リノベーションしたおウチへ実際に訪問をして、お話を隅々までお伺いする「リノベ暮らしジャーナル」。第一回目は二世帯住宅だったおウチをスケルトン、減築リノベーションしたSさんにお話を伺いしました。
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プロフィール
お名前:Sさんご夫妻
所在地:東京都文京区
家族構成:3人(夫婦+娘)
建物:持ち家
延床面積:159㎡ → 108㎡
間取り: 1階4DK/2階3DK→3LDK
構造:木造二階建 スケルトン、減築リノベーション
築年数:築50年をリノベして3年
設計:「福田建築設計事務所」福田隆一
二世帯分の荷物の整理に四苦八苦!
ご覧の通り、現在は余計なモノがなく、すっきりと暮らしているSさん夫妻。しかし、リノベ前の荷物整理には、かなり苦労をされたそうです。
Sさん 「1階はモノをため込むタイプの両親の住まいだったので、本当に大変でした! 写真を取って、捨てるものと残すものとを選んでいきましたが……。茶箱だけでも5、6箱、タンスも6竿、5枚セットになった座布団がいくつも出てきたり、簡単には動かせないほど重たい金庫まであったんですよ、中身は空っぽでしたけど(笑)。何よりも大変だったのは、介護用の電動ベッド。自治体では引き取ってくれないんです。方々探して、処理してくれる業者を見つけましたが、3万円以上かかりました。電動ベッドはリースに限りますよ」。
リノベをしなかったら、ここまでモノを減らすことはできなかったと思う、とSさん夫妻は振り返ります。
Sさん 「今、収納スペースはたくさんあります。だからといって、たくさん買ってはいけないということを学習しました。何か買ったら、その分減らす。重さのあるものや、いつか使うだろうと思っているものは、思い切って処分する。“いつか”なんて、絶対こないんですから」。
2つの部屋を繋ぐ、ウォークインクローゼット(写真左側)。夫婦の洋服と小物が納められ、まだまだ余裕があります。引き戸を開け放てば、空気の入れ替えも楽々。
建築家がつくる、余白のある収納
Sさんのおウチを担当した建築家の福田さんは、Sさんの収納術を絶賛します。
福田さん 「あまり細かく仕切らず、余白を残した収納をいくつか用意しました。これは壁や柱など、取り除けない部分もあったので、必然的にそうなった部分もあります。Sさんは、モノの量と内容を正確に把握されている上に、見せる収納と隠す収納のバランスが、よくわかっているんですよね。リノベが完成して3年経っていますが、このすっきり感はすごいと思います」。
震災をきっかけにリノベした家。玄関に大きく取った収納スペースには、非常用の備えがきちんと納められていました。
Sさん 「ぎゅうぎゅう詰め込めば、とっさの時に取り出すことができません。少し余裕を持ってモノを配置しています」。
可動棚を活用して、高さのあるもの、ないものを整理。また、棚と扉との間にスペースがあれば、大きなものもしまいやすくなります。
新しい住まいには、痒いところに手が届く工夫がいっぱい
前の家から残した大切な柱には、爪研ぎ用に麻縄が巻きつけてありました。
Sさん 「猫がいますからね、家具もなるべく傷がつきにくいものを選んでいます。リビングのソファは『カリモク』のものですが、クッション部分は爪が入りにくい素材でできているんですよ」。
大手百貨店に長く勤められていたというSさんご主人。インテリアには目が利きます。
システムキッチンも、見た目のきれいさだけでなく、機能性にもこだわりました。
クリナップのシステムキッチンを導入。収納力が高く、ゴミ箱など見せたくないものをしまえるスペースもあります。決めては、吊り棚が電動で降りてくる便利さでした。
2階のロフト部分には、室内物干しがしつらえてあります。洗濯物を畳むなど、ちょっとした家事ができる折りたたみ式の机も用意されていました。
左から、Sさん夫妻、建築家の福田隆一さん。
Sさん 「思い出の家を取り壊してしまうのは、やはり抵抗がありましたから、こうしてリノベーションをすることで、面影を残しながら快適に暮らせるのは、やっぱりいいですね。毎日気持ちよく生活ができています」。
リノベしたおウチで3年暮らしたSさん夫妻の感想を聞いた福田さんは、喜びの表情を浮かべていました。
※撮影時はコロナウイルス感染予防対策ガイドラインに則り、新型コロナウイルス対策を行いながら進めました。取材中はマスクを着用し、撮影時のみマスクを外して撮影を行いました。