整理収納コンサルタントの本多さおりさんが、収納に悩みを抱えるお宅に実際に訪問して問題を解決。今回アドバイスを受けるのは、こどものおもちゃ収納に悩む、4歳の娘Aちゃんのいる3人家族のSさん宅。愛情が一心に注がれる1人娘のAちゃんのおもちゃは増える一方。本多さんの実践テクニックで、S宅の収納がどう変わるのか? をリポートしたお片付けドキュメントです。第4回目は、前回の整理収納から約1ヶ月後、Sさん宅を再び訪ね、「Aちゃんの遊び方・お片づけ」と、「お母さんの心境」に変化があったかをヒアリングします。

本多 さおり

本多 さおり

暮らしを愛する整理収納コンサルタント。雑誌やwebなどで暮らし重視のシンプルな収納術を提案している。

http://hondasaori.com/

住人プロフィール

・S家
・分譲マンション(2LDK) 東京都
・入居6年
・家族3人暮らし(4歳の娘さん)

悩み

リビングは、両親や祖父母から贈られるおもちゃで、いつの間にか圧迫された状況に。ソファ裏に設置したキッズスペースから溢れたおもちゃでサッシの一部が塞がれ、ベランダにも出にくく、Aちゃんも取り出しにくそうにして、遊ばないおもちゃも多数。せっかく仕切ったキッズスペースが活かされず、おもちゃ置き場になっているのがSさんのお悩み。

前回収納のおさらい(前回記事はこちら)

収納ステップ1…絵本棚は導線を考えて寝室に近い場所に移動
収納ステップ2…おもちゃの1軍は、目に見えるところに分かりやすく置く
収納ステップ3…2軍は、こどもの手の届く引き出しに「目隠し」収納
収納ステップ4…「遊びやすく片付けやすいか」という視点で収納すると、見た目もすっきり!

変化ポイント1:おもちゃが減り、動線がスムーズになって遊び方が変わった!

本多さん おもちゃを1軍と2軍に分けてものを減らしたり、収納場所を変えたりしましたが、当日のAちゃんの反応はどうでしたか? また1ヶ月経ってみてどうですか?

Sさん すっかり生まれ変わった部屋を見て、「わ~い!」と大喜びしていました。大好きな1軍のおもちゃが見える形で並んでいるのが、とても嬉しいみたいでした。しばらくして、「あれ? シルバニアどこ?」と言ってきたので、2軍を収納しているクローゼットを開けて中を見せたんです。そうしたら安心したようで、取り出してたまに遊んでいます。内心おもちゃの量をグンと減らしたことで、「嫌がるかな?」と不安な面もあったので、娘が新しいレイアウトにすんなり適応している様子にびっくりしましたね。

本多さん お母さんがお子さんの好きなものをしっかり把握して、優先順位をつけられていたからですね。Aちゃんの遊び方に変化はありましたか?

Sさん 以前は、ただのおもちゃ置き場になってしまっていたキッズスペースで遊ぶ時間が増えました。お気に入りだったおままごとキッチンは、前以上に楽しく遊んでます。物量が減ってどこに何があるか一目で分かるから、遊びやすいみたいですね。それから、テレビ前から窓際に移動したクッションは大活躍です。お店のカウンターに見立てて、クッションの後ろに立って、カーテンを開けたり閉めたりして「いらっしゃいませ~」と楽しそうにお店やさんごっこをしているんですよ。

本多さん Aちゃんの遊びの幅が広がったみたいで良かったです。以前、あまり手に取っていなかった絵本の本棚を寝室に近い場所へ移動しましたが、それはどうですか?

Sさん 寝る前に読み聞かせしてほしい本を自分で選んで、寝室に持っていくようになりました。以前は寝る前に読むだけだったけど、今は日中リビングでも熱心に読むようにもなって。これまで見向きもしなかった本を手に取るようになったり…。並んでいる本の数が減って探しやすくなったのかも。

本多さん 全体的な物量が減ったことで、⽬の前にあるおもちゃや絵本が引き立って見えるようになったんですね。今まで埋もれていた宝物を発⾒したような感じではないでしょうか。  

おままごとキッチンで楽しそうに遊ぶAちゃん。おもちゃ置き場だったキッズスペースの中がわくわくするお気に入りの場所に。

クッションの上でお店やさんごっこに夢中。ここが洋服やさんになったり、病院になったり、その自由な遊び方の発想に驚いたというSさん。

きちんと見やすく整理された本棚から、「今日はどれにしようかなぁ?」と、寝る前に絵本選びを楽しむAちゃん。

変化ポイント2:遊びやすいレイアウトになると、自然とルールが生まれる

本多さん Aちゃんが頻繁に使わないものを目隠し収納としてテレビボード下に入れましたが、中にしまったお絵かきセットは使ってくれていますか?

Sさん 前は床に寝転がってお絵かきをしていたのが、今は使うときだけ引き出しから取り出して、専用のテーブルとチェアで熱心にお絵描きするようになりました。お絵かきやぬりえのほかに、パズルやレゴ遊びもここでしています。保育園ではパズルでよく遊ぶと聞いていたんですが、これまでは家ではぜんぜん遊ばなくて…。パズルがどこにあるか分からなかったんですね(笑)。ときどきテレビ横のディスプレイラックも自分で開けておもちゃを出して、遊んだら自分できちんとお片付けしているんですよ。

本多さん そういえば、ソファの横にクッションが配置されていますね。これは前回のワーク後に移動したんですか?

Sさん そうなんです。娘がいつもテレビを至近距離で観るのが、気になっていて…。観る距離を取るために、チェアではなくクッションを置いてみました。「ここがテレビを観るお席ね」と教えたら理解してくれて、今ではここが娘のテレビを観る定位置になりました。

本多さん 以前はソファの横にもおもちゃが積んでありましたね。ものが減り、スペースができたことで、新たなアイデアが生まれたんですね。

テレビから離れた位置にAちゃん専用クッションが置けました。今では、お気に入りの指定席です。

変化ポイント3:こどもがすすんでお片付けするようになると、ママもストレスフリーに

本多さん Aちゃんの遊び方や過ごし方にはたくさんの変化がありましたね。お母さんご自身は何か変わりましたか?

Sさん 今まで片付けをするのは、ほぼ私の役目。しかも、ものが多くてゴチャゴチャしていたので、片付けるのが面倒くさくなってました。それが今では、娘も自分でおもちゃの収納場所を把握してるので、半分は自分で片付けるようになったんです。すっきりした部屋の見た目をキープできるようになって、気持ちいいですね。変化と言えば、以前はおもちゃの山で塞がれていたベランダにも出やすくなって、植物に水やりをするようになったんです。ちょっとした癒しタイムです。

本多さん お母さんの気持ちにも余裕が生まれて嬉しいです。お子さんの収納を見直して良かったですね。

Sさん 実は、娘のおもちゃを整理したことで収納意欲が湧いてきて、ほかの収納場所も見直したんです。おもちゃの2軍を入れるスペース確保のために、うまく使えてなかったクローゼットを整理したり…。

本多さん それは、素敵な変化ですね。お部屋の1カ所がすっきりすると、ほかの場所のごちゃごちゃ感も気になるものです。これからは今まで上手に使えてなかったスペースが、どんどん活用できそうですね。お部屋全体や、お母さんご自身の生活にも楽しい変化があってとても嬉しいです。

本多さんからアドバイス:こどもの成長に合わせて、収納ルールには「更新」が必要です!

本多さん この1ヶ月の間に収納を入れ替えたものってありますか?

Sさん ないですね。このレイアウトがすごく気に入っているみたいで、収納ルールは娘の方が覚えてるくらいです。今は私が違う場所におもちゃをしまおうとすると、「ママ、それはこっちだよ!」って娘に叱られちゃいます(笑)。

本多さん Aちゃんが気に入ってくれて嬉しいですね。でも理想的な収納を維持するためには更新が必要なんです。今はルール通りにきちんと片付いていても、子どもの興味や遊び方は成長に合わせて変わるので、だんだん片付けにくくなると思います。片づけにくくなったときが、更新のサイン。この更新のタイミングを見逃すと、また片付けが大変になってしまうんです。新しいおもちゃを買ったときも、更新するタイミングです。その時は、「もうこれ以上おもちゃを置けないね。今のおもちゃはどこにしまう?」とAちゃんに優先順位を聞いて、一緒に考えていくといいですよ。もう少し大きくなると、保育園から持ち帰る絵や制作物も多くなるはず。その時にたくさんの制作物の保管をどうするかという問題が出てきます。小学校に上がる前には、さらなる収納の更新が必要なんです。学校で使うものをAちゃんが自分で片付けやすく、準備しやすい動線を考えながら収納ルールを決めることが大切になってきます。

Sさん なるほど、そうなんですね。今回収納を見直して、収納って単に収めるというわけではなく、娘のことを知っていないと本当の意味でいい収納ってできないんだなぁと改めて思いました。ものを収納して「これで終わり!バンザイ!」ではなく、成長とともに変化させていかないといけないんだなぁと。そのためにも娘のことをしっかり観察して理解していこうと思いました。収納だけでなく暮らし自体を考える、いいきっかけになりました。

本多さん それはとても嬉しいです。これからもAちゃんやパパと一緒に、みんなが過ごしやすい空間を作っていってくださいね。

さいごに(HOUSTO編集部)

「本多さおりさんと考えるこどもの収納―実践編―」はいかがでしたか?どんどん増えるおもちゃが溢れてなかなかお部屋が片付かないという悩みは、ただ機械的にものを減らせば解決するというものではありません。日々のお子さんの遊び方や行動範囲をじっくり観察し、きちんと向き合い、一緒に考えていくことが大切なんですね。本多さんが紹介してくださった具体的な収納方法を参考にしていただきながら、それぞれのご家庭で家族みんなが暮らしやすい収納ルールをつくるきっかけになれば光栄です。