90代のおばあちゃんを介護しながら、育ち盛りの子どもたちを育てる鎌倉在住の料理家・馬場靖乃さん。三世代みんなが満足して食べられる、安心安全な料理を日々研究しています。テーマは「旬のものを使って消化しやすく調理すること」。提案するレシピはどれも体にやさしく、しみじみとおいしい。そんな馬場さんが、この季節にあまらせてしまう食材を使った「片付けレシピ」を教えてくれました。

馬場靖乃

馬場靖乃

鎌倉で料理教室New Table主宰。キャッチワードは「自ら手づくりすること」。アレルギーに対応するグルテンフリーのお菓子・パン・料理のレッスン、ワークショップを手がける。同居する90代の母と小中学生のこども、そして大人たちも満足して食べられる“3世代のご飯”を日々研究中。

https://www.instagram.com/newtable_yasuno/

お餅を活用した美味しい片付けレシピ

今回のテーマは「お餅」。お餅をスープ、変わりいそべ餅、スイーツに

お正月の定番食材、お餅。そろそろお雑煮にも焼き餅にも飽きてきた頃では?
お餅のおいしさを再発見するレシピを4つご紹介します。

お餅はゆっくりと、食べやすい柔らかさに

みんなお餅が好きなので、わが家ではお正月だけでなく、一年中お餅を用意しています。お餅は炭水化物とタンパク質を効率よく摂取できて、腹もちもいいので、朝ごはんには最適。高齢者にとっては少し心配もありますから、大きさや調理方法には特に気をつけています。

私はお餅を「蒸す」または「ゆでる」で調理しています。焼くよりもむせづらく、消化もしやすくなると思うからです。蒸すときは食材の上にのせ、ゆでるときも中火でちょうどいい柔らかさになるまでゆっくりと様子を見ます。

餅入りチキンヌードルスープ

カリフォルニアに暮らす姉から教わった料理。味つけは塩のみで、素材のだしがきいています。本来はパスタや麺類を入れて作るそうですが、わが家は麺類の代わりにお餅を小さくカットして入れます。お餅はすぐに柔らかくなるのでスープが完成した後、食べる直前に鍋に入れるのがコツ。風邪を引いた時にもよく作るスープ。体が芯から温まります。母の食欲がないとき、咀嚼が心配なときには、お餅をとろとろになるまで煮込み、飲み込みやすくします。

●材料(5~6人分)
・大根や大根の葉、人参、玉ねぎ、白菜、などの残り野菜 800g〜1キロ程
(1〜2センチの角切りにしておく)
・ニンニク        2かけ(みじん切り)
・しょうが        2かけ(みじん切り)
・手羽先または手羽元   12本程
・塩           小さじ2
・水           鍋に3分の1ほど
・切り餅         4〜5個(切り餅は小さめに切り分けておく)

●下ごしらえ
鍋に湯を沸かし鶏肉をさっとゆでる。表面が白くなったら水にとり、血や臭みを洗い流しておく。

【作り方】
1.すべての材料を鍋に入れ野菜や鶏肉が柔らかくなるまで1時間ほどグツグツと煮込む。スープが白く濁り、鶏肉の脂が浮いてきたら味見をして、塩で調節する。途中水分が減ってきたら足す。
2.ホロホロになった鶏肉をいったん取り出して骨と軟骨を外し、肉は鍋に戻す。
切り分けた餅を入れ、柔らかくなったところで火を止める。

お餅は小さめに切り分けて。小さなお子さんにも安心なサイズです。

鶏と野菜の旨みと塩のみの優しい味のスープ。加熱しすぎるとお餅が溶け、形がなくなるので気をつけて。

練りごまのピーナッツバター風絡め餅

練りごまとメープルシロップを合わせ、塩をきかせることで、まるでピーナッツバターのような味わいに。ピーナッツアレルギーでも食べられる、濃厚な味わいのつけだれです。ごまを使うことで血糖値の上昇を少しでも緩やかに。冬の乾燥で不足しがちな油分も摂取できます。

●材料(切り餅4個分)
・練りごま      30g
・メープルシロップ  20g
・塩         ひとつまみ
・切り餅       4個

【作り方】
1.餅以外の材料をすべてよく混ぜ、たれを作る。
2.鍋に湯を沸かし、餅を入れる。中火にし、餅が踊らない程度に静かにゆでる。
3.柔らかくなったら餅の水分を切り、1.のたれに絡める。

つけだれは小松菜やホウレン草の胡麻和えにも使えます。

ゆで餅は消化にやさしく、たれもよく絡みます。お餅はぐつぐつと煮ずに、静かに温めて。

椎茸餅

椎茸にお餅を載せてじっくり焼くだけ。
椎茸の出汁を一滴残らずお餅が吸いとり、一体となったところを醤油と海苔でいただきます。この椎茸餅はお吸い物や鍋、すき焼きなど幅広く活用できます。

●材料(4個分)
・椎茸     4枚(傘の大きいものが作りやすい)
・切り餅    2個(切り餅は半分にカットしておく)
・醤油     適量
・焼き海苔   適量

【作り方】
1.椎茸の軸を切り取る。切り取った付け根に軽く十文字の切り込みをいれておくと食べやすい。
2.フライパンに油を敷き、椎茸の傘の内側を上にして餅を少し押し込むように乗せる。
3.蓋をして、餅が柔らかくなるまで弱火でゆっくりと加熱する。
4.餅が椎茸にくっついて一体となったら椎茸餅を醤油にくぐらせ、海苔で巻く。

お餅は箸で押さえてみて、柔らかさを確かめて。

海苔を巻いたら手でパクリ。朝ごはんやおやつにも。

りんご餅

加熱することで甘さが増したりんごと柔らかなお餅にシナモンをかけて。わが家の冬の定番おやつです。甘さが足りないときは仕上げにシロップやお砂糖を足して。
焼きりんごとお餅の組み合わせは、トッピング次第で和と洋どちらでも楽しめるデザートになります。きな粉や蜂蜜、シナモンやアイスクリームといろいろアレンジしてみてください。

●材料(2人分)
・りんご  1/2個(1.5㎝の角切り)
・切り餅  2個(角切りで8等分に)
トッピングはお好みで

【作り方】
1.フライパンにりんごを入れ中火で蓋をして蒸し焼きにする。焦げが心配な場合は少し水を足す。
2.りんごに火が通り甘さが増してきたら、りんごの上に餅をのせ蓋をして、餅が柔らかくなるまで蒸し焼きにする。餅がりんごにくっついてきたら出来上がり。

フライパンの中でリンゴとお餅を重ね、火が通るのをゆっくり待ちます。

馬場靖乃さんの「片付けレシピ」、次回はこの季節にあまらせがちな「大根」編をお届けします。どうぞお楽しみに!

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