限られた家のスペースで、こどもの学習環境をどのように整える? 今回は整理収納アドバイザー水谷妙子さんの事例をご紹介。中学2年生の娘さん、小学5年生と小学3年生の息子さんを子育て中の水谷さん。現在は娘さんが一人部屋、下の息子さん2人がリビング続きの洋室をシェアしています。今回は学習スペースづくりで意識していること、学用品収納の工夫などについて詳しく伺いました。

佐藤望美

佐藤望美

ライフスタイル全般を手掛けるエディター・ライター。インテリア、整理収納、家事のコツ、ミニマリスト関連の書籍も数多く編集、執筆。トラベルエディターとして子連れ旅情報をまとめたWebマガジン「FOOTABY!」を運営中。

https://www.instagram.com/nozomi.at.work/

今回教えてくれたのは…水谷妙子さん

「無印良品」で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務めたのち、現在は整理収納アドバイザーとしてお片づけ講座開催、書籍出版やテレビなどで活躍。

最初から完璧な収納を目指さない。モノの量や置き方で使い方を変えられるオープン棚で、少しずつアップデート

水谷さんは4LDK、約90平米の分譲マンションで家族5人暮らし。小学5年生と3年生の息子さんたちが使っている、リビング続きの洋室。学用品や2人の衣類はここにまとめて収納されています。2人とも、学用品の収納に使用しているのは「無印良品」のパイン材ユニットシェルフ。

「ランドセルラックや小学生向けの専用棚もいいのですが、私は汎用性の高さを重視してシンプルなオープン棚を選びました。というのも、最初はどれくらい学用品が増えるのか、どのくらいの収納スペースが必要になるのかも分からなかったからです。引き出しや棚で細かく仕切られているより、後からいくらでも収納方法を変えられるオープンタイプが使いやすい気がしています」

ユニットシェルフは長女1人使用→長男・次男シェア使用へ変化

水谷さんは、このユニットシェルフを上の娘さんが小学生の頃から使い続けてきました。ただし、中身や使い方は少しずつ変わっています。

長女が小学校低学年の頃は、ひとり分の学用品を収納

「最初は長女が持ち帰るプリントや学用品を置く場所として使っていました。ランドセルや手提げバッグは棚の側面にフックで引っ掛けて収納。その後、長男が小学校に入学したタイミングで1台を2人で一緒に使うことに。もう1台増やそうかどうか検討しましたが、低学年でまだ持ち物が少なかったため、とりあえずスペースをシェアすることにして様子を見ました」

次男も小学校に入学し、1台のシェルフを2人でシェア

オープン棚だからこそ使い方は自由自在です。学期末に持ち帰る鍵盤ハーモニカや絵の具セット、習字道具などの学用品を置く場所は、下段のスペースに確保。慌てて場所をつくらなくてもいいようにあらかじめ空けておきます。

娘さんの個室を設置したのは小学5年生の終わり頃。今度はユニットシェルフを息子さん2人でシェアすることになりました。

現在、息子さんは小学5年生と3年生。学用品や本が増えてきたこともあり、息子さんそれぞれにユニットシェルフを1台ずつ用意して使っています。

長男(小学5年生)の学習コーナー

次男(小学3年生)の学習コーナー

学習机はいきなり買わない。まずは手持ちの机で試し、必要なサイズのあたりをつけてから購入

長女(中学2年生)の学習コーナー

現在中学2年生の娘さんの個室には、学習机と「無印良品」のスタッキングシェルフを置いています。教科書類や通学バッグ、部活の道具などをすべてこの棚に集約。学習机は、もともと自宅にあった小さなコンソールデスクで使い勝手を試し、中学校に入学してから購入しました。

コンソールデスクを長女の学習机として使っていた頃

「学習机は小学校入学や個室をつくるタイミングでついそろえたくなるモノですが、私は何でもいきなり買わないようにしています。そもそもわが家はこどもたちが小学生低学年の間はリビング学習がメイン。それぞれに学習机が必要になったのはつい最近のことです」

中学生になると、教科書や参考書をたくさん広げて勉強する機会が多くなります。リビング学習と手持ちの机で様子を見たからこそ、中学生の勉強スタイルや年齢に合う、長く使えそうな机を購入することができたのだそう。

家にあるデスクをフル活用して、使い勝手をお試し

かつて娘さんが使っていたコンソールデスク、小学5年生の息子さんの学習机として機能しています。

「棚や学習机のように大きな家具は、一度購入してしまうと買い替えるのも処分するのも一苦労。まずはあるモノで使い勝手を試してみると、その後結局買うことになったとしても、サイズや高さの希望がより具体的に見えてくると思っています」

下の息子さんのデスクは「無印良品」のパイン材ローテーブル・折りたたみ式。これも以前から自宅にあったモノで、ユニットシェルフの下段にちょうど差し込めるため、作業内容によって天板の広さを調節しながら便利に使っています。いすがわりに使っているのは、「IKEA」の踏み台です。

重たいランドセルをフックにかけるのは意外と大変。こどもの負担を考え、床置きスタイルに変更

現在、息子さん2人のランドセル置き場はシェルフ横の床。以前はユニットシェルフにフックを固定し、引っ掛けていましたが、1年ほど前に今のやり方にチェンジ。こどもたちの負担を軽減するためです。

「教科書を毎日持ち帰るわけではありませんが、ランドセル自体に重さがあるし、タブレットなどを持ち帰る日もあります。重いランドセルを背負って登下校するこどもたち。くたくたになって帰ってきて、フックを狙って引っ掛けるのは一苦労です。そのまま床にドサっと置かれていることもありました。だったら、最初から床に置くことにしてもいいのでは?と思ったのです」

大事なのはフックにかけてしまうことではなくて、毎日だいたい同じ場所にランドセルが収まっていることだと水谷さんは考えているそう。初めから床を定位置にしてしまえば、こどもたちも楽に元に戻せます。

ファイルボックスを寝かせて仕切りに。プリントの一時保管場所もつくり、学期末ごとに見直し

オープンになっているユニットシェルフの棚には、教材やプリントを収納するためにファイルボックスを並べています。

「『無印良品』のスタンドファイルボックスを横に寝かせているのがポイント。ファイルボックスは前面に立ち上がりのあるタイプが多いですが、こどもにとってはこの部分に当たらないようにモノを出し入れするのは意外と大変です。でも向きを変え、寝かせて仕切ると、ブックエンドと同じようにファイルボックスを使えます」

マスキングテープは「とりあえず」のラベリングに最適。この仕分け方でうまく機能するのかどうかまずお試しでやってみて、少しずつこどもが使いやすいように調整していくのがおすすめだと水谷さんは言います。

教科数が増えた中学生の棚には、伸縮型のブックエンドを活用

個室でスタッキングシェルフを使っている中学2年生の娘さんは、教科書やノートなどの管理に伸縮型のブックエンドを使っています。「無印良品」のスタッキングシェルフは、パイン材シェルフよりも奥行きが浅いため、ファイルボックスを寝かせるとはみ出してしまうこと、教科書や参考書の冊数も小学校より大幅に増えたことが大きな理由です。

「『カール事務器』のブックエンド伸縮型は、スペースに合わせて幅を調節できます。スタッキングシェルフのワイドタイプに、このブックエンド2台がちょうどぴったり収まりました。ただ、本を出し入れしているうちにズレてしまうこともあるため、底面に粘着ジェルシートを貼って固定しています」

「片付けてほしい」は親の都合かも。「こどもが楽しく学校に行けること」のほうが何倍も大事

キッズスペースや個室は、こども自身が学用品を準備しやすいようになるべくハードルを下げて楽に片付く仕組みを考えています。それでも、疲れていたり、そこまで気が回らなかったりする日ももちろんあります。

「そもそも、私はこどもたちに完璧な片付けを求めてはいません。ランチクロスなど給食時に使うアイテムを毎日取り替え、お便りなどのプリントや連絡帳を出し、宿題をする…。習い事をしていれば放課後はもっと忙しくなります。ランドセルを床に置かないでほしい、毎日きれいに整理整頓してほしいというのは親の勝手な都合かもしれません。3人の小学校、中学校の生活に寄り添ってきて思うのは、こどもたちが元気に毎日学校へ行けているか、楽しく過ごしているかどうかが一番大事だということ。全部を完璧にこなそうと思うと、親も子もつらくなります。学校生活が楽しめているなら、多少散らかっていても問題なし。プリントがランドセルの中でたまっていてもOK。少しくらい忘れ物をしたっていいと私は思っています」

とはいえ、少しずつ整理整頓や学校準備ができるように親がサポートしていく必要はもちろんある、と水谷さん。

長期休みには、シェルフにたまったプリントの整理を促しています。

「ユニットシェルフに置いたファイルボックスのひとつは、授業内で取り組んだ学習プリントを一時保管しておくためのスペース。すぐに処分していいのか、置いておく必要があるのか、最初はこども自身もよく分かっていませんでした。だから、“とりあえず”の保管場所をつくることに。学校から持ち帰ったらこのボックスに入れておき、学期末を迎えたら声かけしてこども自身がプリントをチェック。捨てるモノと、もう少しとっておくモノに仕分けします」

学用品収納は、年2〜3回の定期見直しでモノがたまりにくくなる

教科書類は3月の年度末、進級や卒業前に手放すことが多いそうです。

「学習スペースや学用品棚は、年に2〜3回、使い終わった教材とプリントを定期的に見直していればモノが一方的にたまっていく状況にはなりにくい気がします。この点が、押し入れや大人のクローゼットなどとは異なる部分。友達が遊びに来るなどで急に片付けなければならない、となっても、その気になればすぐきれいに整えられる物量だと思います」

中学生の娘さんには、定期的に大きな紙袋を渡し「いらないモノをここに入れて」と声かけ。

「娘はもう中学生。自分自身で要不要を判断できるし、そこに親の私が口を出さないように気をつけています。“これもいらないんじゃない?”“もっと捨てるモノあるでしょ”などと部屋の中を細かくチェックすると、娘との信頼関係が崩れてしまうかもしれません。いくらわが子だからといって、親が何もかも管理して持つモノまで決める訳にはいきません。何か言いたくなるときももちろんありますが、選択を尊重し、任せることも大事だと思っています」

長女の個室

水谷さん宅の学習スペースづくりから見えてきた片付けのコツは、状況の変化に合わせてアップデートできる収納家具を使うこと、こども自身に負担がかかりにくい収納方法を選ぶこと、そしてこどもが楽しい学校生活を送れることを第一に考えること。片付けのサポートは、これらがすべて整ってからでも十分間に合いそうです。ぜひ参考にしてみてください。

写真(一部)/水谷さんご提供

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