日々を気持ちよく過ごすために必要なのは、何もかもを完璧にこなすことではなく、無理なく自分の判断基準を持って、物事を取捨選択していくこと。そんな新しい目線を教えてくれる一冊をご紹介します。

HOUSTO 編集部

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習慣化は時短への近道

今日は拭き掃除をするか、しないか。食後はコーヒーか、紅茶か。衝動買いした派手な服を着るか、着ないか。毎日は「する」「しない」の決断でいっぱいですよね。
人類はYesかNoかを決めるのに生きている時間の約9割を使っているというアナリストの指摘……はさすがにありませんが、迷っているうちに掃除するタイミングを逃して一日の終わりに後悔する人は多いのではないでしょうか。

撮影:有賀傑

そんな不毛な時間をなくしてくれるのは「習慣化」かもしれません。「考えて決める」ということは、意外と時間と気力を使うもの。でもあらかじめ決めておけば、あとは自分の決断に従って行動するだけ。そのたびに考える必要がないだけで、ぐっと時短になるのです。

人気スタイリスト・伊藤まさこさんの『する、しない。』は、伊藤さんの毎日の習慣を「する」と「しない」に分けたエッセイ集です。

目次を眺めてみると、「する」は、「出したらしまう」「毎日拭き掃除」「自分の営業時間を決める」。
「しない」は「大掃除をしない」「コード類を見せない」「とりあえずで、ものは買わない」。

家事のコツから生き方まで、幅広い「する」「しない」には、眺めているだけで生活を整える意欲が湧いてきませんか?

家事は方針を決めれば楽になる!

伊藤さんは暮らしまわりのスタイリストとして活躍するほか、インフルエンサーという言葉が世の中に生まれる前から、素敵なライフスタイルを雑誌などで公開されてきました。そのお部屋はいつもピカピカ。掃除は家事の中でもハードルが高いものの一つですが、うまく付き合うコツでもあるのでしょうか?

「玄関を結界に」「毎日拭き掃除」では、毎日の習慣にしている玄関の掃き掃除、リビングなどの拭き掃除について紹介しています。美意識の高さに驚きですが、習慣化すれば苦にならないそう。
確かに、毎日すると決めて考える前に済ませてしまえば、お風呂に入ることやご飯を食べることと同じように、ハードルは下がるのかもしれません。エッセイに綴られた掃除したあとの気持ちよさには「確かに!」と納得。掃除するか、しないか迷っている背中を押してもらえるはずです。

収納のヒントもいっぱい。「動線は自分の暮らしに合わせる」「引き出しは浅めに」など、収納を美しくキープするコツは、すぐにでも真似したいと思わせてくれるものでした。

「コード類を見せない」「コンセントを見せない」など、具体的に実践できるインテリアハックが、写真付きで紹介されているのも、本書の魅力。素敵なインテリアを参考に、自分の家にすぐ取り入れられる工夫にわくわくできますよ!

素敵なモノを手に入れたら、どう使うかも楽しみ

暮らしまわりのスタイリストというお仕事柄、伊藤さんの持ち物は、器も掃除道具も生活小物も素敵なモノばかり。「バッグは小さなものを」「シルクとカシミヤ」「良いものを買う」「とりあえずで、ものは買わない」など、伊藤さんのこだわりが分かるエッセイは、モノを大切に愛でながら暮らす楽しさにあふれています。

撮影:有賀傑

素敵な生活用品と運命の出会いを果たしたら、どう使うか考えるのも楽しみの一つ。「掃除道具も美しく」「ものを死蔵させない」を読むと、毎日の暮らしで素敵なモノが活躍する様子に胸が躍ります。

お気に入りのお皿やカップは、おもてなしでも活躍。「お客さまはふたりまで」「飲みものはご自由に」では、自分もお客さまも気持ちよいおもてなしのヒントが綴られます。

断捨離ブームが終わりつつある今日この頃、所有しているモノを見直し、愛し直すきっかけになる本かもしれません。

柔軟に変化するのは気持ちいい!

暮らしの中で、使いづらいなと気になっていた何かを変えると、一気に問題が解決することがありますよね。本書でも、さまざまな変化が綴られます。

「洗面所の改装」「玄関の改装」「簡単ウォークインクローゼットのすすめ」「照明を着替える」で紹介される伊藤さんの自宅の変化は、リフォームや模様替えの参考になりそう。愛用してきた鋳物琺瑯の鍋との別れを語る「重い鍋は使わない」、娘さんの成長によるライフスタイルの変化を語る「作りおきをしない」には、筆者も自分の暮らしの変化にもしっとりと思いを馳せてしまいました。

撮影:有賀傑

「自分をよく見る」「ヘアケア」では、年齢によって変化した自分の見た目とどう向き合い、洋服やスキンケアをどう変えたかが綴られます。とくに「指や手にきらきらしたものを」では、年齢を重ねたからこそ似合うことを発見したアクセサリーを紹介。加齢を前向きにとらえる明るい気持ちをもらえます。

する、しないを決める理由は「気持ちよく暮らすため」。
体や暮らしが変化したら、気持ちいいと感じることも変わります。「これじゃなきゃダメ」だと今までこだわってきたことも、一度見直してみれば、もっと気持ちよく暮らせるかもしれませんね。

ほかにも「冷たいものは飲まない」「スマホをなるべく見ない」など、暮らしの中での心がけや、「新しいことに挑戦する」など、これから先の人生を考える意欲的なエッセイも。どう暮らすかを考えることは、どう生きるかを考えることでもあるのかもしれません。

伊藤さんのライフスタイルは、普段の生活を少し工夫することで、理想のインテリアや暮らし方を実現できることを教えてくれます。迷える子羊のみなさんは、一度読んでみてはいかがでしょう。

書籍情報

する、しない。
伊藤まさこ著
PHP研究所
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85465-6

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