弱電界地域にある信州の山の家。テレビを買ってきたはいいものの、どうやって見たらいいのか? また、インターネットはどうする…? 一年中暮らすわけではない、セカンドハウスの電波事情とランニングコストについて、悩ましい問題が出てきました。

N・Y

N・Y

東京郊外の一軒家で、3人家族+柴犬(3歳)と暮らす、恐妻家のお気楽会社員(53)。30年以上続けるアマチュアJAZZバンドでは、ギターを担当。ジャズ雑誌などで評論記事を執筆。暮らし系のエッセイは初挑戦。コスパよく別荘生活するコツを、あまり堅苦しくなく、お伝えできたらと思います。

ここは電波が弱い信州の山の家。でもやっぱりテレビが見たい!

最近は、「うちテレビないんです」という言葉をあちこちで聞くようになりました。若い人の一人暮らしはもちろん、子育て中でも、テレビを見ない、置かないという家が増えているように感じます。
情報はスマホやPCから十分取れるので、テレビがなければないで、暮らすことは可能なのだと思います。「家族の会話も増えるよ」「読書がはかどるよ」などとも聞きます。そんなテレビのない生活を潔く感じて、とても憧れます。

しかし、お恥ずかしながら、わが家はテレビが大好き。
朝のバラエティを見ながら朝食。ゴン太が寂しがるといけないので、外出しているときも付けっぱなし。ご飯を食べながらバラエティ番組やドラマを観て、家族全員が寝室へ引き上げるまで、テレビはずっとついている…そんな日も多いのです。

信州の家にもテレビの配線があったので、何の疑問ももたずに、家電を揃える際に小さなテレビを購入しました。さっそく繋いでみましたが、映りません。それもそのはず、アンテナがなかったのです。ケーブルテレビも検討しましたが、この別荘地では利用している人がいません。アンテナ工事業者を探して連絡すると、1時間ほどで現地まで来てくれました。

テレビアンテナの前に、そもそも屋根を修理せよ

軽トラックで駆けつけてくれたアンテナ工事の業者さんは、車から降りてわが家を見上げると、険しい表情になりました。そして一言、
「これは…無理ですね」
と言うではありませんか。

「屋根の上に、木の枝とか葉っぱとかたくさん降り積もっていて、もう芽が出ているところもある。まずは屋根の上をきれいにしないと、アンテナ工事なんてできないですよ。そもそも、屋根の上にかかっちゃってるまわりの木を全部切らないと。いったん掃除しただけでは、また同じことになるから。ざっと見たところ…10本以上は切った方がいいなあ」

ええっ、と驚く私たち。
「あのぉ、木って、私たちでも、すぐ切れるもんなんですか?」
私の言葉に、業者の方は笑いました。

「素人じゃ無理、無理! 建物にぶつからないように切って、敷地にクレーンを入れて持ち帰って処分してもらうんだから。結構な作業ですよ。1本数万はかかるんだから」

1本数万円、ということは、10本で数十万円…!?

「10本じゃきかないかなあ、たぶん。かなりまわりの木は大きくなっちゃってるから。あと、いろんなものが屋根の上に堆積しているはずだから、放っておくと屋根が朽ちてきて、雨漏りしちゃうんですよ。ハシゴ使って上がってみないとはっきり分かんないけど、まあ、ここから見上げただけでも、何年も手を入れてないのはわかるからさ。ちょっと今日の今日でアンテナ工事っていうのは無理ですね。あと、このエリアは、アンテナを取り付けたところで、電波が入るかどうか微妙なんですよ。弱電界地域ってやつね。高地すぎるから」

まずは僕に頼むより、伐採業者、それから屋根の修理業者だよ、と言い残して、アンテナ工事業者はさっさと帰って行きました。

ガーン。
木を切って、屋根の修理。それって、いくらかかっちゃうの?
やっぱり古い家のメンテナンスにはお金がかかるのか…。
とりあえず、別荘地の管理会社に連絡をして、伐採について相談をすることにしました。

それにしても、当面のテレビはどうしたものか。せっかく買ってきた小さなテレビも、持ち腐れになってしまうのでしょうか。

山の上は陸の孤島。海外のように、レンタルWi-Fiを使ってみたら

熊笹が生茂る庭。春もスイセンや高山植物しか花が咲かないほどの高地です。
そりゃテレビなんて難しいか…。
これは思い切って、山ではテレビのない生活を満喫するしかない、のか。覚悟を決めようと思うのですが、やっぱりテレビが見たい私たち。
すると、息子が言いました。

「テレビにファイヤースティックをさして、ネット経由で見ればいいんじゃない?」

なるほど。何もオンタイムで見ずとも、動画配信サービスを利用すればいいのか。
それならば、大掛かりな工事をしなくても、テレビを生かすことができそうです。

そこで新たに発生する問題が、インターネット環境。スマホの4Gは問題なく使えていますが、Wi-Fiは未知数でした。また、冬場に使わない家に対して、年間のランニングコストをかけるのはもったいない。

そこで、海外旅行先のように、レンタルWi-Fiを利用してみることにしました。
3泊4日ほどで借りて、返却はゆうパックです。数千円かかりますが、ひとまずはこれでテストです。

これが、テストしてみて正解でした。残念ながら、このエリアはWi-Fi環境が非常に不安定なのです。
ファイヤースティックを使ってプライムビデオを試しました。調子のいい時は順調に観られるのですが、時々固まってしまいます。
山の上でテレビを観るのはいずれにしても難しいという判断になりました…。

水道、電気、ガス、ネット…二拠点生活のランニングコスト

結局テレビは諦め、PCのモニターで観るという方法が一番だという結論に。Wi-Fiも難しいので、唯一さくさく繋がるスマホを一台ギガ放題のプランに変更し、テザリングで解決するのが、今のところの解決策です。

テレビの件はひとまずこれで落ち着いたのですが、このできごとから発覚した伐採と屋根の問題について、向き合う必要が出てきました。
室内を軽くリフォームする程度で考えていましたが、思ったよりも出費がかさむかもしれません。それでも、せっかく手に入れた憧れの山の家です。向こう20年以上は楽しく使いたいと思っているので、ここは腹を括って、きちんとメンテナンスしておこう。妻とそう話し合い、引き続きリフォーム業者についてリサーチをする私たちなのでした。

ちなみに、ネット以外のライフラインについても少しご紹介。
上下水道代は、別荘地の管理費(一年間で約20万円)に含まれています。電気は使っただけ、ガスは使わなくても毎月2000円ほどの維持費がかかります。また、オンシーズン(4〜10月)は真夏以外けっこう涼しいので、ストーブを使うことも多いです。意外と灯油代がかかるなあ、という印象でした。

次回に続きます!

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