こんにちは、ひまわり工房暮らしの設計士 東沙織です。今回はクローゼット収納がテーマです。ぜひ、お茶を片手に頭をほぐしつつ、このエッセイコラムを読み進めていただければ嬉しいです。
目次
クローゼット、リノベや新築時にどう選ぶ?
新築やリノベーションでクローゼットを設置する時、「カタログからなんとなく選ぶ」という方が多いのではないでしょうか。クローゼットは大きな収納スペースとなる場所ですし、組み合わせる収納用品によって収納スペースの有効空間は大きく変わってきます。今回は、なんとなく選んでしまうその前に、知っておきたい知識をお伝えできればと思います。
Q1 最近の家は押入れよりクローゼットが多いイメージ。やはりクローゼットを選ぶべき?
前回のコラムで触れたように「押入れ」というものは、ベッドの登場によって、毎日の敷き布団の上げ下ろしという行為自体がなくなり、最近の家では押入れという存在は減少傾向です。
押入れかクローゼットか?という問いの前には、「何を収納したいのか」という問いがあります。押入れという奥行きが深い(例:80cm)収納空間は、布団を収納するのには適していても、奥のものが取り出しづらく使い勝手が悪い場合もあります。
布団収納に代わって、現代のご家庭で収納スペースが求められているのは衣類の収納です。押入れより奥行きの浅いクローゼット式の収納は、収納スペースは小さくなっても衣類が取り出しやすく、使い勝手が良いことが多いです。(クローゼットのサイズは、奥行きが60cm前後の設定が多いです)
とはいえ、畳での就寝が定番スタイルの方や、敷布団を直置きする方、来客用布団を管理しておくことについては、押入れの存在も有効ですので、適材適所で選択を変えたり使い分けることができれば理想ですね。
Q2 クローゼットのサイズには、フォーマットサイズがあるのでしょうか?
クローゼットの奥行きは、60~80cmが定型である場合が多いです。
これは、前回のコラムでもお話したように、住宅のモジュール(定型寸法)が大きな要因ですね。構造に負担なく空間確保する意味としても、押入れ法を前提とすることが多いのです。
また、このモジュールに対応するように、世の中の収納メーカーや収納用品なども研究された寸法で作られているのは興味深いです。
なお、クローゼットの空間奥行き自体は60~80cmが多いですが、実際クローゼット内に設置される棚板の奥行きは、40cm前後であることが多いです。この理由について少し補足してみますね。
【クローゼットの空間奥行き自体は60~80cm】の特徴と対策
・この奥行き空間があれば、様々な衣類収納ケースを組み合わせて採用できるのでオススメのサイズ感
・十分な奥行きはあるが、高所を活かしづらいのが難点。高所には、奥行き40~60cmの枕棚(or天棚)を採用すると、天井付近のデッドスペースを有効利用できる
Q3 クローゼットに洋服を収納する場合の、完全活用できる方法は?
クローゼットは「かける」が基本。大人はかける収納を取り入れると、身支度の時短になります。収納する時も、取り出す時もラクですよね。さらに、自分の洋服の丈感で、ポールの位置を決めてから棚導入をするとより完全活用が目指せます。
とはいえ、施工上、どうしても固定ポールになることもあります。そのため、予め手が届きやすい高さをシミュレーションしてから高さを設定すると良いでしょう。個人差がありますが、床上170~180cmにポールを設置するのが出し入れの際に腕にも負担なくオススメです。
また、ポールを使ってかける収納をする場合、ポールにかけた衣類の下部が空くので、移動可能な「据え置き型の収納」を導入するのがオススメです。今回、「無印良品」の商品を使った事例をご紹介します。
このように、「かける(吊るす)」を先に優先することで、結果としてパイプ下の収納空間も両立して充実させることができます。 もちろん、据え置き型の収納は、収納したい持ち物によってオススメできる幅や高さが異なるので、吟味してから購入しましょう。
時代によって変わる収納空間
昔と違って、布団をしまう場所という概念から「衣類をしまう場所」として活躍するクローゼットの収納空間。生活の変化に対して柔軟に対応できるように、時には大工さんに作りこんでもらうのではなく、収納ケースなどを上手に活用しながら、残された収納空間の余白を楽しむ心をもっておきたいですね。
「もっとほかにもたくさんのアイデアが知りたい!」という方がいましたら…
今回のような暮らしづくり&家づくりのアイデアは 主にInstagram(@himawari_kobo)やブログ(azumasaori.com)に掲載しています。 手前味噌ですが、今や全国で共感の嵐が湧き、2020年12月現在は4万人を超えるファンの皆さんに 関連するSNSをフォローして見守っていただけるまでになりました。 よろしければ、そちらも合わせてご覧いただければ幸いです。
今回のアイデアはここまで。
お届けいたしましたのは、暮らしの設計士あず『東沙織』でした。
ではまた、次のエッセイコラムでもお会いしましょう。