今回は整理収納教育士認定講師の石山可奈子さんに「収納失敗したな」と思ったエピソードと解決法を伺いました。プロでも収納を常に見直すことを大切にしています。あなたも今一度周りを見渡して、より暮らしやすい収納を見つけてみませんか。

石山可奈子

石山可奈子

東京都在住。2013年に病に倒れたことをきっかけに、整理収納アドバイザーの資格取得。現在は、二児の母として子育てをしながら、片付けコンサルサービスだけでなく、自宅セミナーや整理収納アドバイザー同士の交流会の開催など、幅広く活動している。

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「とりあえず」「今だけ」「ちょっとだけ」で散らかり放題

「家族みんなにきちんと片付けてほしい。」
これ、永遠のテーマの一つではないでしょうか。

かくいう、わが家もそうで。おウチの中にある棚や机の上には「とりあえず」「今だけ」「ちょっとだけ」とあれこれの言い訳と一緒に置かれた家族のモノたちが、あちこちで山となる現象が日々勃発。

「この置き方芸術的だわ……!」と思う寛大な心の私は、もちろんいなくて(笑)。現実は「何でもかんでも置かないでよ!」「もう! なんでウチはいっつもこうなるかな~!」なんてしょっちゅうイライラして怒るのが日常茶飯事でした。

なんで片付け失敗を繰り返すのだろう

家族に片付けてと言ってみても、一人で片付けてみても、収納グッズを買ってみても、またモノの山になる繰り返しに、もうほとほと疲れてしまったときに思ったんです。同じことを繰り返すということは「今までの言い方もやり方も全然響いてないし、考え方が合っていないからじゃないか」と。そして「そもそも家族みんなのキレイの価値観が違うのでは……?」と思い始めたんです。

モノの置き方を写真に撮って実験!

そこでモノの置き方を変えて撮った写真4枚を家族に1枚ずつ見せて、どう感じるか聞いてみるという実験を試みました。

撮り方はこちら。

(1)本棚の上にわざと色々なジャンルのモノを散らばせて撮った写真
(2)モノの量は減らさず向きを揃えただけの写真
(3)少しモノの量を減らした写真
(4)モノが置いてない状態の写真

家族の反応はこちら

まず(1)から。
「これはイヤだ」「散らかってるね」「なにこれ」と散々な結果。いやいやこれいつもだから、と心の中でつぶやく私(笑)。みんな同じ感覚ではあるんだなということはわかりました。

続いて(2)。
「キレイだよね」「揃っていれば気にならない」「揃っていても量は変わってないよね?意味ないよね?」とここで意見が初めて分かれたことにびっくり。

そして(3)。
「キレイだよね」「気にならない」とここまでくると散らかり具合はどうやら気にならないらしい。

最後に(4)。
「スッキリだね」「キレイ」「これがいいな」ここにきて初めてこれがいいという言葉が出てきました。

家族のキレイの価値観を合わすことの重要性

実験をしてわかったことは、家族のキレイの価値観は(2)の写真ではっきり分かれるということ。片付けができなかった理由は「価値観の違い」であって、いくら私が言ってもやっても収納用品を増やしたところでスッキリしなかったんだということもわかりました。

感覚の違いは人によって違うもの。だからどう感じたとしても、そこは否定しません。大事なのはここから。

自分の価値観だけで片付けを推し進めるのではなく、そこに住まう全員の「キレイ」の価値観をまずしっかりとみんなが知って、すり合わせていく努力も必要なんだと今まで失敗続きだったからこそよくわかりました。

現状の写真を撮ってみんなで見てどう感じるのか。今とこれからの暮らしを家族で作っていくための大切な一歩となりました。

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