本多さんの今月の「買ってよかったもの」「手放したもの」とは?
今月の本多家、2つのものについてのショートストーリー。

本多 さおり

本多 さおり

暮らしを愛する整理収納コンサルタント。雑誌やwebなどで暮らし重視のシンプルな収納術を提案している。『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP 研究所)には物件探し&購入から家づくりの工夫まで紹介されている。また、新著書に『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)などがある。

http://hondasaori.com/

今月の買ってよかったもの 「メンズの服」

「私に合う服って何?」「今日何を着ればいいの?」というのは、多くの方が抱える悩みなのではないでしょうか。とくに、顔にも体にも変化が見え始めるアラフォー世代ともなると、より一層。
私も例外ではなく、それは毎朝の頭痛の種でした。ふたりのやんちゃな息子を世話しながら、忙しい朝に自分のコーディネートを考えているゆとりはありません。時間がないというだけではなく、考える心の余裕がないのです。

そこで、数年前から「服はモノトーン」と決めることにしました。
黒と白だけで構成されたクローゼットからは、何も考えず服を取って着ることができます。だって、何を取っても上下でちぐはぐになることがないのです。どの組み合わせでも、シンプルなモノトーンコーデのいっちょあがり。
もともと黒と白が好きということもあり、数年をかけてすべての持ち服のモノトーン化に成功しました。

求めるトップスはメンズにあった

服をモノトーンと決めると、買い物もとてもラクです。どのお店に入ったときでも、多様な色彩の中からシュッと白と黒だけにフォーカスできる。かなりの時短です。

大好きな無印良品に行ったときにも、見る服はモノトーンだけ。ただし、なぜか無印良品のレディースにはパキッとした白が少なく、生成りが多いんですよね。スウェットやカットソーとなると、圧倒的に生成りです。
白黒ボーダーがほしいなと思っても、白の部分がよく見ると生成り。
残念ながら、生成りは私の肌の色にあまり合いません。

そこでメンズコーナーを見てみると、好みの”真っ白な白“がたくさんありました。意外やそこには、メンズ服なのに女性モデルの着用写真が貼られていて「そうか、女性もメンズ服を選んでいいんだ」と目からウロコが落ちたのです。

実際に着たところ、何の支障もありませんでした。動きやすいし、体形に合わないということもない。好みの色味で、ニンマリです。考えてみるとボーダーカットソーの有名な海外ブランドは、メンズとレディースで分けてはいませんね。シンプルに、サイズ展開のなかから自分に合った服を選ぶだけ。

ゆったりと着て可愛いような服は、メンズも選択肢に入れていいんだ、という新たな発見でした。

服選びで大事にしていること

モノトーンであるほかに服選びで優先しているのは、管理がラクかどうか。かつ、“ちょっとちゃんとして見える”かどうかです。

以前は質のよい天然素材のものに憧れていましたが、やんちゃ男児と暮らしながら丁寧な管理の必要な服はハードルが高い。けれども、アラフォー女性としてはラフすぎるとだらしなく見えてしまうおそれがあります。

つまり、洗濯機でガンガン洗えて、シワにならず、毛玉ができず、着ているときはハリと少しの光沢があるような服なら最適解。
それはすなわち、機能性を備えた化繊の服なのです。愛用しているのは、ノースフェイスやヒムカシ、無印良品の機能性ウェアなど。

毎日のように着ることができ、野外でも汚れを気にする必要なく、動きやすく、洗濯機に放り込めて、次に着るときに劣化の「れ」の字も見当たらない。そんな服たちに日々を助けられています。

今月の手放すもの「コンパクトにたためるジャケット」

10年ほど前から、人前で話す機会や、改まった場に出ることがちらほらと出てきました。人前で話すといえば、着るのはジャケットだろうと考えたのです。
けれどたまにしか着ないのだから、家では大きな顔をせず、コンパクトにしまっておけるものがいい。

そうして選んだのが、無印良品で「MUJI TO GO」のコーナーにあった、たためるジャケット(廃番)でした。旅や出張を想定した商品で、小さくたたんで付属の巾着に詰めておいてもシワになりません。これなら、出先に持って行きサッとはおることができます。

ところが、それまでジャケットを着ることなく生きてきた人が、持ったからといって着るようになるかというと……。
結論から言いますと、着ませんでした。人前に出るときにはワンピースなどを選び、たためるジャケットは巾着の中でたたまれたまま。

眠らせていたら、うっかり10年

ふだん、2年使っていないような服は衣替えの際に手放すようにしています。
65㎡の大きくはない家に4人で住んでいるわが家にとって、使わないものにスペースを割く余裕はないのです。もし大きい家であっても、使わない服が混在するクローゼットから服を選ぶのはおっくうなこと。

ただ、このジャケットに関しては「1枚くらい持っておきたい」「コンパクトでじゃまにならない」を理由として10年も眠らせてしまいました。
衣替えの際にも巾着に入れたまま、出して向き合わなかったことも敗因です。
このことに気づいた今、メルカリなどでこのジャケットを必要とする人に送り出したい!

手放す服の見きわめ方

「収納内が服でパンパン」とお困りの方はたくさんいます。きっと、その服の多くが使われていません。それでも手放すことができないのは、手放すことに納得がいかないから。
「あんまり着ていない」「以前はよく着ていた」「痩せたら入る」――だから手放したくはない。
納得しないうちは、無理して手放さなくていいと思います。

手放さない代わりに、それらをまとめて箱に入れ、ほかの部屋や収納のなかに隔離してみてください。これなら、もしも「やっぱり着たい」と思ったときに取りだすことができます。そして、クローゼットのなかにはゆとりが生まれます。

数カ月後か、1年後か。箱を開けたときに「いらないな」と納得できたら、手放せばいいのです。「開けたくもないな」と感じたら、そのままどこかに送り出せばOK。
もし可能なら、箱の中のものを「なぜ着ないのか」と分析できたらバッチリです。「こういう服は着ないんだな」と自分のことをひとつ知り、次の買い物に活かすことができると思います。

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