本多さんの今月の「買ってよかったもの」「手放したもの」とは?
今月の本多家、2つのものについてのショートストーリー。

本多 さおり

本多 さおり

暮らしを愛する整理収納コンサルタント。雑誌やwebなどで暮らし重視のシンプルな収納術を提案している。『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP 研究所)には物件探し&購入から家づくりの工夫まで紹介されている。また、新著書に『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)などがある。

http://hondasaori.com/

今月の買ってよかったもの 洗面所のコップ

洗面所のコップ、管理が面倒で使っていませんでした。夫は今でも手で水をすくってうがいする派。私も、こどもがうがいのできる年齢になるまではそうでした。

子どもにもそうしてとは言えませんから(おててちっちゃすぎ)、せめてコップの底に水が溜まったままにならないよう、逆さに吊るせるコップを100円ショップで購入しました。水切れがよく、いい感じです。

さらに最近、次男がインフルエンザにかかったことをきっかけに、家族で1つだったコップを3つにして人別で使うことに。間違って人のものを使わないよう、色違いにしようと思いました。

わが家では、兄弟で間違えそうなものはすべて色分けしています。
歯ブラシは、兄が白、弟が青。下着は、兄がグレー、弟が白。靴下は、兄が黒、弟がグレー。
新たに導入するうがいコップは、歯ブラシに合わせればきっと間違えないだろう!

ところが、弟用にしたい青のコップがなかなか見つかりません。色違いのおそろいにしたいので、あちらこちらの100円ショップを巡り、1日に3店と回ったこともありました。ようやく発見した時はもう、感無量!
そのかいあって、兄弟とも間違えることなく自分のコップを使えています。

うがいコップの吊るし方

洗面台の横にある棚板裏面に、「?型」のフックを3つ取り付けました。そこにそれぞれのコップ(母グレー、兄白、弟青)を逆さづり。

使ってすぐにここにかけると、水が洗濯機の上にポタポタたれてしまうので、洗面ボウルの上に「一時吊るしフック」を設けています。子どもは使ったらその辺に置いたままなので、気づいたときに私がかけるシステム。

コップの水滴がそのまま下の洗面台に落ちる位置に一時吊るしフックを設置

このとき、「一時吊るしフック」があるとないとでは、吊るすことへのハードルが段違いです。「あっどうしよ、まだたれるかな」「コップ振って水切らないと」と少し思うことが結構な重しとなり、吊るす行動にサッと移れません。

また、棚板裏面のフックにしても「ひっかけやすい」ものであることがとても重要。揺れるフック、落ちやすいフックなどでは、気を配る必要が出て「めんどう」と吊るすことをためらってしまいます。
わが家は持ち家で、釘の打ちやすいベニヤが多いこともあり、しっかり固定できるネジ式で、吊るしやすい形状の「?型」フックを多用しています。

「ここに吊るしたい」「この中に入れてほしい」などで収納の仕組みをつくったときには、“そうしやすい”ことが何より大切です。最初はうまくいかなくても、「じゃあこうしてみよう」と実験を繰り返すことが、暮らしをどんどんラクで快適にしてくれます。

手放したもの インテリア飾り

「居心地のいい部屋をつくりたい」という気持ちは人一倍と思っていた私ですが、先日衝撃的なことがありました。

私の留守のあいだに夫に来客があり、「飾ってんな~!」「ここにこれ、いる?」と部屋にチェックを入れていったというのです。その来客、私にとっても親しい友人で、とにかくインテリアに詳しく自宅もパーフェクト。優れたデザイナーとあってそれは信頼のおける感想であり、アドバイスなのです。
いろいろ部屋に気を配っているつもりでも、見慣れた景色にマイナス面を見いだせなくなっていた私。「はうあ!」と漫☆画太郎先生の作画になって叫んでしまいました。

一度すべてをとって

まずい!とあわてた私は、部屋のなかの飾りを一度すべて取り去りました。
棚の上の飾り、グリーン、壁に飾った絵、スワッグ、壁付けの小さい棚や、CDプレイヤーまで。

こうして、ものを“ずっとあった場所”から取り外すと、もの自身と新鮮な気持ちで向き合うことができます。
以前は気に入っていたけど、今はそうでもないんだな、という判断も冷静にくだせます。
古くからあるものには愛着もありますが、思い出に引きずられている部分が大きくて、今の好みかというと、そうでもなかったり。
スワッグなどは、ずいぶん劣化が進んでいることに気づいたりもしました。

また、最近飾ったものののなかにも、「そんなに好きでもないな」というものがいくつかありました。それらを集合させてみると、どれにも理由が見つかるのです。いつもの自分では選ばないであろう、その場のノリで「いいような気がして」買ってしまったものたち。
「気がする」は、やっぱり気のせいなんですね。とくに柄など目立った特徴には要注意。飽きがちです。

本当の好みや、売り場でやってしまいがちな自分の傾向。気づくことができたのは、「そこにあるのが当然」化していたものを、解き放って向き合ったからでした。

何もなくなった壁や棚を拭きあげてクリアにし、あっさりスッキリとした部屋を眺めてみると、胸の内からこみあげてきたのは「あ~、落ち着く~」という気持ち。
やっぱり、情報量が多すぎたのだと実感しました。

減らした飾りやグリーンは、種類ごとにまとめて再配置。グリーンだけでまとめると、そのコーナーはまたよい雰囲気に! 水やりもラクになって言うことなしです。

指摘してくれた友人は帰宅後、妻から「ナニ様!?」と激怒されたとのことですが、何ともありがたいお言葉となりました。

飾りを減らして得たものふたつ

ものを減らして棚のスペースが空いたことで、先ごろ亡くなった父の写真を置き、花を供えることができるようになりました。
整理してお気に入り度の上がった空間に、父を招けたのはうれしいこと。

また、遠方に住む友人がなんともかわいらしい花器(SHIINE SHIRAUOの作品)をプレゼントしてくれました。ものをマイナスしたことで、より“場”が今に寄り添ってくれた。毎日の生活の中で、その影響は計り知れないと感じています。

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