たくさんのモノに囲まれて生活する中で、片付けや掃除など、日々の整理整頓が少し億劫になる事も。今回はそんな重い気分を軽くして、思わず片付けがしたくなるような本のストレージレビューをご紹介します。ライフスタイルやモノにまつわるストーリーを覗いて、家事のモチベーションを上げてみませんか。
『HOUSTO』のストレージレビューで見る、片付けのモチベUPの本5選
目次
片付けのモチベUPの本①|『収納され続ける収納 生活者のデザイン史』

この本のあらすじ
『収納され続ける収納』は、暮らしの中で当たり前にある「収納」をテーマに、明治から現代までの暮らしと価値観の変化を読み解く一冊です。時代ごとに人々が工夫してきた“しまい方”をたどることで、収納の背景にある社会や文化の姿が浮かび上がります。
読みどころはココ!
北田聖子さんは、収納はただの家事ではなく、その時代の暮らしや社会の映し鏡だと語ります。モノが増えた明治には収める工夫が、戦中には必要最小限を持ち出す知恵がありました。そして今、私たちが「どんなふうに片づけよう」と自由に語れるのは、「明日も使いやすく」という反復が信じられる平和があるからこそ。毎日の収納に悩む時間すら、実は安心して暮らせている証なのかもしれません。本を通して、そんな当たり前のありがたさに気づかされます。
書籍情報
収納され続ける収納 生活者のデザイン史
北田聖子 著
雷鳥社
https://www.raichosha.co.jp/book/251
片付けのモチベUPの本②|『れんげ荘』

この本のあらすじ
広告業界でバリバリ働く45歳のキョウコは、突如退職し、憧れの一人暮らしを開始、貯金だけで暮らす月10万円生活を始めることに。古い木造アパートで家賃を抑えつつ、必要なモノだけに囲まれたスローライフを送りながら、自分にとって大切なものや暮らしの心地よさを見つけていく物語。
読みどころはココ!
本を読み進めると、少ないお金で暮らすことが必ずしも味気ない生活を意味しないと思わされます。キョウコのように、持つモノを厳選し、必要なものにはお金を使うバランス感覚がなにより大切。暮らしを工夫することで、日々の潤いを失わずに満足感を得られることが伝わります。自分の生活にある“本当に大切なもの”を見直したくなり、少ないもので豊かに暮らすヒントをそっと教えてくれる一冊です。
書籍情報
れんげ荘
群ようこ 著
ハルキ文庫
http://www.kadokawaharuki.co.jp/book/detail/detail.php?no=3858
片付けのモチベUPの本③|『ジジイの片づけ』

この本のあらすじ
著者はイラストレーター・エッセイスト・絵本作家の沢野ひとしさん。本書は身の回りを整理し続ける沢野さんがこれまでの人生を振り返りつつ、片づけや愛着のあるモノについての思いを綴るイラストエッセイ。
読みどころはココ!
「整理整頓」と「片づけ」の違いに関する考え方が印象的。
整理整頓が好きな人は目当てのものがなかなか見つからない。きちんと分類されて一見便利そうでも、結局中身をひっくり返すことになるものだと、沢野さんは薬箱を引き合いに出して説明しています。隙間なくきっちり分類するよりも、まずは薬が入っていた箱や期限切れの古い薬を捨てること。これが、沢野さんの考える「片づけ」です。隙間を多くとり、欲しいモノがすぐに見つかるようにしておくことが大事なのです。
『こうした「人の生活とともに必要なものが動き、生きた状態にすること」が、片づけである。』(本書引用)
美しく収納することよりも、まずモノを減らして片づける。沢野さんのこの言葉に、片づけの核心が詰まっている気がします。
書籍情報
ジジイの片づけ
沢野ひとし 著
集英社クリエイティブ
https://www.shueisha-cr.co.jp/book/4598/
片付けのモチベUPの本④|『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』

この本のあらすじ
著者の荒井詩万さんはインテリアコーディネーター。個人宅からオフィスまで多数のコーディネートやリフォームを手がけてきたプロです。そんな荒井さんが語る、引っ越しせず、新しく何かを買うことなく手軽に印象を変えるためのルールを多数紹介。
読みどころはココ!
インテリアコーディネートのルールを学び実践すれば、そこに自分らしさや個性はおのずとプラスされていく、と著者は語ります。基本レシピを知っているからこそアレンジができる。荒井さんは料理に例えながら、詳しく説明してくれています。
たとえば、ドアを開けて部屋に入ったときにまず何が目に入るか。モノを増やさずとも、置く場所を変えるだけで印象が変わる。それはもうセンスうんぬんではなく、知識の問題です。
センスを磨く、という漠然とした目標の手前にある「知識」を、しっかりと学べる一冊です。
書籍情報
今あるもので「あか抜けた」部屋になる。
荒井詩万 著
サンクチュアリ出版
https://www.sanctuarybooks.jp/book/detail/1058
片付けのモチベUPの本⑤|『家が好きで』

この本のあらすじ
エッセイスト、ライフスタイリストとして活躍する小川奈緒さんの新著『家が好きで』。千葉県にある自宅の様子、愛用品を惜しみなく公開し、「なぜそれを選ぶに至ったか」「なぜ使い続けているのか」といったストーリーを丁寧に綴ったエッセイ。
読みどころはココ!
チェアやテーブルなどの家具はもちろん、照明器具、キッチン用品、リノベーション時の造作に至るまで。まるで小川さん宅のルームツアーに参加しているような気分に浸れる本書。
多くの人から支持されている小川さんですが、「小川さんの家にある◯◯はどこのブランドなの? 同じものが欲しい」という願望をただ満たすだけの本ではないことを、今ここで強く伝えたい!
大事なのは、そのモノがどんなに素敵で便利なのかではなくて、いかに自分と相性がよかったのかということ。それこそが小川さんの言う、自分とモノで紡ぐオリジナルストーリー。自分自身と深く向き合い、感覚を研ぎ澄ませているからこそできることなのだと気づかされる一冊です。
書籍情報
家が好きで
小川奈緒 著
技術評論社
https://gihyo.jp/book/2024/978-4-297-14122-6