第4回目は、@haru___home._さん宅のリノベマンションを訪問。間取りを変えず予算を抑えて、低価格リノベでもこだわりの詰まった素敵な空間に仕上がっています。物件選びや価格を抑えるために工夫したことなどをお伺いしました。

HOUSTO 編集部

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ツレヅレハナコさんプロフィール

食と酒と旅を愛する文筆家・料理研究家。書籍、雑誌、WEBなどへの寄稿やレシピ提案だけでなく、調理器具のプロデュースなども手掛ける。『女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、『世界の現地ごはん帖』(光文社)、『47歳、ゆる晩酌はじめました。』(KADOKAWA)など著書も多数。
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@haru___home._さん宅のプロフィール

住まいの種別:リノベマンション
築年数:18年
地域:東京都
床面積:約75㎡
施工会社:非公開
間取り:3LDK
家族:夫、娘(8、4歳)
instagram:https://www.instagram.com/haru___home._/

住環境にこだわったマンション選び。きれいすぎない部屋を探しました!

ツレヅレハナコさん(以下 ハナコ): すごくエレガントな雰囲気! どこを見渡してもインテリアが素敵ですね。

@haru___home._さん(以下 haru): インテリアが大好きなんです。海外風に憧れていて、今は特にJapandi(ジャパンディ。日本と北欧のミックススタイル)と韓国インテリアが好きです。

ハナコ:このマンションに住み始めて3年ほどでしたっけ?

haru:はい。以前は同じエリアの賃貸に住んでいました。長女が小学校に入学するタイミングで「ここが家だよ」という居場所をきちんとつくってあげたいと思ったのが、購入のきっかけ。このマンションのことは前々からいいなと思っていて、空きが出るまで2年ほど待ちました。価格帯と予算が合っていたのはもちろんですが、外観が好みなのと、共有スペースが充実していること、小学校が近いこと、緑が多いことも決め手になりました。

ハナコ:2年も! でも無事に空きが出てよかったですね。5年、10年だとなかなか待てないじゃないですか。タイミングって結構大事。

haru:他の物件も回ったけれど外観が好みじゃなかったり…。このマンションの別の部屋も見たんですが、価格が折り合わなくて。リノベ前提だったから室内のきれいさにはそこまでこだわらず、汚くてもいいと思っていたんです。

ハナコ:なるほど! どうせ手を入れるから中は汚くてもいいのか〜。内見のときは「ウッ」と怯むかもしれないけど(笑)。

haru:そうですね! でもそのほうが価格交渉もしやすいです。築15年くらいだと、内装がきれいならそのまま住む人も多いせいか、売主さんが強気で。

ハナコ:これはリノベマンションならではのコツですね。リノベには元々関心があったんですか?

haru:実家は戸建てですが、セキュリティとゴミ出しの便利さでマンション一択でした。 でも新築だと内装が一律でときめかなくて。せっかく家を持つなら自分らしさを出したいと思ったんです。でもフルリノベは価格的に難しいから、プチリノベに落ち着きました。リノベというよりリフォームかも? 

リノベはとにかく予算を死守! 間取りを変えなければなんとかなる

ハナコ:最近はスケルトンからのフルリノベだと、ファミリータイプマンションで1,000万円以上しますよね。高い!

haru:わが家も最初の見積もりではそれくらいでしたが、予算はその半分。ここにずっと住むつもりもないから、なるべく予算を抑えたかったんです。

ハナコ:売却前提!? ちなみに、ご主人も同じ意見なんですか?

haru:はい。マンション選びも資産価値があることを夫婦ともに重視していました。今が築18年で、30年を迎える前に売却して次のステージに行くつもり。こどもたちも大きくなっている頃なので、そのときの暮らしに合わせた家を選ぶことになると思います。だからこそ、この部屋にお金をかけすぎちゃいけないなと。

ハナコ:すごいなあ、なんてしっかりとした人生設計〜。でも予算って、打ち合わせしていくとどんどん上がっていきませんか? 私が家を建てるときも、最後のほうは金銭感覚が麻痺して「10万円アップ? まあいいか」みたいな(笑)。普段は大根1本買うのにもどっちのスーパーがお得か考えているのに……。

haru:間取りがそのままだと、解体や壁をつくる費用がかからないからずいぶん安くなるんですよ! 私の場合、物件選びで重視したのは、壁を抜かなくても自分の好きな空間がつくれるかどうか。リノベで譲れなかったのはリビング続きの和室を洋室に変えること、その洋室をクリアな間仕切りで仕切ることでした。

ハナコ:この間仕切り、本当に素敵! クリアだから開放感が出るし、リビングもかなり広く見えます。

haru:タチカワブラインドのプレイススウィングです。パネルはガラスでなくアクリル、フレームはアイアンでなくアルミ。軽くて安全、安価です。当初の見積もりで一番お金がかかっていたのがこの和室→洋室のリフォーム。でもプレイススウィングにしてかなりコストを抑えることができました。

ハナコ:リフォーム会社はどうやって選んだんですか?

haru:リノベに特化した専門業者でなく、地元の建築会社にお願いしました。実は、当初打ち合わせを進めていたところを断って、会社を変更したんです。当初の会社は私たちの希望がうまく伝わらなかったのと、折り返しの連絡が遅くてモヤモヤしてしまって…。

ハナコ:途中で「ごめんなさい」は勇気が要るけど、金額が大きいから後悔したくないですよね。でも長い時間タッグを組むんだから、ここは妥協できない部分!

haru:金額だけじゃない、相性の部分は大きいですよね。わが家はやりたいことと予算がハッキリしていたので、あとは見積もりからどこを下げていくかに徹しました。

キッチン設備はグレードを下げ、腰壁をつくっただけ。ダウンライトも不採用

ハナコ:コストカットのテクニックは気になる! 具体的にどうやって減額したんですか?

haru:キッチンは設備をダウングレードして予算を抑えています。カップボードも変えていません。腰壁の高さを上げて、壁付けタイプのI型にしたくらい。アイランドキッチンへの憧れはありましたが、それほど料理が得意でもないし、高い腰壁で手元が隠せてちょうどいいです。これで200万円ほど減額! 腰壁と背面の壁にはモルタルクロスを貼って、自分の好きな雰囲気に変えています。背面カウンターは、ネットで買ったリメイクシートを使って後から自分で貼りました。

haru:元和室は今キッズスペースとして使用していますが、減額するために押し入れは残しています。襖には壁と同じクロスを貼り、枠には白いマステを自分で貼りました。押し入れ部分は普段カーテンで隠しています。

ハナコ:他の建具、例えばドアは変えたんですか?

haru:いいえ、予算の関係で変えるのは諦めました。でもドアの色は本当に気に入らなくて…。少しでも好きになれるように、デザインステッカーを貼って好きな雰囲気に近づけました。オーダーステッカーブランド「sherry.design」のものです。

ハナコ:ステッカー1枚で、印象が全然違う! マンションでよく見かける木のドアだけど、木材はほっこり感が増しますからね〜。ペンションみたいに見えがちというか。

haru:あと、一瞬ダウンライトにも憧れたのですが、結局は採用しませんでした。これもかなり減額できたと思います。私はかわいい照明をつけて楽しみたい派。狭いマンションなので、色味は統一感を持たせつつフォルムで個性を出しています。キッチンのフラワーシャンデリアは特にお気に入り! 「STOCKROOM OSAKA」で購入しました。

ハナコ:クリアな間仕切りといい、部屋を広く見せるのがお上手だな〜。

haru:ダイニングが広く見えるのは、ラウンドミラーのおかげかもしれません。これは「IKEA」のリンドビーン 110cm。空間に奥行きが出ますね。ミラーに写るインテリアも気にするようになりました。ちなみに壁美人という壁面収納金具で取りつけています。

クロスや床材にはとことんこだわる! 全面フロアタイルですっきり見せ

ハナコ:和室をなくす以外でこだわった部分はどんなところでしょうか?

haru:間取りを変えられない代わりに、壁紙やクロスで自分らしい雰囲気を出そうと努力しました。かなり時間をかけて選びましたね。ひとつひとつこだわりを持って選択すれば、プチリノベでも好きな空間はつくれる! そう実感しています。

ハナコ:壁も床もグレージュで柔らかい雰囲気ですね。床は全面フロアタイル! フローリングにしなかった理由は?

haru:定番の木目から逃れたかったのと、見た目がとにかく好みで。あとは水や汚れに強いことですかね。フロアタイルは水回りだけに使う人が多いのですが、全面にするとすっきりして、雰囲気が統一されて広く見えるじゃないかと考えたんです。見切り材をどうするか、いちいち考えなくてもいいですし。ただし熱には弱いので、床暖房を設置することは諦めました。

ハナコ:ある意味正解かもしれません。床暖房をつけると暖か&快適すぎて、だんだん人としてダメになっていきますから(笑)。ガス代節約にもなりそうですね!

ハナコの取材後記

私は戸建てづくりの経験しかないので、マンションでしかもリノベの話を聞くのは本当に面白い! 今回はとにかく予算を死守して誘惑に負けなかったことに一番おどろきましたね。間取りを変えず、建具もほぼそのままで自分らしい空間になっているのは本当にすごい。先々の暮らしまで考えられていると、今必要なことやお金のかけどころも見えてくるものなんですね。

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