別荘がほしい、別荘がほしい…そう念じていたのが天に届いたのか、知人から譲り受けることになった信州の別荘。写真を見て即決、さっそく現地へ確認に行きました。
お見合い相手に対面する前のような、ドキワク感

さて、棚ぼた的に別荘を手に入れることになったわが家ですが、そうは言っても写真だけで判断するのは、やっぱり不安です。
なんとなく「きっと大丈夫」という、確信のようなものはあったのですが、実際に目にしてから契約をするまでは、ふわふわした気持ちでいました。
自宅を購入したときも、カンと勢いで土地を決めましたが、不動産というのは、本当にこういう不思議な流れのようなものがあって、そこに「えいや!」と乗るかどうかで人生は決まるなあ、と思っています。
さて、譲り主とメッセンジャーでやりとりをし、お互いの休みの日をすり合わせて、現地集合することになりました。わが家は東京郊外、西エリアなので、比較的中央道へのアクセスはいい方です。うまくすれば、3時間以内で現地に到着できそうだと、地図アプリを見ながら嬉しくなりました。
さあ、どんな家なんだろう?
写真では、さほど古びては見えないのですが、中に入ったらボロボロだったらどうしよう。しばらく使っていないということなので、大きな欠陥や、経年劣化があるのでは。などと、不安も募ります。
一方で、きっといい家に違いない、そんな予感もします。
もうこれは、お見合い写真を見て、対面する前に思いを膨らませている人と同じだな…と、われながら苦笑するのでした。
はじめまして、山のわが家
7月某日。
目指す別荘は、諏訪湖から南へ。エアコンの名前で有名な「霧ヶ峰」方面です。
標高は1600m。近づくとまったく買い物できなくなるので、先にコンビニなどへ寄るように、とアドバイスされていました。
キャンプと同じで、別荘ライフは、買い物の動線が本当に大事です。妻が道すがら、めぼしいスーパーや店を地図アプリにポイントして保存していきました。
つづら折りの山道をどんどん登っていくと、気温も湿度もみるみる下がっていきます。妻が窓を開けて、「わあ、気持ちいい!」と言いました。
しばらくすると、その家がある別荘地の看板が見えてきました。写真通りの風景の前に車を止めると、譲り主の知人はもう到着して、家中の窓を開けておいてくれました。
第一印象は普通の民家
さて、第一印象ですが、「思ったより、ふつうだな」。
別荘というよりも、ふつうの民家、という感じです。ボロボロだな、という感じはしませんでした。標高が高いので、庭には熊笹ばかりが繁っています。雑草とりをする必要は、なさそうです。車を降りると、驚いたのは、ブンブンと虫がやたら飛び回っていること。アブです。これには閉口しました。
知人が、「ようこそ」と出迎えてくれました。
煉瓦造りの玄関ポーチは、一部グラグラしていました。
中に入ると、想像していたよりもカビ臭さはありません。換気してくれていたからでしょう。壁紙はところどころ傷ついていますが、気になるほどでもなく、フローリングはとてもきれいです。ギシギシしているところも、ありません。
そこに残されていたのは、驚く量の……

この家を建てたのは、名古屋のお医者さんだそう。
スキー好きな家族で、スキー場への拠点として建てた、築30年の、有名ハウスメーカーの家でした。ということは、真冬も利用していた、ということになります。
「最初に僕が買った時には、リビングに達磨ストーブが4つもあったよ。窓も二重サッシじゃないし、それほど防寒仕様になっているわけではない、ふつうの家だから、冬は寒かったと思うけど、毎年、ここで家族みんなで年越しをしていたみたい。人数がたくさんいたから、寒くもなかったのかもね」
知人がそう教えてくれました。
なるほど、と話を聞きながら、家中を見て回ります。なんだか自分の実家のような雰囲気で、懐かしさすら感じます。2階には3部屋。主寝室と、2段ベッドが2つ置かれた広い部屋。そして、納戸くらいの小部屋。
どの部屋も、入れもの自体はきれいなのですが…とにかく仰天したのは、そこに残されていたモノの量でした。
布団、シーツが山のよう。お医者さんの家だっただけあって、医療用の未使用シーツや毛布が、夥しい量で残されていたのです!
さらに小部屋には、スキーグッズが6点と、自転車が4台。そのほか、ありとあらゆる趣味グッズのようなもので溢れて、中に入るのもやっとです。
「ごめんね。譲渡する条件で、これらの荷物、丸ごと引き取ってもらいたいんだ」
知人は言いました。もともとメッセージでやりとりしていた内容ではありました。
しかし、その量に、つい尻込みしてしまう自分がいました。なんというべきかと困っていると、
「あ、大丈夫ですよ、これくらい」
そう言ったのは妻でした。
「撤去するだけだから。自分の思いが何も込められていないモノをなくすのは、簡単なことですよ」
そして僕の方に向き直り、
「大したことないわよ。はい決めました、この家」
と言ったのでした。
続きは、また次回です。