「ついあまらせてしまう大根を、丸々一本使い切りたい!」そんなリクエストに応えてくれたのは、鎌倉在住の料理家・馬場靖乃さん。馬場さんは90代のおばあちゃんを介護しながら育ち盛りのこどもたちを育てています。テーマは「旬のものを使って消化しやすく調理すること」。提案するレシピはどれも体にやさしく、しみじみとおいしい。家族みんなが満足して食べられる、安心安全な片付けレシピをご紹介します。
大根を活用したおいしい片付けレシピ
今回のテーマは「大根」。和洋中、多彩なメニューで丸々一本を使いきる
冬野菜の代表格、大根。煮物、漬物、サラダなど、使い勝手はいいものの、メニューがワンパターン化して使いきることができないことも…。馬場さんが提案するレシピはどれも目新しく、作ってみたくなるものばかり。消化よく、疲れた胃にやさしいのもうれしいレシピです。
「蒸し煮」で、大根のおいしさを引き出して
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大根には消化酵素がたっぷり。ビタミンに加え、カルシウムも豊富なので、旬の季節には積極的に摂りたい食材です。わが家はいつも「レンバイ」と呼ばれる鎌倉の野菜即売所で、葉のついた新鮮な大根をたくさん買い込んでいます。
野菜を調理するとき、私はよく「蒸し煮」にします。蒸し煮とは、鍋やフライパンに野菜と塩、少量の水を入れ、蓋をして蒸す方法のこと。野菜の水分は残したまま、うまみが凝縮され、やわらかく仕上がります。また下味もしっかりつくので、調味料が少なくてすむのもいいところ。油もなるべく加熱せず、最後に少量絡める程度に。
大根は蒸し煮にすると、甘みが増して、とてもおいしくなります。ほかにもブロッコリー、にんじん、じゃがいも、かぼちゃなど、なんでも蒸し煮でおいしくいただきます。
今回はこの蒸し煮を活用したレシピもご紹介します。ぜひ作ってみてください。
炒めない麻婆大根
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わが家では、麻婆豆腐も炒めずに作ります。同じ方法で豆腐の代わりに大根を、ニラの代わりに大根の葉を使いました。さっぱりと仕上げるため鶏ひき肉を使っています。
大根がゴロゴロ入っていて食べ応えがあり、これ一品でボリュームのあるおかずになります。
辛さは効かせていないので、最後にラー油や花椒をお好みで加えてください。
●材料 (4人分)
・大根 1/3本(300g~350gを1.5㎝ほどの角切り)
・大根の葉 適量(なければニラ)
・鶏ももひき肉 200g
・ニンニク 1かけ(みじん切り)
・生姜 1かけ(みじん切り)
・塩 小さじ1/4
・醤油 大さじ2
・ごま油 大さじ1
・片栗粉 大さじ2 (同量の水で溶いておく)
*ラー油や花椒 適宜
●下ごしらえ
大根の葉は塩ゆでし、水気を絞り細かく刻んでおく。
【作り方】
1.フライパンに角切りの大根、塩、カップ1の水(分量外)を入れ蓋をして中火にかける。沸騰してきたら弱火にして大根が柔らかくなるまでゆでる。水が無くなってきたら足す。目安は大根がゆで汁に浸かる程度まで。
2.ニンニク、生姜を入れ、ひき肉は茹で汁の中で解きほぐす。
3.カップ2の水(分量外)を足し沸騰させ灰汁を取ったら、醤油、ゴマ油を回し入れる。味を見て足りなければ塩で調整する。
4.火を止めて水溶き片栗粉を回し入れ、全体を混ぜてから再び火にかけ沸騰させ、とろみをつける。(だまにならないように一度火を消して混ぜる)
5.大根の葉を散らし、好みでラー油や花椒をかける。
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フライパンの中で大根を塩ゆでし、やわらかくなったところにニンニク、生姜を入れて、ゆで汁の中でひき肉をほぐします。
炒めない大根のきんぴら
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蒸し煮の方法で、大根のきんぴらを作ります。にんじんと合わせて、彩りもよく。
炒めて作るきんぴらと比べると歯ごたえもやさしく、高齢者にはもちろん離乳食としても使えます。大根はあまり細く切りすぎると崩れやすくなるので、5mm程度に、繊維にそって切るのがこつです。
●材料(4人分)
・大根 1/4本(約200gを5mm幅の千切り)
・にんじん 1本(約150gを5mm幅の千切り)
・塩 小さじ1/2
・みりん 大さじ2
・醤油 大さじ1
・ごま油 大さじ1
・すりごま 10g
【作り方】
1.鍋またはフライパンに大根とにんじんを入れ、塩小さじ2分の1を振り、まんべんなく手で混ぜる。大さじ1〜2の水(分量外)を入れ、蓋をして中火から火にかける。沸騰してきたら弱火にし、15分程加熱する。(鍋によって焦げに注意)
2.大根、にんじんが柔らかくなってきたら、みりんを回し入れ、煮切る。味見をして醤油を足す。
3.火を止めてごま油を回し入れ、すりごまを和える。
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蒸し煮は鍋によっては焦げやすくなるので、様子をみながら。
きんぴら大根をアレンジした「きんぴらご飯」
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大根とにんじんのきんぴらはご飯にもなじみやすいので、簡単に混ぜご飯を作ることができます。わが家ではよくこの混ぜご飯をおむすびにして、朝食やちょっと小腹の空いたときなどに食べています。酢飯にすれば、ちらし寿司としても楽しめます。
●材料(2合分)
米 2合
大根とにんじんのきんぴら 適量
【作り方】
炊きたてのご飯に、大根とにんじんのきんぴらを混ぜる。
大根おろしがたっぷり! やわらかチキンハンバーグ
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「大根おろしのせハンバーグ」ではなく、タネに大根おろしをたっぷりと使った、味も食感も驚きのチキンハンバーグ。こねている間は大根おろしの酵素が肉をやわらかくし、焼いている間は大根おろしが肉汁を吸ってうまみを逃しません。
胸肉多めでつくね、もも肉多めでハンバーグ寄りの食感に。時間が経っても硬くならないのでお弁当のおかずにも重宝します。餃子の皮に包めば、もちもち食感の餃子にもアレンジできますよ。
●材料 ひとつ60g程度の丸型 5~6個分
・鶏ひき肉 胸肉・もも肉合わせて 200g
(胸肉、もも肉のみでもOK)
・大根おろし(水分を絞ったもの) 125g
・塩 小さじ1/4
・醤油 小さじ1/4
・片栗粉 大さじ1
☆照り焼きのたれ
・醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・大根おろし汁 または水 大さじ1
・片栗粉 1つまみ
☆つけ合わせ 春菊のサラダ
・春菊 300g(水気をしっかり切っておく)
・酢 大さじ1
・レモン果汁 大さじ1
・塩 小さじ2分の1
・オリーブオイル 大さじ2
●下ごしらえ
大根をおろし、汁気をしっかり絞っておく。照り焼きのたれはすべて合わせておく。つけ合わせの春菊のサラダは材料をボウルですべて和えて作っておく。
【作り方】
1.鶏ひき肉と塩をボウルに入れ、粘りがでるまでこねる。
2.1に大根おろしを入れ、均一に混ざったら片栗粉を混ぜて成形する。
3.よく熱したフライパンに油を薄く敷き、中火で焼き始める。30秒程経ち焼き色がついていたらひっくり返す。
4.1/2カップ程の水(分量外)を入れ、中火で蓋をして蒸し焼きにし、8分ほど経ったら、合わせておいた照り焼きのたれを入れる。
5.蓋をしてさらに2分加熱し、ふっくらしてきたところで火を止める。
6.春菊のサラダを皿に広げ、できあがったハンバーグを盛りつける。
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大根1/2本は軽く使いきることができます。おろすのはちょっと大変ですが、ぜひ試してみてください。
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焼き上がりはふっくらジューシー。食べごたえがあります。残ったおろし汁は、照り焼きのたれに使っても、味噌汁にしても。
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馬場靖乃さんの「片付けレシピ」は、何度もつくりたくなる素朴なおいしさです。ぜひ冬の定番メニューにしてみてくださいね。