今回は、前編に引き続き、キッチンの収納にお悩みのK様宅からレポート。グラスや食器のコレクションが多く、広いキッチンにも関わらずスッキリ整理収納できないのがお悩みです。カウンセリングにより食器の適正量を導き出し、本当に使いたいモノなのか?取捨選択を続けてもらいました。『頻度』を超重要視し、使いやすい場所に収納し直す「ゾーニング」というテクニックをご紹介します。
住人プロフィール
・ご相談者:K様宅
・持ち家/一軒家(4LDK)
・居住年数:12年
・家族3人暮らし(両親、小学5年生の長男)
前回のおさらい
前回は、キッチン収納に悩めるK様宅にお伺いし、要先生がキッチン収納のお悩みをヒアリング。キッチンのスペースと家族の人数に対し、食器や調理器具などの量がオーバーしていて使いづらくなっていることがわかりました。
一度全部出して全体量を把握してから、適正量までアイテムの量を絞っていく行程を行いました。
整理収納ワーク③ 適正量に取捨選択したアイテムを、ゴールデンゾーンから収納
アイテムの選択が終わったら、ついに収納の開始です! 吊り戸棚や背面収納、シンク下など色々なところに散らばっていた食器ですが、今回は背面収納に食器類を集めて収納することに。
手始めに「一番使うものを一番取り出しやすい場所へ」をキーワードに収納を開始します。毎日使うお茶碗類を背面収納のゴールデンゾーン(一番手が届きやすい収納場所)に収納します。
使用頻度の高い食器類を背面収納に収納しました。棚に奥行きがある場合は、手前によく使うものを、奥にあまり使わないものを並べると、より使いやすい収納になります。
背面収納には、使用頻度が高いのにバラバラに収納されていたコーヒーやお茶類もまとめて収納。茶葉だけではなくポットなど、関連アイテムも一緒に収納する「グルーピング」というテクニックを用いると、探し物をする時間が激減しますし、準備や片付けの際のアクション数も減らせます。
整理収納ワーク④ 使用頻度を考えながら、前後や高さを意識した収納
次に、「しゃがまないと取れない」「背伸びしないと見えない」など、少し手が届きづらい場所に、使用頻度の低いものを収納します。
「しゃがむ→扉を開ける」の2アクション数が必要な背面収納の下部には、以前は使用頻度が高い米びつが入っていましたが、使用頻度の低い食器の収納場所へと変更しました。
使用頻度が高い米びつは、アクセスしやすいシンク下引き出しへお引越し。シンク下は湿気が溜まりやすいと思われがちですが、家族住まいで米びつの中身の回転が早い場合にはあまり気にしなくてもOK。調理器具や水筒など、毎日使う一軍アイテムもゴールデンゾーンに集めました。
また、キッチン収納を考えるときに役立つのが『起点(物事の始まるところ)』はどこか?を定めること。お米はシンクで洗うので起点はシンク!というふうに考えていくと、おのずと収納場所を考えるとき悩まなくなります。
お気に入りだけど普段使わないグラスは、手が届きづらい背面収納の最上段奥に収納。
対して、手が届きやすい高さの棚には、普段使いのグラスを手前に収納します。こうして場所と頻度の関係を見直していくと、格段に暮らしやすくなりますよ。
整理収納ワーク⑤ 1箱=1アイテムをルールにした適正量収納
お次は吊り戸棚の収納にトライ。吊り戸棚は高さがあり、毎日使うものの収納には向いていないので、使用頻度が低いものを収納しましょう。 ある程度の容量があるので、ごちゃつかないように、収納ボックスを取り入れるのがポイントです。ここでは、1箱=1アイテムをルールに収納していきます。写真は、散らばりやすいお菓子作りアイテムだけを入れたボックスです。
タッパーも1箱に収納。「この箱に入るだけ」と決めることで、モノの持ちすぎも防げます。
ボックスの中身が決まったら、ラベルを作りましょう。ボックスの見えやすいところにラベルを貼ることで、家族にも収納内容が伝わりやすく家事シェアが進みます。
スッキリ余裕のある収納に変身! まだスペースに余裕があるほどです。右利きの人は、一番右に使用頻度の高いものを置くと、より取り出しやすい収納になりますよ。
整理収納ワーク⑥ 持ち物やストックの量を改めて見直す
以前はボックスから溢れていた食品類は、賞味期限を確認し把握できる量に見直し。この2ボックスに収まる量だけをストックすることに決めました(入り切らなかった食品は食べ切リます)。
食品はついつい増えていくモノの代表格! 枠組みを作り「ここに入るだけ」と管理できる量にしていかなければ結局賞味期限を逃し廃棄することになってしまいます。
ストック食品に混じっていた調味料などは、種類ごとに分け直して吊り戸棚へ収納。「食品」とざっくり大きく分けた収納から、「ストック食品」と「調味料」に分けたことで、より探しやすく、ストック量も把握しやすくなりました。(上段の白い箱は半透明のストッカーが足りなくなったため仮置きです。後日取手付きボックスに変更しました。)
整理収納ワーク終了! スッキリBEFORE→AFTER
合計4時間ほどの時間をかけて、キッチンの整理収納が終了!
さて、お悩みはどう解決されたのでしょうか?
キッチン全体
【BEFORE】
【AFTER】
以前は生活感が溢れ、モノの量で情報過多になってしまっていた雑貨類を収納することで、全体的にスッキリとした印象に。
【BEFORE】
【AFTER】
ランダムに収まっていた食器類も、適正量と収納場所を1か所にまとめることで、使いやすく生まれ変わりました。
ゴールデンゾーンのシンク下収納
【BEFORE】
【AFTER】
背面の食器棚だけではなく、シンク下にもカップやグラス類がたくさんありましたが、それらは背面の食器棚に集約し、毎日使う一軍アイテムだけを集めたことで、作業効率もアップ!
取り出しづらいのが悩みだった、背面収納の下段
【BEFORE】
【AFTER】
使用頻度の高い米びつを収納するも、扉にかぶってしまっている吊るし収納などが作業のストレスになっていましたが、使いづらさの原因だった吊るし収納を外し、収納の中身も米びつから使用頻度の低い食器に変更。これで毎日腰を屈めながらお米を量る日々からも卒業です。
複数箇所に分かれた食器収納
【BEFORE】
【AFTER】
バラバラに収納されていた食器は、背面収納にひとまとめにするゾーニング収納でより食器を探しやすく生まれ変わりました。
アイテムの取捨選択をしっかり行なったことで、なんと背面収納下部には空きスペースが! お弁当用のバッグや、布ふきんなどの布ものアイテムをここにまとめました。
また、食器を移動させてスペースが空いた吊り戸棚には、使用頻度の低いアイテムを収納。空いたスペースに無理に何かを入れようとしないでくださいね。モノは必ず増えていきます。その時のための余裕スペースとして空いたままにしておきましょう。
どの場所もゾーニング収納の考え方をもとに、アイテムの種類が混ざらないように意識した収納です。
複数箇所に分かれた食器収納
【BEFORE】
【AFTER】
棚上に置かれていた食品ストックは、種類分けをして調味料類は吊り戸棚へ。取手付きの収納アイテムを選ぶと、高いところのものも取り出しやすいのでおすすめです。(上段の白い箱は半透明のストッカーが足りなくなったため仮置きです。後日取手付きボックスに変更しました。)
生活感が出やすいカウンター
【BEFORE】
【AFTER】
キッチンカウンター上は、食べかけのお菓子と毎日飲むサプリメントや薬のみを置くことに。 「調理器具もしまえるモノはしまいつつ、出していた方が調理が捗るものは無理にしまいこまなくてOK。あくまでそこに住まう人の『使いやすさ』を意識した収納をカウンセリングで引き出すことを心がけています。」(要先生)
整理収納ワークを終えて
どんどんモノが増えていくキッチンは、以下の3点を意識するととても使いやすくなりますよ。
❶定期的に適正量を見直
気づいたらモノが増えているのがキッチンの特徴。半年に一回、など期間を決めて定期的に見直ししましょう。
❷ゾーニング
アイテムを収納し直す時には、なるべく用途ごとにまとめて収納(ゾーニング)すると、探し物の時間が激減し、準備や片付けの際のトータルアクション数も減らせます。
❸使用頻度によって収納場所を決める
使用頻度によって収納場所を工夫していくと、普段の使い勝手が格段にUPする上に、しまいやすくて散らからないキッチンになりますよ。
ぜひ試してみてくださいね!