「自分の部屋がほしい!」ある日突然、こどもにそう言われたら? 2LDKのマンションで夫と3兄弟の5人暮らしをするエッセイ漫画家のマルサイさんは、リノベーションなしで家族の空間を組み替え、その試行錯誤を一冊の本にまとめました。出版から2年あまり。こどもたちは高2、中3、小6になり、家はいよいよ“最大容量”に…! 思春期の3兄弟との暮らしの「現在地」を伺いました。

HOUSTO 編集部

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3兄弟が成長して、家はいよいよ“最大容量”に

リビング側からファミリーライブラリーと三男のスペースを見た様子。天井から吊るしたカーテンで間仕切り

リビングからファミリーライブラリー、三男のスペースを見たところ。カーテンは天井から吊るしてあります。

エッセイ漫画家・マルサイさんの住まいは、2007年に購入した約75㎡のマンション。本格的なこども部屋づくりのきっかけは、次男が小6のときの「自分の部屋がほしい」のひと言でした。このときは、大掛かりな模様替えはせず、それまで寝室として使っていた部屋を長男次男に明け渡し、それぞれの居場所をつくることに。
「現在、長男は身長177cm。本を出したとき(2024年)から、予想外にみんな大きくなりまして(苦笑)。夫も家で仕事をしているので、夕飯どきはリビングに男4人が集結。夏場はエアコンを25度まで下げてやっと快適、という感じです。もともと狭い家が、さらに狭くなりました」

ダイニングテーブルを中心としたスッキリと片づいたリビングダイニング

スッキリしたリビングダイニング。ダイニングテーブルは、食事の場であり、マルサイさんの仕事場でもあります。

それでも、間取りのベースはほぼ出版時のまま。「カラーボックスなど、すぐ動かせるものはちょこちょこ移動させますが、家具を増やしたりリノベをしたりはしていません」とマルサイさん。

こども部屋をつくる前の間取り図(イラスト:マルサイ)

こども部屋をつくる前の間取り(イラスト:マルサイ)

こども部屋をつくった現在の間取り図(イラスト:マルサイ)

現在の間取り。右上の洋室が長男と次男の部屋、リビングの一角が三男のスペース(イラスト:マルサイ)

長男・次男は一部屋を区切って使用。服はもう共有できなくなって……

棚とカーテンで仕切った長男と次男の部屋。ふたつの学習机を配置

長男と次男が使う部屋。棚とカーテンでスペースを分けています。

もともと家族の寝室兼納戸だったスペースを、棚で間仕切りしたのが、長男・次男のスペース。ひとり当たり3.8畳ほどの割り当てです。高い棚が目隠しになって、プライバシーを確保しています。

窓際にある次男のデスクスペース。キャスター付きのゴミ箱を活用

窓際が次男のスペース。デスクまわりはスッキリと。キャスターに乗せたゴミ箱がワザありです。

入り口側の長男のスペース。次男のスペースとは布で仕切っている

入り口側の長男のスペース。次男のスペースとは布で仕切って。

兄弟が思春期のこの時期、きっと持ち物がもっとも多い時期でもありますが、どのようにモノの管理をしているのでしょうか。

「次男は特に服もガジェットも大好き。受験生なので塾の教材もたくさんあって、とにかく私物が多いんです。でも本人は自分の部屋をシンプルにしておきたいらしくて、リビングにモノを置くんですよ。長男とは体格が近いのに、服の好みが違うので共有はまったくできません。本当に、好みの異なる大人が5人暮らしている状態なので、モノはどんどん多くなりますね」

壁のフックにジャケットや帽子を掛け、無印良品のボックスで教材を整理した次男のスペース

次男の教材は「無印良品」のボックスを使って整理。ジャケットや帽子は壁のフックに掛けて。ここで布団を敷いているので、目覚まし時計も下の位置にあります。普段はこの横に布団もたたんで置いています。

カーテンを閉めてプライベート空間にした長男・次男のスペース

カーテンを閉めると、それぞれのプライベートな空間に。棚の隙間も布で目隠ししてあります。長男スペースが暗くならないように、薄い布が使われています。

来年は中学生の三男。リビングと続く空間で、プライバシーをどう守る?

リビングの一角にある三男のスペース。ロースタイルのベッドと本棚

リビングの一角にある三男のスペース。

マルサイさん宅のリビングはおよそ20畳ほど。その一角を本棚やカラーボックス、カーテンで仕切った三男のスペースは、完全な個室ではありません。そのため、成長とともに新しい悩みも出てきました。

「三男は21時半くらいには寝るのですが、兄2人はちょうどその時間から活動開始。塾から帰ったり、夜食を食べたり。寝つけないので、ひとまずアイマスクと、耳栓がわりのイヤホンで対策しています。でも来年は中学生なので、もう少しプライバシーを守ってあげたいな、と悩み中です」

案として出ているのは、夫の仕事部屋を、寝る時間だけ三男が使うなど時間帯で入れ替わる方法。また、「ラブリコ」などを使った間仕切り、本棚のところに壁を一枚つくる方法など。長男の進路によっては、部屋を明け渡すことも考えているそうですが……。

「最終手段としてリノベーションも考えてはいます。でも、最後には、こどもはみんな巣立つもの。なるべく今のまま、お金をかけずにどうにかしたいと思っています。2〜3年先のことも予想がつかないので、早まった決断をしたくなくて」

コート掛けと本棚、カラーボックスで仕切った三男のスペースの全景

カーテンの内側は、ほどよいおこもり感。

ケースに入れて並べた三男のフィギュアなどのコレクション

三男のコレクション。ケースに入れて自分好みにディスプレイ。

「三男は兄弟で一番きれい好きで、しょっちゅう模様替えもしていますね。『ダイソーにフィギュア用のケースがあるから、それでここを片づけたい』と申し出てきたり。自分の空間づくりを唯一楽しんでいるタイプです」

三男スペースの横にあるファミリーライブラリー。本棚が間仕切りを兼ねる

三男スペースの横にはファミリーライブラリーが!本棚が間仕切りの役割も果たします。

3兄弟分の書類整理はどうしている?モノも書類も、“ここを見ればわかる”状態がベスト

衣類や趣味のアイテム以外にも「書類」「作品」などさまざまなモノが3人分あるマルサイさん宅。モノの選別や、書類の整理はどうしているのでしょうか?

「モノに関しては、こどもたちには、これ以上置き場がないから、買うなら何か手放してね、と条件は伝えています。『減らすから』と言ってなかなか減らさないんですけど(笑)、置き場がないことはわかっているので、大きなモノを欲しがるときは、自分たちで考えるようになってきていますね」

思い出のモノは、写真に残して手放すことも。
「小さいころの作品に、本人たちはもう興味はありません。三男は相談しながらですが、上の2人のものは私が写真を撮って手放しています。通知表は1つのクリアファイルにまとめるなど、なるべくコンパクトに収納しています」

教科書は、学年が上がったあとの夏休みに整理。本当に使わないとわかったものだけ出してもらい、ゴミ出しなどの仕上げはマルサイさんの役目です。

リビングの棚にまとめた学校関係の書類。バインダーで手前に整理

学校関係の書類はリビングの棚でひとまとめに。目を通したいプリントはバインダーに挟んで手前に置く工夫も。

個別フォルダーに挟んでケースに整理した塾・受験関係の書類

塾や受験関係の書類は、ファミリーライブラリーに置いた個別フォルダーに挟んでケースに。

また現在、次男は受験生。3兄弟が同じ空間で気を遣い合えるように、トイレにはみんなの予定を書き込んだカレンダーを掲示することにしているそう。
こうすることで、「テストが近いんだな」「今日は静かにしよう」などと自然に情報共有からの行動変容が生まれるそうです。

トイレに掲示した、家族のスケジュールを共有するカレンダー

トイレのカレンダーで、家族のスケジュールを共有。

ハンガーと引き出し収納をまとめた家族のファミリークローゼット

家族の衣類は、一括してファミリークローゼットに。日中使わない布団もここに収納。

3兄弟の個室をつくることで諦めたのは寝室。マルサイさんはリビングに布団を敷いてフレキシブルな寝室に

リビングの片隅にソファを置いた、寝室を兼ねるリビング全体

今まで寝室として使っていた部屋がこども部屋になったことで、マルサイさん自身は、リビングの片隅のソファの隣に布団を敷いて就寝。夜遅くまで活動する上の2人は、ランタンを手にそーっと動いているそうです。
「生態が違う生き物が一緒に住んでいるような感じなので(笑)、それぞれが迷惑をかけ合わないように暮らす、というのが最近の暗黙のルールですね」

マルサイさんの仕事場であるダイニングテーブルにタブレットを置いた様子

マルサイさんの仕事場所は、ダイニングテーブル。

タブレットなど必要最小限にまとめたコンパクトな仕事道具

仕事道具は、必要なものだけをコンパクトに。

「私の仕事はタブレットが一つあればできるので、ほかの私物は服くらい。収納スペースもどんどんこどもたちに譲っていきました」

リビングに置いた木製棚とファイルボックスでマルサイさんの私物を保管するスペース

リビングに置かれた、マルサイさんの私物を保管するスペース。仕事関係の書類や掲載記事の切り抜きはファイルボックスに。

散らからないコツは、“戻す場所を細かく分けない”こと

物量があっても、いつもスッキリ片付いているマルサイさん宅では、どんな片付けルールがあるのでしょうか?

「戻す場所を細かく指定すると、面倒くさくなって戻さなくなるんです。ハサミの場所、定規の場所と決めずに、大きな筒に全部入れる。三男の細々したモノは大きなバケツへ。指定の場所にしまう一歩手前の“とりあえず置き場”を、ところどころに設けています」

その容器が満杯になったときが、見直しのタイミング。
「いよいよ元の場所に戻そうとなったときに、意外といらないモノが見つかるんです。戻さなくても捨てていいな、とそのままゴミ箱行きになったり」

マルサイさんがこのように考えるようになったのは、きっかけがありました。
「三男が生まれた10年ほど前、私が収納にハマって、完璧な収納を目指していた時期がありました。でも、こどもたちが自発的に片づけるようにはならなくて。ある程度こども自身が不便な思いをしないと、自分で解決策を考えなくなってしまうと学びました。だから私はやりすぎない。あえて我慢して、本人にやらせる余白を残すようにしています」

最近、見かねて次男の部屋を掃除したときには、うれしい驚きが。
「文句を言われるかと思いきや、『片づけてくれたの?ありがとう』とお礼を言われて、びっくりしたんです。いつの間にか「片づけは自分でやるもの」という意識に変わっていたんだなと。ずっと私がやっていたら、部屋が汚いのはお母ちゃんのせいだ、と言われていたと思います(笑)」

こどもの成長とともに、モノも生活リズムも必要な空間も変わっていきます。急いで正解を出さず、時間や場所をゆるやかに分け合うマルサイさんの家。親がやりすぎず、考える余白を残すことが、自分の空間を自分で整える力につながっているのだと教えてくれました。

今回教えてくれたのは…マルサイさん

エッセイ漫画家・マルサイさんのプロフィール写真

エッセイ漫画家。夫と高2、中3、小6の3兄弟との5人家族。男子たちとのにぎやかな日常を描いたインスタグラムの絵日記が人気。著書に『マルサイ家の三兄弟 ドタバタ絵日記 男子が3人います。』(大和書房)、『2LDK5人家族3兄弟 ある日突然、子どもに「自分の部屋が欲しい!」と言われたら』(主婦と生活社)など。
https://www.instagram.com/maru_sai/

『2LDK5人家族3兄弟 ある日突然、子どもに「自分の部屋が欲しい!」と言われたら』(主婦と生活社)

書籍『2LDK5人家族3兄弟 ある日突然、子どもに「自分の部屋が欲しい!」と言われたら』の書影

次男のひと言から始まった、2LDKでのリノベなし部屋づくり。マルサイさんの試行錯誤を漫画やイラストで紹介。ほかの家庭のきょうだい部屋の実例も掲載しています。

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