今夏も各地で記録的な暑さが報じられています。残暑も長引く予想で、グリーンを育てる環境としては厳しい時季が続きます。大切なグリーンたちを守るためには、どうしたらいいのでしょうか。夏を乗り切るための管理のコツを、工房「グレナトレド」代表、新井奈緒子さんに伺いました。
よかれと思ったケアが、グリーンを弱らせる
立秋を過ぎても、暑さが弱まる兆しは見えません。
地域によっては体温を上回る温度になることもあり、この強烈な暑さは、人だけでなく、グリーンからも元気を奪っています。
夏が過ぎると、私の工房にはたくさんの弱ったグリーンたちがやってきます。枯れそうなグリーンをなんとかしてほしいと、お客様が「入院」させてくるのです。
「暑くて元気がなさそうだから、外に出して、お水をたくさんあげたんですけど、復活しないんですよね」
と、あるお客様。
お水は何時くらいにあげていましたか?と聞けば、
「うーん、特に決めてなくて。お昼くらいかな? 目に入った時に、あげてました。あとは、肥料もたくさん入れてみたんですけど…」
残念ながら、NGポイントの連発です…。
おそらく、かなり気温が上がった状態で外に出し、水をかけて放置することがあったのでしょう。水が日光で高温になり、鉢の中はアツアツ状態。葉っぱに残った滴に直射日光が当たり、虫眼鏡のように光を通して、葉も焼けてしまったのです。
そのヘトヘトの状態に、肥料が与えられて、グリーンもパニックで失神寸前、というところでしょうか。熱が上がって食欲がないところに強壮剤を飲まされたら、人間だって余計弱ってしまいますよね。
人間は日焼けをしても時間が経てば元の肌色に戻りますが、グリーンはそうはいきません。
枯れてしまった部分は、切り取るしかないのです。
だからなるべく、あらかじめ予防して、葉を傷めないことが大切なのです。
夏は水やりよりも「霧吹き」で保湿。水やりは涼しくなってからが鉄則
夏、屋外の植物にとって、一番喜ばしい水分は、朝露や霧。
高原の朝、朝露に濡れた植物はとても生き生きしていますよね。
室内では、霧吹きでこの状況をつくってあげましょう。
特に、現在のような猛暑下では、水やりは少し控えた方が無難です。毎日霧吹きをして、様子をみてください。夕方、少し涼しくなるようなら、外に出して鉢の中まで水をあげてください。一晩そのままベランダや表に出しておいて、朝、涼しいうちに室内に取り入れます。熱帯夜は鉢の中が蒸れてしまうので、水やりを避けましょう。
エアコンとサーキュレーターで、室内の温度・湿度を一定に
グリーンは極端な変化に弱く、一定の温度で落ち着くので、梅雨が明けたらエアコンで室内を冷えすぎない、少し高めの温度設定(28℃前後)にしておくのがおすすめです。熱帯夜にならないエリアでは、日中だけの使用で大丈夫。
エアコンをかけると、室内が乾燥しやすくなりますので、霧吹きはやっぱり必須です。
また、サーキュレーターで室内の空気を回すことで、蒸れの予防にもなり、さらにグリーンに好ましい環境を作ることができます。
ブロックを使って、地熱からもグリーンを守る
ベランダや、日が強く入る窓辺などで育てているグリーンは、床からの熱でも弱ることがあります。
ブロックなどを使って、直接温度を受けないようにしておきましょう。これは寒さ対策でも同じことです。
水をあげた時に、鉢底からの水切れがよく、蒸れにくくなるのもポイントです。
グリーンは、人間と同じように、環境に敏感な生き物です。
人が「ちょっと暑いな」とか、「ベタベタするな」と感じるとき、グリーンも同じように感じている、と思ってください。
高温と直射日光を避け、過ごしやすい場所で育てることが、夏を乗り切る秘訣です。
そして、エアコンのつけっぱなしには抵抗がある…という方。お気持ちはすごくわかります。
ただ、もはや日本の夏は悲しいかな、ペットやグリーンをエアコンなしで育てられる環境ではないと感じています。自身の熱中症予防のためにも、暑さが弱まるまで、エアコンを上手に利用していただきたいと思います。