今は賃貸で、仮暮らしだからインテリアには本気が出せない。いつか家を持ったら、インテリアに力を注ぐ。
持ち家を持ったら、家族構成やこどもの持ち物がまだまだ変わるかもしれないから、今はまだ「これでいいや」で我慢する……。
家とインテリアの関係を考えるとき、現状に対してこんな言い訳を持ってしまうこともありますよね。そんな時、賃貸暮らしでとても素敵なインテリアで暮らしているhakuさんのお宅にお邪魔する機会をいただき、インテリアと住宅の関係、賃貸住宅の選び方を教えていただきました。
hakuさんの家プロフィール
都心の駅から徒歩4分。
築35年、3DK/56平米の賃貸マンションに二人暮らし。
https://www.instagram.com/hk89_room/
小さな美術館のような玄関。壁の凹凸を利用して展示を
一歩部屋に入ると、小さな美術館のような静謐な雰囲気が。
小さなスペースに小さな絵。壁の凹凸があることで奥行きが生まれ、ギャラリーのような雰囲気が素敵です。
「美術が好きなんです。ポストカードや絵画、そして小さな切手も好きで。額装して、季節によって展示替えをして楽しんでいます。
この家は、部屋が小さく区切られている3DK。壁の凹凸もおもしろくて、それを使って段々に絵を飾って楽しんでいます。」(以下「」はhakuさん)
玄関横のシューズボックスにも、たくさんの雑貨が飾られていてワクワク。奥のダイニングの柔らかな光に誘われて、いざお邪魔します!
部屋ごとにコンセプトを変えるインテリア。ダイニングは北欧テイストに
玄関を入って左側には、コンパクトなダイニングスペースがあります。
「夫と二人暮らしなので、ダイニングスペースはコンパクトにまとめました。半円のテーブルを使って省スペースにしています。」
縦長の2つの窓の中央に置かれたテーブルがシンメトリーで、映画のワンシーンのような印象です。
「この窓、おもしろいですよね。賃貸住宅を選ぶとき、変わった物件にどうしても目が行きます。わが家は小さな部屋がゆるくつながる不思議な間取り。それを利用して、部屋ごとのインテリアのコンセプトを変えてしまおう!と思って。
ダイニングの家具の木材のカラーは薄めにして、北欧風のインテリアに。対してほかの部屋の木材のカラーは濃い色にしています。
部屋が分かれていれば、いろんなテイストが楽しめるんです。」
中央の壁に飾られた絵は、東京都現代美術館で開催された「デイヴィット・ホックニー展」のミュージアムショップで購入したもの。
鮮やかな色合いの作品で、この空間を穏やかに引き立てています。
しまいこまずに飾る。シェルフに飾られた思い出の雑貨たち
ダイニングテーブルの横には、食器や雑貨を収めたウッドシェルフが置かれています。
「旅行が大好きで、海外で雑貨やアート、お皿などを買うのも一つの楽しみです。棚の上のブロンズの猫の置物は、ウィーンの蚤の市で買ったもの。
ヨーロッパは物価が高いので、欲しいと思っても手が届かないものが多くて。でも蚤の市で出会ったこの置物は、まず『買える値段』であることが嬉しかった(笑)。そうやって欲しいものを探すのも、楽しいですよね。
中央にあるのは、モロッコで購入したお皿です。モロッコは、雑貨がとても魅力的で、お値段もかわいいところが嬉しい。
旅行先では『買わない後悔』をしないように、思い切って購入するようにしています。」
棚の上で存在感を放つのが、シャガールの小さな切手です。
「切手が好きなんです。切手博物館に行って、ワンコインくらいで売られている切手を探すのがとても楽しい。切手のままだと愛でづらいですが、額装するとインテリアとして楽しめます。」
棚の下の段は、お気に入りのお皿の収納に。隣接するキッチンからのアクセスも良く、しまいこむのではなく、目で見ても楽しめる収納です。
賃貸でも妥協しない。サイズオーダーの遮光や、床材を工夫した寝室
ダイニングに隣接するもう一つの部屋は、寝室として使っています。
「寝室の床は、オフホワイトのタイルカーペットを敷いて明るく優しい雰囲気にしました。
ベッド以外のモノは極力置かないようにしています。」
窓が2面もある明るい寝室ですが、最近、奥の細長い窓に、サイズオーダーのブラインドを設置したそう。
賃貸住宅で、サイズオーダーは思い切った選択では?
「もし引っ越したら使わなくなるかも…というモノでも、今の生活に必要だと思ったら購入するようにしています。
私はメルカリやネットオークションをよく利用していて。ちゃんと選んだモノであれば、希望の値段で売れることも多いんです。
こういうサービスがない時代だったら躊躇していた買い物も、最近は迷わずできるようになりました。
売るばかりではなく買うことも多くて、わが家の家具も、ネットオークション出身者が多いですよ。」

寝室の壁に飾られたアートは、優しい色合いで寝室のインテリアに馴染ませて
デスクを背面に配した、書斎スペース
ダイニング・寝室の反対側には、書斎とリビングが。小部屋が連なるおもしろい間取りです。
「この書斎は5〜6畳ほど。ここも寝室と合わせてタイルカーペットを敷いています。
夫も私も在宅で仕事をする日があるから、デスクは2つ。背中合わせに配置して、お互いの存在を意識せずに仕事ができるようにしています。」
デスクの間には、共有の本棚が。これもネットオークションで購入したものなのだそう。
「本棚はネットオークションで買うことが多いですね。もともと、新品の家具よりも、味わいのある古道具やヴィンテージ家具が好き。ネットオークションでの購入なら、しっかりサイズを測って何度もシミュレーションができるのも良いところです。」
書斎の角に配されたhakuさんのドレッサースペース。味のある鏡のまわりにも展示スペースがありました。
「ここにも、切手博物館の切手たちを飾っています。季節によって小さな展示替えをしていて、最近も夏らしい切手に変えたばかりです。」
ほかの部屋とは異なるテーマカラーで統一されたリビング
最後の部屋は、一番広いリビングスペース。ダイニング・寝室エリアとは印象を変えて、リビングは濃い木材カラーで統一されていました。奥の窓辺スペースが、三角に張り出した間取りが印象的です。
「この物件を内見したとき、このスペースにワクワクしたんです!四角が並ぶだけではない『でこぼこ感』が、どう使おう?と想像を掻き立ててくれて。
日当たりの良いスペースなので、今は植物を置いていて、涼しい夜は窓を開けて扇風機で風を入れたり。
少しだけ癖がある個性的な物件は、インテリアのインスピレーションを呼び起こしてくれる気がしています。」
ソファシートは、他の部屋ではあまり見かけなかった暖色です。
「小部屋が分かれているから、テーマカラーも分けやすいんです。この部屋は、濃い茶色〜黒に、ピンクなどの暖色を少し入れています。」
ソファの上部にも、テーマカラーの暖色が少し混じったアートが飾られていました。ほかの部屋のアートはナチュラルな木製の額縁に飾られていましたが、ここは黒の額縁をチョイス。空間が引き締まる効果も。
「左は写真家の石川直樹さんの作品です。2012年に今では信じられない値段でご本人が手売りしているものを買いました。本当にお気に入りの作品です。右はモロッコの写真美術館で購入したものです。」
テレビボードの横には、木材のカラーを合わせたシェルフを配して。旅先で求めた雑貨などがきれいに展示されています。
「この家具も、ネットオークション出身者。前の住まいでは本棚として使っていましたが、今は飾り棚に。本棚って、色々な使い方ができるから便利ですよね。」

テーマカラーの茶や黒〜暖色の雑貨たちが集まる棚。賑やかなのに、統一感のある空間
hakuさんが考える、賃貸住宅の選び方とは?
「優先したのは、味のある古さと、わくわく感です。新築は、新しい気持ちよさや使い勝手の良さはあると思うのですが、私はやはり味のある個性的なものが好き。
間取りがおもしろかったり、謎の空間があったり…。そんな家を、SUUMOなど複数サイトで探しました。
賃貸は変えられない部分があるから、建具や建材も内見時にチェック。壁紙やドアノブなどがピカピカすぎない家を探しました。この家の妥協点は『床』です。実はクッションフロアで、そこは少し残念。
でも、タイルカーペットを敷いたり、お気に入りのラグなどで解消できると思って決めました。」
置物や雑貨、アートなど、素敵なものが集まる小部屋が連なるのに、どこもスッキリして暮らしやすそうなhakuさんのお宅。
ものの量と家具のバランスは、どう調整されているのでしょうか?
「本は夫婦ともにたくさんあるので、もうこれ以上は増やさないようにしていますね。
対して、小さな雑貨や置物は、出かけた先で気に入ったら迷わず購入して、日々の楽しみに。それをメリハリにしています。しまいこまずに、展示替えをしてじゅうぶんに楽しむ。味わったあとは、一部はネットオークションなどで循環させます。いいものは経年で味が出るから、欲しいと感じてくれる人はきっといるはず。大した金額にならなくても、次の持ち主がいることが大事なんです。」
オークションなどで上手に手放すコツは、適当に選ぶのではなく、本当に欲しいと感じたものを買うこと、と語るhakuさん。審美眼を磨くことが、次の持ち手を連れてくるのかもしれません。
部屋を彩り、思い出とともに楽しませてくれるインテリアは、どれも埃をかぶらずイキイキとして見えました。
「今のお気に入り」を活かして各部屋ごとにテーマを設ける発想など、賃貸にとどまらず、どんな間取りにも活かせる知恵を教えてもらいました。