本多さんの今月の「買ってよかったもの」「手放したもの」とは?
今月の本多家、2つのものについてのショートストーリー。

本多 さおり

本多 さおり

暮らしを愛する整理収納コンサルタント。雑誌やwebなどで暮らし重視のシンプルな収納術を提案している。『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP 研究所)には物件探し&購入から家づくりの工夫まで紹介されている。また、新著書に『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)などがある。

http://hondasaori.com/

今月の買ってよかったもの 化繊のパンツ

おしゃれ難民。店の固定化で難を逃れる

「服を見たい」「ウィンドウショッピングしたい」という欲求が、年々失われています。ファッションに対する興味の減退。
それでも、定期的に新しい服は必要です。くたびれた服では全体的に残念感が強くなりすぎるお年頃ですから。

おニューを仕入れる際は、だいたいいつも同じ店を見ます。数多ある洋服屋さんを巡る気力がないために。
選ばれたその店は、やっぱり「無印良品」。そして「URBAN RESEARCH DOORS」。双方ともシンプルでベーシック、着心地のよさを追求しているお店でニーズにぴったり! 家の近くに店舗があるのもメリットです。
とくに無印良品は、試着が自由で店員さんが放っておいてくれるのがありがたいところ。おかげでじっくり服と向き合うことができます。

以前、一緒に買い物をしていた友人から
「あれだけ丹念に探して、何着か試着もして、1枚も買わないってすごい」と言われたことがありました。
試着をしてわかる、「この白は自分の肌に合わないな」「このシワ感は手入れが必要になるな」があるのです。以前それで、せっかく買った服をあまり活かせなかったという経験がある。苦い経験を活かして、服を見るようにしています。

私にとって今、服とは道具

実は、服を選ぶとき「かわいい」で選んでいません。今はとにかく、着心地がよくてラクかどうか。シワができたりせず、管理がラクかどうか。シルエットにぴったり過ぎず、ダボッとしすぎず、体型をカバーしてくれるかどうか。
デザイン的にはシンプルでなじみやすく、便利に使えることを重視しているという点で、道具を買うときとほぼ同じ観点です。

そうなってくると、以前は大好きだった質のよいリネン素材などではなく、適当な扱いでもハリを保ってくれる化繊がニーズに合致。男児育児真っ盛りの今、強い味方は機能性の高い化学繊維なのです。

今月購入にいたったのは、「MUJI WALKER」の撥水ナイロンワイドウィンドパンツ。
MUJI WALKERとは無印良品のスポーツウェアラインで、機能性が豊かです。このパンツはその名の通り、水を弾いて風を通さない。普段はもちろん、雨の日や風の強い時にも重宝しそう。そしてなにより、軽くて着ていてとてもラク!

そしてURBAN RESEACH DOORSでは、サスペンダーパンツを購入しました。ジャージ素材で柔らかく、着心地よく、シワになりません。以前「サロペットはコーディネートがラク」と感じていたため、同じように働いてくれるだろうと踏みました。
「それでもかわいいから選んだっていうのはあるでしょう?」と聞かれたのですが、我ながら驚くほどその視点はありませんでした。この服に感じたのはとにかく、「便利そう」。

服への向き合い方は、時代によって変わってもいい

こどもが生まれる前は、天然素材の質のよいものを、永く使いたいと思っていました。「ARTS & SCIENCE」のワンピースを清水の舞台から飛び降りるような気持ちで購入し、インナーにこそよいものをと「PRISTINE」を選んでいました。
そのころは正直、お安い服を買いだしたら終わりだとまで思っていたのです。今振り返れば、いったい何を卒業すると言うのだろうという感じですが。

それが今や、真逆。
気安くガンガン使えて、毎年買い替えられる価格の服が本当にありがたい。出かける先が公園や動物園といった今の自分のライフスタイルにはぴったりです。すぐに汚れてへたれるTシャツやカットソーは短いスパンで回し、パンツと上着はテクノロジーの詰まった製品で身を守る!

ただ、今後ずっとそうしていくとは限りません。また、よい服を永く着たいと思う時代が来るかもしれない。道具として扱う今と、おしゃれにこだわる時代。行き来したっていいんじゃないかと思っています。

手放したもの 服6着

買いながら燃え上がる断捨離熱

上述のパンツを買った日は、珍しく1日オフでした。こどもたちもいません。“小学生学童なし夏休み対応”のストレスでパンパンだった私は、そりゃあ「あらゆるもの吟味するぞー!」「そして買うぞー!」と息巻いて、気づいたらショッピングモールに6時間もいました。

ただ、買いながら同時に、断捨離熱も燃え上がっていたのです。
新たに迎える服を選びつつ、家のクローゼットに思いを馳せて「あれは捨てよう、あれももういい」と手放すものを脳内でどんどん選出していました。忙し。

だって服の量というのは、多いほど人を苦しめるのです。
多すぎる服は、「ぎゅうぎゅうの収納」「コーディネートの難解さ」「持ち服を忘れ似た服を再購入」といったさまざまな不幸を呼んでしまうから。

服の量はだいぶ減らしてきましたが、それでもまだ多いと感じます。本当は、上3着と下3着でいけると思うのに、その何倍も持っている現実。そして実際、あまり出番のない服があるのです。もし、写真に撮られることのない職業についていたなら、本当にワンシーズン全6着にしていたかもしれません。
モノトーンのものしかないので、コーディネートはかなりラクではあるのですが、6着だったらそれどころではないラクさだろうなあ。

買った分より手放して、微減

衣替えは、服を手放すよい機会だと思います。一枚ずつ広げて見分してみると、「よく見たらシミがついてる!」と気づいたり。私はそれで、「もしかしたらほかのものも……」と疑いの目を持って見ることになり、6着の服を手放すことになりました。
とくに白は、ワンシーズンしか持たないものも多いです。黒にしても、気づけば何年も着古して、褪せてくたびれていたり。
「もうこれはいらないな」が1枚見つかると、手放す基準が明確になりはかどります。

いつも、服を買ったらその枚数以上を放出させることにしています。
意識するのは、微減。
全6着に近いところをめざして、これからも、3枚買ったら4枚放出、5枚買ったら6枚放出の精神。服との付き合いをよりラクに、シンプルにしていきたいと思っています。

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