前回は整理収納コンサルタント・本多さおりさんのアドバイスで、玄関にポイッと置きっ放しだったランドセルのための指定席をつくりました。今回は、「すぐ目の前にラックがあるのに教科書やノートを床に広げたまま放置。出したら戻す習慣を身に着けてほしい」というお母さんのお悩みに取り組みます。「こどもが自分から片付けたくなる収納」を目指し、本多さんと一緒に実際にワークを進めましょう。

本多 さおり

本多 さおり

暮らしを愛する整理収納コンサルタント。雑誌やwebなどで暮らし重視のシンプルな収納術を提案している。『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP 研究所)には物件探し&購入から家づくりの工夫まで紹介されている。また、新著書に『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)などがある。

http://hondasaori.com/

住人プロフィール

・K家
・一軒家(4LDK) 埼玉県
・居住5年
・家族4人暮らし(小学4年生の長男Hくん、小学1年生の長女Aちゃん)

前回のおさらい

・ランドセル収納位置の変更(前回記事はこちら)

お悩み:学校の支度が終わると、翌日使わない教科書などが床の上に散らばったまま…。どうしたらラックにしまってくれるの?

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「学校で使うものは全部まとめて1階和室の学用品ラックに収納しています。次の日の支度はこどもが自分たちでしますが、明日使わないものはそのまま出しっ放し! ランドセルの中身を畳の上に広げて準備するのは構わないのですが、終わったらラックに収めてほしいんです。元に戻しやすいようにとボックスを用意して、サッと引き出せるように工夫したんですけど、そのボックスも飛び出したままになっていることが多いです…。」(Kさん)

本多さんアドバイス1:「面倒くさい」を生まないためにアクション数を減らしましょう

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実際に、お子さんたちが支度する様子を見せていただいて感じたことは、ものを取るときに手を伸ばす範囲が広すぎるかな、ということ。頻繁に使う優先順位の高いものは、手の届きやすいところにまとめて配置することが大切です。毎日使うものは、ランドセルと教科書、ノート、給食セットのようですね。

そこでまず、お兄ちゃんの給食セットは、座ったままでも出し入れしやすく、片手でスムーズに開け閉めできる引き出しに移動しました(青部分)。そうすると、最下段のプリント用ボックスの上部にすき間が誕生。このすき間からプリントをサッと滑り込ませることができるようになり、「ボックスを引き出す」というアクションを減らすことができました(オレンジ部分)。動作を1つ減らすだけで、「面倒くさい」という潜在的な意識を軽減することに繋がります。

妹のAちゃんは、前回ランドセルを置きやすい高さに指定席をつくり、教科書も移動しました。(緑部分)左側に寄せた理由は、Aちゃんが左利きなのでこちらの位置の方がしまいやすそうだったからです。お子さんの普段の行動を見ながら、出しやすく戻しやすそうな「高さ」と「左右」の配置を考えてあげるといいですね。前回はAちゃんのラックにお兄ちゃんのものも混在していましたが、ここも整えました。各自が自分専用と意識することも大切です。

本多さんアドバイス2:教科書収納は3割空きスペースを作って視覚的に入れやすくしましょう

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「教科書を出しっぱなしで戻さない」というのがお母さんのお悩みですが、このようにギッシリと埋まっている感じが、戻したくなくなるオーラを放っているのかもしれません。教科書を戻すために「片手で寄せて抑える」というのも、面倒なアクションの1つ。多くの人は棚が見た目にギュウギュウだと「しまいにくそう」と感じ、3割ほどの空きスペースがあれば「しまいやすい」と感じます。不要なものは取り除き、常に7割くらいの収納量に抑えることを意識しましょう。

本多さんアドバイス3:牛乳パックが活躍!?奥行きを調整して取り出しやすくしましょう

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ラックに奥行きがありすぎると、しまうとき教科書が奥まで入り込んで出し入れしにくいですよね。そこで奥行きを浅くするために便利なのが、突っ張り棒や使い終わった牛乳パック。これをラックの奥にセットし、手前に仕切りスタンドを置けば、さらに出し入れしやすくなります。ただし、分類する必要がないものを収納する場合、便利なはずの仕切りが障害になってしまうこともあるので、そのような場合は奥行きを調整するだけにしましょう。

まとめ: 学用品はこどもの手が届きやすい位置に、「テーマ」ごとに分けたボックスを配置し、戻しやすく収納することが大切

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こどもたちが決まった場所に片付けたくなるようにするためには、(1)よく使うものは使いやすい位置にまとめる、(2)限りなくワンアクションで取れる収納にする、ということが大切です。

ものを取るために立ち上がるのもワンアクションになるので、座ったまま、もしくは立ったまま手の届く範囲で作業できるのが理想的。ランドセルを置き、そのままの体勢で支度できれば、床に広げずに済むようになると思います。また、床に広げたとしても、戻しやすい仕組みにしておけば、片付けるモチベーションもアップするはずです。

仕分け収納に使うボックスは、1つに1テーマをつけるのがポイント。ざっくりした内容で良いので用途別に分類し、ラベリングしておくと戻す場所に迷いが生じにくくなります。テーマが決まっていると自然に戻したくなるし、新しいものが増えても、「どこに入れようかな?」とこどもが自分で考えて分類するようになりますよ。

次回は、「ものの迷子が減り、散らかりにくいスムーズなリビング学習」について考えます。どうぞお楽しみに。