整理収納とインテリアを整えること。その違いについて考えたことはありますか? 「素敵な部屋にしたいのに、なかなかうまくいかない」と悩む人は、インテリアショップに行く前にまず家の片づけから始めてほしい。そのわけを、整理収納アドバイザー水谷妙子さんが詳しく教えてくれました。

水谷妙子

水谷妙子

「無印良品」で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務めたのち、現在は整理収納アドバイザーとしてお片づけ講座開催、書籍出版やテレビなどで活躍。

https://www.instagram.com/monotokazoku/

整理収納とインテリア、同時に進めると失敗する!

家を整える2大要素として挙げられるのが、整理収納とインテリアです。整理収納は、日々の暮らしで使うものを決め、適切な置き場所を決めること。インテリア(を整えること)は、部屋が素敵な空間になるようデコレートすること。

「部屋をおしゃれにしたい(インテリア)」と「部屋を片づけたい(整理収納)」を同時進行で進める人がとても多いのですが、目的も実際の作業も大きく異なるため、分けて考える必要があります。片づいていない部屋をおしゃれに飾るのは難しいし、「片づいたらこうしたい」と素敵なインテリアを頭の中だけで想像して進めるのはとてもレベルの高い作業です。

まずは部屋を片づけて、マイナスの状態からプラマイゼロに持っていく

部屋の快適さ・素敵さを数値で表現するとしたら、散らかった部屋はマイナスの状態。

そこからものを整理し、収納を決めます。たとえ散らかっても、すぐに片づけてゼロにもどえるように整えるのです。ここがスタート地点。マイナスからゼロに戻すのが苦手(片づけが苦手)な人は、「突然誰かが家に来ても大丈夫か」と客観的に見るクセをつけてみてください。こんな状態であればOKという最低限のラインが見えやすくなります。

部屋がきれいに片づいてから、インテリア要素を少しずつ加えていく。これがプラスの状態です。フラットな状態になって初めて、どのように飾るかがイメージしやすくなります。もしピンと来ない場合は「部屋の写真をSNSにアップするとしたら」と客観的に考えてみてください。「物足りない部分をこうしたら素敵」などとアイデアが浮かびやすくなるかもしれません。

この連載でお話ししてきた通り、整理収納をするときは、部屋を片づける過程でものの持ち方や数について意識を向けてみてほしいのです。そうすると、自分がどんな考え方を持っているのか、どんなふうに暮らしたいのかが少しずつ見えてくるはず。この自分軸を、インテリアに生かせばいいのです。

例えばメイクについて。メイクが大好きで、お気に入りの化粧品を飾るようにして並べたいという人なら、素敵なドレッサーをリビングに置いて化粧品を「見せる収納」にするのはアリです。
でも、「メイクは毎日しないし、最低限でOK。ささっと済ませたい」というタイプの人にドレッサーは不要。化粧品は生活動線上の便利な場所にしまい、リビングには他に自分の好きなものを飾ればよいですね。

自分軸をベースにインテリアを整えると「その状態をキープしたい」という思いが生まれてきます。それがモチベーションにつながり、散らかりにくくなるといううれしい効果も。部屋がマイナスの状態に陥ることがなくなってくるのです。

片づけ、そしてインテリア。どちらも暮らしを豊かにする大切な要素です。決して焦らず、自分らしい素敵な部屋をつくり上げてくださいね。

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