生活研究家・阿部絢子さんに伺う整理収納術もはや1年。そこで、今回はこれまでのエッセンスをまとめて読める総集編をお送りします。今年こそ、スッキリと片づいた家で快適な暮らしを目指しましょう
片付けをはじめるなら、冷蔵庫からがおすすめ
いざ片づけようと思っても、どこから手を付けていいかわからないという方のために、阿部さんにアドバイスをもらいました。
「よく『片づけがめんどう』という人に話を聞くと、家まるごと、部屋全体を片づけなければいけないと思い込んでいることが多いです。それではおっくうに感じて、いつまで経ってもスタートできません。まずは場所ではなくパーツで考えましょう」
ここでいうパーツとは、限られた小さな空間のこと。阿部さんのおすすめは、引き出しや冷蔵庫、ちょい置きしやすい階段や出窓、テレビの上といったパーツです。
「特に冷蔵庫は毎日使うため、物の要・不要や、出し入れしやすい定位置の判断がつけやすいのです。キッチンはその意味で取りかかりやすい場所ですね」
空間が狭ければ、そこにある物の量も限られます。あれこれ迷いにくいので、頭が疲れたりだらだらと時間をかけたりすることなく作業ができます。
また、小さなスペースから始めるメリットはもう1つあります。前回『暮らしは変化していくもの』で理解して物と付き合う」で紹介した「暮らしの変化を認識する」のにぴったりなのです。範囲が限られているので、「何かのついででなく今、ここだけやろう」と取りかかりやすく、暮らしの変化に気づきやすくなります。
「シンク下に入れっぱなしだった大きなホットプレート、もう子どもが独立したからこの先は使わないだろうな」「棚の上のホームベーカリー、気づけば5年も使っていない。もうパン作りが趣味ではなくなったんだな」といった気づきは、日ごろの暮らしの中では見過ごしがち。狭い範囲を集中して整理整頓することで、改めて現在のライフスタイルや必要なものを見直すことができるのです。
「小さなスペースを片づけることで、『物は永遠ではない』と理解してほしいのです。かつて使っていたものを、この先もずっと使い続けるのか? それとも、使っていないのに置いたままになっているだけではないか? もしそうなら、暮らしに変革があったということだから、その物の価値や必要性を改めて考え直す必要があります」
狭い範囲で行うことで、考えがよりクリアになります。繰り返していくうちに、よりわかりやすくなっていきます。
「たとえ最初は判断に失敗しても、繰り返し改善していけばより深い気づきや新しい発見があります。それが大事なのです」
だから、阿部さんの考える整理整頓は1回で終わりではなく、ずっと続くものなのです。
生きている限り、必要になる物も不要になった物も、それぞれ出てくるのですから。
次回では、具体的な整理収納の仕方を振り返ります。
(つづく)
年初めに収納について考える
- 「暮らしは変化していくもの」と理解して物と付き合う
- 小さなスペースから片づけ始める
- 物を把握し、ひとつひとつに定位置を決める
- メリハリ収納で家全体をスッキリした印象に