絵の具に習字道具、楽器類に水泳バッグ……。学期末の持ち帰りで、家の中が学用品であふれる夏休み。「時間があるうちに片づけさせたい。でも、どこまで手伝えばいいの?」と悩む保護者は多いはず。『かわいい♡楽しい♡はじめてのお片づけレッスン』(講談社)の著者で、整理収納アドバイザーの後藤まりさんに、夏休みにできる親子お片づけの進め方と具体的なプラン、親の関わり方までを教えていただきました。

HOUSTO 編集部

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今回教えてくれたのは……後藤まりさん

整理収納アドバイザー1級・ルームスタイリスト・風水アドバイザー。小学校でのお片づけ授業やPTA講演など「片づけ教育」を軸に活動し、SNS総フォロワーは25万人以上。2026年3月に『かわいい♡楽しい♡はじめてのお片づけレッスン』(講談社)を上梓。

片づけでこどもは勝手に自走しない。親は監督ではなく、伴走者

「夏休みに親子で取り組む片づけ」そう聞くと身構えてしまう人も多いはず。後藤さんにまず伺ったのは、親子の距離感です。
「片づけと聞くと、こどもはネガティブな感情を抱きがち。だからこそ親には『伴走者』の距離感で関わってほしいと思います。時間があるんだから片づけられるよね、と丸投げするのでも、早くしなさい、と監督になるのでもなく……」
いきなり一任されても、こどもは片づけ方がわからず、ネガティブな感情だけが残るといいます。
「最初は親が一緒にやって、『きれいになった!』という成功体験を積み重ねる。自走は、その先にあります。やり方も教えずに『どうぞ』では、何回やっても片づけが嫌いになるだけです」

ポイントは、こどもの選択を尊重すること

もうひとつの心構えが、「こどものモノは、こども自身に選ばせる」こと。
「親の基準で、こんなのいらないじゃん……と決めるのは絶対にダメです。大人からするとどう見てもいらないモノ、と思ってしまうことはあるんですけど、こどもにとっては、大切なものである可能性がありますから。勝手に決められると気分を害して、『じゃあお母さんが片づければいい』となってしまうんです」

「実は今、小学5年生の家庭科の教科書に『整理整頓』の単元があるんです。生きていくために必要なスキルだと国が認めている。だからまず『学校でも習う大切なことなんだよ』と話してあげてほしいんです」

そのうえで「習ったこと、覚えてる?」と聞きながら、どこまで関わるかをこどもと決めるのがおすすめだそう。自分の持ちものを見られたくないという子には無理強いせず、その子に合った距離感を探るのが良いといいます。

夏休み3日間のお片づけモデルプラン

決められた期間で片づけをする場合は、成果が見えやすい小さい場所からスタートするのがおすすめ。ここは時間で区切るのではなく、「筆箱」「ランドセル」などの場所単位で区切ることで、成果が見えやすいのだそう。
そこで成功体験を重ね、徐々に全体へ広げていく。この進め方なら、無理なく成功体験を積んでいけます。

では実際の片づけプランをスタートさせましょう!

1日目:持ち帰った学用品からスタート

「小学校高学年以降は学用品の持ち帰りが多いですよね。学校でも『自分できれいにして2学期に備えましょう』と言われているので、取りかかりやすいんです。掃除をして、ゴミを出して、足りないものを補充するのが基本的な流れです」

●片づけ箇所の例

習字用品

2Lのペットボトルを半分に切り、下半分にぬるま湯を入れる。固まった筆を浸けてほぐす。上半分の口部分を排水口に嵌め、流水で筆を洗う。水気を拭き取り、2日間くらい風通しの良い場所で乾かす。

筆箱

中身を全部出し、消しカスなどを出す。水で薄めた中性洗剤をメラミンスポンジに含ませ、優しくこすったあと、水拭き→乾拭きをして乾かす。

リコーダー

バケツに中性洗剤を水で薄め、分解したリコーダーを40分ほど漬け置き。その後よく水洗いし、掃除棒などで中を拭く。外側は別の乾いた布で拭き、拭き口はドライヤーの冷風で乾かす。

後藤まりさん ワンポイント
やり方とポイントだけ教えてあげてください。わが家は1年生から一緒にやってきましたが(現在4年生と6年生)、もう私は関わらず、全部自分たちでやれるように。毎年のことだから、最初にしっかり教えることがポイントです。

2日目:ランドセルと小物。「お宝発見」を楽しんで

2日目はランドセルやお財布といった小物の片づけを。
「ランドセルの中って意外と楽しいんですよ。『あ、これ探してた!』というお宝発見があるので(笑)。片づけが終わったら、次の学期に使いやすくなったね、とポジティブな声かけをしてみてください」

ランドセルの掃除方法:中身を全部出し、細かいゴミをかき出す。薄めた中性洗剤で拭き、水拭きをしたあとに乾拭きをして乾かす。

後藤まりさん ワンポイント
「教科書やテスト、プリントをどこまで残すかも迷ういますよね。教科書は1年だけ取っておく、テストは長期休みに手放す。正解はないので、ご家庭ごとのルールを、こどもと一緒に決めていくのがいいと思います。わが家も最初は1年分残していましたが、いまは3学期に全部手放しています。一度決めておくと、その後がぐっと楽になりますよ」

3日目:机まわりとプリント類。「いる・いらない」の判断練習に最適

ここは、整理とともに、普段の「収納の仕組み」を親子で一緒につくると、以降の学期が格段に楽に。

お便りボックス

新学期に備えて、ランドセルの近くに「お便りボックス」を設置。すぐにここに出す約束にすれば、ぐちゃぐちゃお便り発掘…!を防げます。

テスト

ラベリングしたファイルにまとめる。学期ごとに見直して、要不要を判断する。

教科書

使いやすさを最優先に、しまい込まずに机に立てて収納。近くに時間割があるとより使いやすく。

文具

高学年になってくると一気に増える文具。「使う一軍」「コレクションの二軍」に分けて、一軍は机に、二軍は引き出しに、など分けて収納する。

クローゼットは“ラスボス”。3日間には収まらないから、余裕のある別日を設けて

高学年~中学生になると、特に女の子はファッションやコスメに興味が出てクローゼットがパンパン……というお悩みも。夏休みに一気に片づけてしまいたい!というのが保護者の気持ちではありますが、後藤さんは、これを3日間に組み込むのは難しい、と言います。

「クローゼットはいわばラスボス的な存在(笑)。授業でも『服が溢れて収納できないんですけど』と大人のような質問をする子がいるくらい。見直しは衣替えの時期が最大のチャンスですね」
つまり長期休みの片づけ3日間は、「全部出す」「いる・いらないを判断する」という型を身につける、来る衣替えのラスボス戦への練習期間なのです。

クローゼットに取りかかるときのコツも、同じく“小さく区切る”こと。
「クローゼットは最初から全部出すのではなく、靴下の引き出し、ボトムスの引き出しと、アイテムごとに着手すると成功体験が積めます。慣れてきたら、クローゼット全体へと範囲を広げていくと効果的です」

迷ったら「モヤモヤボックス」へ。見直しは学期ごとに

なんでも取っておきたいこどもにとって負担が大きい片づけ。要不要の判断を楽にするのが、後藤さんが提唱する「モヤモヤボックス」です。
「要不要の二択で分けようとすると、ものすごく時間がかかるんです。こどもには『使っていないけれど大切なもの』がたくさんありますから。一時的に寝かせるのは、心の整理をする時間です」
友達からの手紙やキーホルダー……使わないけれど手放すのは忍びない。そんなものこそモヤモヤボックスの出番です。見直しは、大人なら1年が目安のところ、こどもには「学期ごと」がおすすめ。
「夏休みや冬休みにボックスを開けて、『この学期、一度も使わなかったな』と判断できるようになります。逆に途中で取り出すものがあれば、これは必要なんだ、とわかる。こどもならではのサイクルです」

整理したモノは、親子でリサイクルショップへ。モノの価値を知る経験に

不要なモノは、親子でリサイクルショップへ。ここにもおすすめの理由があります。
「『片づけ=捨てること』だと思っていて、それが悲しいから手放せない子が多いんです。だから私は『捨てる』ではなく『手放す』と言っています。売れたお金をこども自身の手で受け取る経験をさせてほしいですね」

モノはこうして循環していく、という学び。モノの価値を知ってショックを受けることさえ、大事な経験だといいます。
「その経験が『買いすぎない』『いま持っているものを大事にしよう』につながります。不要になっても、モノは循環するとわかると、ちゃんと手放せるようになりますよ」

次学期以降もキープするコツは、「片づけなさい」を手放すこと

きれいをキープするカギは、夏休みにつくった“土台”にあります。

「こどもが片づけられないのは、どこに戻せばいいかわからないからなんです。まず『いる・いらない』に分ける整理、次に使いやすくしまう収納。この2つの土台ができていれば、あとは『使ったら元に戻す』という習慣があればきれいなキープできます」

そして親の声かけにもコツがある、と後藤さん。
「私は『片づけなさい』を、もう何年も言っていません。この言葉は抽象的すぎて、何をどうすればいいかわからないんです。『机の上のモノを元に戻そうね』と具体的に話すと、全然動きが違います。片づけって、本当はコミュニケーションなんです。環境が整えば会話も生まれ、喧嘩もなくなる。モノを勝手に触られたくない思春期だからこそ、自分のモノを自分で管理する力をつけてほしいです」

親は仕切らない、丸投げしない、伴走する。筆箱ひとつ、引き出しひとつの成功体験から始まる3日間は、こどもが片づけ自走し始める最初の一歩になるはずです。

『かわいい♡楽しい♡はじめてのお片づけレッスン』(講談社)

「片づけなさい!」と言わなくても、こどもが“自走”でお片づけできるようになる、こども目線のレッスン本。マンガ・写真・イラストの3つのアプローチで、ランドセルから学用品、クローゼット、お部屋づくりまでスモールステップで学べます。定位置づくりやお手入れも写真付きで解説。
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000424496

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