一見きれいな、小5女子のこども部屋。実はデスクや布で隠した棚の中には、使うモノと使わないモノとが混在してパンパン……!「どう片付けたらいいのかわからない」というお悩みを、整理収納アドバイザーの要めぐみ先生が解決。BEFORE-AFTERの様子とともに、片付け手順とテクニックをたっぷりとご紹介します。
片付かない部分は布で目隠ししていた、6畳のこども部屋

横浜市在住の小学5年生、ユリちゃん(仮名)のこども部屋は、眺めのいい高台マンションの一室で、約6畳。部屋のセンターにベッドを配置し、窓際にデスク、壁際に棚を据えた、まるでホテルのような部屋で、一見、すっきり片付いているようですが……。
「床や、デスクの上はきれいに見えますが、実はあちこちにいらないモノがいっぱい詰まっているんです。棚の中はもう読まない本でいっぱい、デスクの引き出しやワゴン収納の中も雑貨類でゴチャゴチャ。いざというときに、使いたいモノが出てこないという……」(ユリちゃんのママ)
「片付けたいけど、どこからはじめたらいいのかわからない。プリントとか、紙類がどんどん溜まっていくのが悩み。趣味のネイル小物もすっきり整理したいけど、なかなかできません」(ユリちゃん)
●ベッド横の棚


2つのカラーボックスを組み合わせたユリちゃんの棚。隙間があればいろいろと押し込んでしまうそう。
●学習机&ワゴン収納

ベッド脇にはワゴン収納が2台。全段にみっちりとモノが詰まっています。
ざっと見回し、「なるほど、わかりました!」と、要先生。不要なモノを整理した上で、ベッドと棚のレイアウトを変更して床面積を増やし、スッキリした空間を目指すことに。
さっそく、お片付けスタート!
小学生の片付け手順1:不要なモノを見極め、今使っているモノにフォーカス。ポイントは「一箇所ずつ」

「一気に全部をやろうとすると、小学生の片付けはとたんに進みづらくなります。部屋の中で、パートを分けて取りかかりましょう!」(要先生)
スタートは、布をかけて目隠ししていた棚から。中のモノを全部出して、いる・いらないで分けていきます。ここはいいや、とせず、全部のモノに手を触れるのがポイント。
「今本当に必要なモノはどれかな? それ以外は、思い出として残しておくか手放すかを決めていこうね」(要先生)

棚の中で大きなウエイトを占めていた、本を取捨選択していきます。
「こどものころに好きだった本や絵本。今は読まないけれど、思い出として手元に置いておきたいものもあるよね。それは手放さなくてOK。ボックスに入れて、天袋に入れるなどして、普段生活するスペースを空けていきましょう」(要先生)

先生と一緒にはじめると、とたんに驚異の集中力を発揮し、サクサクと要・不要を選択していくユリちゃんです。シールや封筒、メモ帳など、かわいくて細かいものがたくさん出てきますが、一点一点丁寧に向き合います。

棚の中から出てきた、大量の「もう使わないモノ」たち。
「前学年のテキスト類も、とっておく方が多いのですが、ほとんど使うことはないので手放してもいいと思いますよ」(要先生)

棚に続いて、ワゴン収納の中身もチェック。最近興味を持ち始めたメイク用品や、趣味のネイルチップ作りの道具がたくさん入っています。
大切なモノをしっかり見極めると、もう使わないモノもたくさん見つかりました
部屋全体のモノの取捨選択には、大体2時間半くらいがかかりました。
小学生の片付け手順2:家具の配置を見直す

以前はベッドを部屋の中央に置いていましたが、それでは部屋を回遊できず、動線が制限されてしまっていました。
さらに、この部屋のベランダは洗濯物を干す場所でもあるため、家族の出入りが頻繁。そこで、みんなが通りやすく、物の出し入れもしやすいように、ベッドは壁際へ移動しました。
中央に配置し直した棚も、横置きから縦置きに変更。
床に接する面積が小さくなったことで、部屋をより広く使えるようになりました。
また、横置きの場合は物を取るたびにかがむ必要がありましたが、縦置きにすることで、腰から胸の高さの収納スペース――いわゆる「収納のゴールデンゾーン」が生まれました。
この位置に日常的によく使う“一軍”のアイテムを収納すれば、出し入れがしやすく、自然と部屋が散らかりにくくなります。
小学生の片付け手順3:腰高〜胸のゴールデンゾーンを中心に、適した収納用品で収めていく

必要なモノだけに絞ったら、いよいよ収めていきます。まずは本から。重さのある本を一番下段に入れるのが棚を安定させるコツだそう。本の高さを背の順に徹底するだけでも、スッキリした見え方に。

本や教材がきれいに収まりました!
ゴールデンゾーンは、ソフトボックスにざっくり入れて「簡単にキレイが続く収納」を目指す
「棚に向かって腰から上は、ゴールデンゾーンと呼ばれる部分。よく使う本や雑貨は、そこに収めていきましょう」(要先生)
ホワイトのカラーボックスを本棚の横に設置して、そこにソフトボックスを新たに投入しました。

ソフトボックスには、毎日使うタオルやハンカチ類をまとめて、取り出しやすく立てて収納。

以前のハンカチ収納はこちら。箱の大きさに対して、量が多い状態でした。
あえて大きめのソフトボックスに入れ直すことで、余裕があり取り出しやすい収納に整えます。
また、給食時のランチョンマットやナプキンなどの布類も合わせてここにセット。

下段には、大きめのソフトボックスをIN。こまごました雑貨や、手放したくない思い出の品などをまとめて入れる「なんでもボックス」を設置。
「特に女の子は、缶バッジや友達からの手紙、お守りなど『名もなき雑貨』を溜め込みがちです。すべてのモノに住所を作ると、苦しくなってしまうので、こういうなんでもBOXがあれば、そこにいったん入れておく心の余裕ができます」
トップオブザゴールデンには教科書を。ハーフボックス使用がポイント

ホワイトカラーボックスの上はユリちゃんの胸の高さ、まさにゴールデンゾーン。ここには、一番使うものを設置するのがポイント。

現在進行形で使用しているテキスト、プリント類を整理して入れました。ここはあえて、取り出しやすさを重視したハーフサイズのボックスを使用します。
学習机には「最近買ったモノ」「今ハマっているモノ」を中心にセット

お次はデスク。引き出しも中身をすべて出して、モノを選別していきます。
エンジンがかかりっぱなしのユリちゃんに、「休憩をはさみながらやっていきましょうね」と要先生が声をかけます。

デスクの中も、この通りきれいに収まりました!
左側の引き出しは文房具を、右側は今ハマっている“旬の小物”や、最近買って嬉しかったモノを整理。「あまり細かく分けすぎるとリバウンドしやすいので、ざっくりで大丈夫」と要先生。

ワゴン収納は部屋の隅に寄せました。中には今読んでいる本や、趣味のネイルチップ作りの材料などをセット。作業するときは、学習机の横にワゴンを移動できます。

お片付け完了!
床面積が増え、体操ができそうなくらい広々。ユリちゃんも大満足です。
「広くなって、うれしい! これまで片付けスイッチが入らなかったから、教えていただいて本当に良かった。今日は片付けが楽しかったです。勉強もやる気が出ると思う!絶対にキープしていきたいと思います」(ユリちゃん)
片付け10分以上は危険アラート?きれいなこども部屋をキープするコツとは

ユリちゃんの部屋を片付けた感想を、要先生に伺いました。
「こども部屋が散らかる原因は、やはりモノがどんどん増えるのに、それを手放せないこと。でも、何を手放して何を残すのか、こどもだけで判断するのは難しいですよね。なので、特に小学生の頃は親も一緒に取り組んで、片付けの基礎を教えてあげるのが良いと思います。でも、親子で片付けって、本当に難しい。喧嘩になっちゃいますから(笑)。
細かくやりすぎず、片付け全体の流れを理解してもらう、くらいの気持ちが良いのかな、と思います。ユリちゃんは、取りかかってみると、判断が速いのでとても助かりました! 女の子は、小物や雑貨が多くなりがちなので、そこでみんな悩むんですよね。親子でコミュニケーションをとりながら、これからもお片付けを楽しんで欲しいです」

こどもに片付けを習慣化させ、きれいな部屋をキープするためには、どんなことをしたらいいのでしょうか。
「夜寝る前に、親子でささっと片付けるクセをつけることです。その際、もしも10分以上の時間がかかるなら、物量が多すぎるというサイン。5分以内を目安にしたいですね。週末にまとめると大仕事になってしまうので、なるべく毎日簡単に。本棚やテキスト類などは、学期終わりに見直すといいと思います」
大人はこどもの気持ちに寄り添って、一緒に片付けを楽しむこと。
こどもたちが将来も快適な生活を送れるように、毎日の短い片付け習慣を繰り返していきたいですね。
要先生がセレクト!こども部屋収納のお役立ちアイテム
今回、ユリちゃんの部屋に要先生が持ち込んだお役立ちアイテムをご紹介します。

ニトリの「ソフトNインボックス たて型ハーフ」は、カラーボックスに2つ並べてちょうど入るサイズ。柔らかくて膨らむので、多少無理に入れてもOK。

「カラーボックスに収めたうち、2つは空です。中高生になると、またモノが増えるので、小学生のうちは余裕を持たせておきたいですね」(要先生)

教科書やノート、プリント類を入れるのに最適と要先生が太鼓判を押す、無印良品の「ファイルボックス 1/2」。
「フルサイズのファイルボックスは、中身が見づらく、プリント類の存在を忘れてしまう可能性があります。テキスト類の整理はハーフボックスがおすすめです」(要先生)
ボックス系は、あればテプラでラベリングをしておくと、より使いやすくなります。

セリア「ダブルスチールフック」はワゴン収納に2つ並べて。
「グラグラしないので、とても使いやすいです。2個使いでランドセルもしっかりホールドできます」(要先生)

「きれいになって良かったワン!」と、ユリちゃんの愛犬ちゃん(フレンチブルドッグ・11歳・メス)。