本多さんの今月の「買ってよかったもの」「手放したもの」とは?
今月の本多家、2つのモノについてのショートストーリー。

本多 さおり

本多 さおり

暮らしを愛する整理収納コンサルタント。雑誌やwebなどで暮らし重視のシンプルな収納術を提案している。『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP 研究所)には物件探し&購入から家づくりの工夫まで紹介されている。また、新著書に『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)などがある。

http://hondasaori.com/

今月の買ってよかったもの「WAKA WAKA のイス」

ものを買うときは、よくよく考えるようにしています。
それは、家に連れて帰ったその日から働いてくれるものか?
家のなかに、すでに同じ働きをするものがいないか?
こうして関所を設けないと、物量が増えて管理で苦労してしまうから。スペースがぎゅうぎゅうになり、本来使えるものが埋もれてしまうから。

スッキリと暮らすためには、捨てるときよりも、家に入れるときの熟慮が大切だと感じています。

それでもほしいものがある。かわいいイスとの出会い

ただし、このイスを見たときの「ほしい」という衝動は、必要を感じてのものではありませんでした。あまりに、可愛らしいその姿。このイスの置いてある部屋で過ごしたい。その満足感は毎日の幸福度を確実に上げてくれるという確信が持てました。
毎日の幸せイコール、人生の幸せではありませんか!

イスは、「ヒムカシ」という洋服屋さんに置かれていました。あまりに惹かれてお店の方に聞いてみるとロサンゼルスを拠点に“ WAKA WAKA“というブランドで制作活動を行う 奥田慎一郎さんの作品とのこと。
シンプルなのになぜかワクワクする楽しいデザインに目が釘付けでした。そのイスはお店の什器だったので購入検討には至りませんでしたが、「あぁいいな」と強く印象付けられながら家路についたのです。

ところが数カ月後、ヒムカシからWAKA WAKAの展示会が催されるとDMで知らされました。イスにひとめぼれした私は、他の家具もぜひ見てみたいと思い家族を連れてさっそく訪れました。そこで圧倒的に惹かれたのは、やはりあの日ひとめぼれしたイスだったのです。

ただ、もちろん簡単に決断できる価格ではありません。
「買いたい……でも……」と頭を抱えていると、お店の方が「実は什器として使っていたアウトレット品もあります」と教えてくれました。そのイスは、まさに数カ月前にひとめぼれしたもの!

アウトレットとはいえ私にとっては高い買い物でしたが、最初に正規価格を聞いていたがために多少金銭感覚に狂いが生じており、「それなら!」と購入を決断しました。
一緒にいた夫は、「人生は一度きり。ほしいものに出会ったらなるべく早く手に入れて、なるべく長く楽しむべし」という強い主張を持っている人。価格に驚きつつも、「そこまで気に入ったなら買った方がいい」と背中を押してくれました。

よい家具は、生活の質を上げてくれるから

待望のイスを部屋に置いてみると、合板の風合いが家とマッチしながら、空間の質をあげてくれているのがわかります。こどもが座ってゲームなどしているのを見ると、「あなたは貴族か」と突っ込みたくなりつつも、こどもの愛らしさまでアップしているのでにんまり。誰も座っていないときでも目に入るだけでホクホクし、「来てくれてありがとう」という気持ちになります。実用できるアートといったところでしょうか。

部屋の雰囲気を形づくるインテリアは、値が張っても質のよいものを選びたいと意識しています。それは、若かりし頃に清水の舞台から飛び降りる覚悟で購入したソファが、心地のよい暮らしに大きく貢献し、手放すときは高額で引き取ってもらえたという経験から。
何十年と生活をともにしてもすたれることなく、次の人に回せるような家具を選ぶようにしています。

今月の手放すモノ 「こどものおもちゃ」と「DVD」

クリスマスや誕生日、お土産などでこどものおもちゃはどんどん増えます。けれどこどもの数は増えませんから、遊ばれるおもちゃには限りがあるんですよね。

増えた分、使っていないものを減らさなければスペースを侵食してしまいます。こどもが手放したくないと言うなら、1軍おもちゃとは別の収納にまとめて封をしておくのがおすすめ。いずれ「使っていない」と実感できたときに手放すことができるし、それまでジャマになりません。

案外、親が「そんなに遊んでいない」「壊れていない」「思い出が詰まっている」と手放せなかったりもするんですよね。
そんなときは、過去ではなく未来に目を向けてほしいと思うのです。玉石混合で埋まったスペースを空けることができれば、本当に使うものを遊びやすく収めることができる。もしくは、活動のための空間を広く取ることができ、スッキリと暮らすことができる。よい未来をイメージできれば、希望を持って取り組めます。

買うときは、次の人に回すことを考慮に入れて

今回手放すおもちゃは「シュライヒ」の動物フィギュア。よいものなので、購入するときすでに「不要になったら誰かに回せるだろう」と考えていました。

こどものDVDを買ったときも、将来売ることを考えて外装の箱を取っておきます。息子お気に入りの「クレヨンしんちゃん」はとにかくしょっちゅう見るので、親が飽き飽きして「新しいのを買うからそれはもう手放そう」となり、回転が速い。外装があれば、よりよい状態で売るお渡しすることができ、梱包の助けにもなります。

「売ろう」となったものは、わが家の通称「メルカリボックス」に入れておきます。あとでまとめて、写真を撮ったりテキストを書いたりと出品準備。これが面倒ゆえにいつまでも収納のなかにあるよりも、専用の一時ボックスに移した方が順調に放出していけると感じています。

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