手がけている寺川さんご夫妻は、お子さんとの3人住まい。寺川さんの祖母がお住まいだったマンションをリノベーションし、家族の住居としています。
扉はほとんど取り払い、大きめのワンルームに生まれ変わりました。
上階の階段下の傾斜はキッチンの収納に。収納はほとんど造作で、持ち物に合わせて設計されたそう。
風通しのよいオープン収納を中心に、生活感が出やすいものは引き出しにしまう収納にするなど、メリハリのある収納設計です。
寝室とつながる開放的なWICは、左手に見える水回りからの動線も抜群によく、忙しいワーママの家事効率も上げてくれる間取りなのだとか。
水回りも造作で、個性をプラス。右側の壁奥はWICになっているため、湿気が溜まらないように壁は天井付せず、風が抜ける作りになっています。
思い切ってドアなしの設計にすることで、光と風が循環する家を目指したという寺川さん。限られた空間で、ファミリーでも開放的にゆったり暮らせる好例です。
50平米(50㎡)間取り事例②|中古マンション・4人家族・55㎡のマンションリノベ
都心にある築40年のマンション。55平米という決して広くない面積ですが、家族4人がゆったりと暮らしています。
写真の左の白いボックス上の空間は、なんと寝室。寝るだけの空間だから天井高は必要ないと判断し、天地を縮めて下部を収納スペースにしたそう。
こちらが寝室下の収納スペース。スーツケースや書類など、かさばるモノを集めて収納することで、普段暮らすスペースはスッキリを保てる仕組みです。
こちらはリビングから玄関を向いたアングル。半透明のガラス扉の中には、冷蔵庫や洗濯機、シューズクローゼットなど生活感が出やすいものをまとめて収納しています。
扉を開けた状態がこちら。真ん中部分の洗濯機横通路は洗面所やバスルームへ続いています。ごちゃつきやすい要素はまとめて、扉で隠すアイデアは真似したいですね。
ガラス扉横には、造作収納と既成収納を組み合わせたシンクが。扉付きにすることで、より部屋が広く感じられそうです。
「見せる」「隠す」を意識し、メリハリある作りにすることで、広くない平米数でもスッキリ暮らせる実例です。
50平米(50㎡)間取り事例③|中古マンション・2人家族・50㎡のマンションリノベ
築40年のマンションをフルリノベーションした、建築家の大内久美子さんのご自宅件事務所がこちら。キッチンは広さをキープするためにあえて壁付けに。突き当り奥の壁の裏には冷蔵庫が収納され、生活感を排除した設計が光ります。ダイニングスペースも造作壁付で省スペースに。
こちらがリビングスペース。ソファやテーブルなどの家具は置かず、窓際に休憩スペースを造作するなどして広がりを確保しています。
リビングから寝室につながる廊下にオフィススペースを確保。壁部分にデスクを取り付けて、程よいおこもり空間が生まれています。
寝室は小上がりにして、下部分を収納に。エアコンの下の収納は布団整理に使われているそう。
壁や床部分も収納として最大限活用すること、また定期的な持ち物の見直しを実践するなどの工夫で、美しく快適な暮らしを実践されていました。
50平米(50㎡)間取り事例④|中古マンション・2人家族・57㎡のマンションリノベ
築40年の中古マンションをフルリノベーションした羽場さんご夫妻。
元々は小さめの部屋が集まる3LDKだったマンションを、思い切ってワンルーム風にリノベして暮らされています。
スッキリとまとまり、個性が引き立つ玄関。右側の鏡はスライドできるようになっており、中はシューズボックスに。生活感を鏡で隠すことで、空間的な広がりと実用性を兼ね備えたアイデアは真似してみたいですね。
大工さんに造作してもらったというソファは、座面下が収納スペースに。コンパクトハウスでも、造作収納などを組み合わせることでスッキリ住まいが作れます。
リビングに面したオフィススペースの背面にはセミオープンの寝室が。リビング〜オフィス〜寝室が横に並び、動線も抜群です。
寝室床下も収納スペースとして使われているそうで、空間を使い切る工夫がされています。
「モノは場所を用意するとどんどん増えていく。スペースをあえて限定し、足るを知ることが大切」と話す羽場さん。コンパクトハウスを考えている方は、参考にしたい考え方ですね。
50平米(50㎡)間取り事例⑤|中古マンション・2人家族・51.17㎡のマンションリノベ
建築家の仲條雪さんは、もともとは1SLKだったという一室を1LDK+仕事場+クローゼットにリノベーションして、ご夫婦で暮らしています。
この写真は玄関から室内を見るアングル。キッチンの手前まで土間敷きになっており、すぐ右側には、仲條さんの仕事場が設えられていました。
「玄関って、玄関然としていなくたっていいと思って。そうしたら広々と自由なスペースが生まれました。キッチンの手前には引き戸も用意してあるので、閉めて仕事場に籠ることもできるんですよ」(仲條さん)
唯一の個室は寝室。ウォークインクローゼットを一部壁で仕切り、シンプルな収納を設けた機能的な寝室です。畳敷きの小上がりでは、布団を利用しているそう。
玄関からつながる最奥のスペースをリビングに。50平米台とは思えない開放的な空間です。
「キッチンにつなげて置いてあるダイニングテーブルも、置く場所を変えてもいい。食事をする場所や仕事する場所も変えたり、その時々に合わせて生活の変化を楽しめば、いつでも新鮮な気持ちになれる。」と話す仲條さん。
完璧な間取りや配置を目指すのではなく、暮らしながらアレンジをしていく姿勢は参考になりますね。
50平米(50㎡)間取り事例⑥|中古マンション・2人家族・57㎡のマンションリノベ
建築家の石黒隆康さんが奥様と2人で暮らしているのは、都内で購入した築35年の中古マンション。もともとリフォーム済みの2LDKでしたが、フルリノベーションを行い、現在は1LDK+クローゼット+書斎という間取りです。
生活感を排した玄関に置かれるのは、奥様が曾祖母から受け継いだ大切なアンティークのタンス。中には、衣替えで整理をする季節の洋服が収められています。
石黒さんの家にある家具は、ソファとアンティーク以外、ほとんどがオリジナル。石黒さん自身が家具のデザインを手がけ、素材も決めてオーダーしたものです。細々したものは、しまう収納を徹底することでスッキリ見えますね。
石黒家のメイン収納は、玄関前から寝室へつながっているウォーク・スルー・クローゼット。玄関からも寝室からもアクセスできるのが便利なのだそう。
玄関側からクローゼットにつながる細い右側の出入り口。帰宅したらすぐに身につけていたものが整理できて便利です。
クローゼット横の寝室がこちら。障子上には木製のポールがあり、洗濯物が乾いたらすぐ隣のクローゼットに運べます。素材を統一することで、ごちゃごちゃ感もなくインテリアとしてまとまりが出ています。