「くらしに、ららら。」をテーマに住空間を快適にする提案を続けるカインズ。収納用品の9割がプライベートブランドで「Skitto」のようにグッドデザイン賞を受賞した商品も多くあります。商品開発のストーリーには、「暮らしのお悩み解決」に徹底的に向き合う姿勢がつまっていました。
「ベーシック+機能」で考える商品開発
今回お話を伺ったのは、一緒に商品開発に取り組む平井さんと魯さん。
平井さんは商品の仕入れ、企画・発案から売り場の分析まで手掛ける家具・収納バイヤー。魯さんは海外商品開発チーフとして、メーカー選定からデザインのやりとりまで一貫して担当しています。海外との協業が多い商品開発ではコミュニケーションが大切なのだそう。
平井さんが大切にするのは、消費者が求める「軸」を変えないこと。 「例えば、カラーボックスは昔からニーズの高い商品。構造そのものは変えず、高さや幅を時代に合わせて変えたりと、今あるベーシックさに使い勝手などの機能性をプラスして改善する方向で考えています」
店舗スタッフの声まで活かし、より消費者の悩みに近い、暮らしの問題を解決する商品の数々
重視するのは「つくりたいモノ」よりも「暮らしの問題をどう解決するか」。消費者の悩みに沿った商品開発のため、ニーズの調査には余念がありません。専門チームが分析をするほか、店舗スタッフも尽力。
「店舗スタッフは一番お客様に近い立場なので、リアルな悩みを知っています。そして本人も消費者の一人。『こうしたらいいのに』という意見は積極的に活かします」(平井さん)
「通常は年に2回、店舗スタッフを集めて新商品展示会を行い、アイデアミーティングで意見を集めます。そうすることで悩みに寄り添えるし、店舗スタッフも自分の意見が反映された商品は自信を持ってお客様に紹介できますから」(魯さん)
「どうすればイライラがなくなるか」から生まれた商品といえば、人気の「Skitto」。プラスチックケースは角のカーブやゆがみによって収納スペースに隙間ができてもったいないというお悩みから、ゆがまず、角がつくれる素材を使うことで、収納効率をアップさせました。さらに、ケースが深くて奥から取り出せないといったことがないように、女性の指の長さやキッチンのサイズまで考慮し、最も適したサイズで設計。だからこそ、どこでもスッキリ設置できて中身が取り出しやすいのです。
収納家具でも同様に、DIYが苦手な人にとって、組み立て式家具は取扱説明書を読むのも難しいというお悩みが……。そこでカインズは、重ねるだけ、支柱に引っ掛けるだけなど、工具も知識も必要ない組み立て式の収納用品を開発しています。
その手軽さに加え、強度も追求したのが上の写真のラック。
「組み立てが簡単な家具は強度が心配だという声があり、そこで開発したのが、簡単に組み立てられて丈夫なラック。最初から柱にねじ山がついているので、回すだけで天板と固定できます。工具を持っていなくてもDIYが苦手でも大丈夫です!」
このように様々なところで消費者のリクエストが活かされています。
厳しい意見にはヒントがある!不満も徹底リサーチ
さらに消費者の意見を反映するため、まずは小ロットでつくり、実験的に販売をするのが常。
お客様の反応を見てわかることも多いそうで、最近ではA4サイズに特化したカラーボックスを発売したところ、いつもは人気の3段より机の下に収まる2段の方が圧倒的に売れ、昨今のテレワーク需要を実感。
また、SNSも頻繁にチェック。「こんな色も欲しい」「もっと大きいサイズがあれば」という意見は積極的に取り入れます。たとえば「Skitto」は棚の中だけでなく、そのまま部屋に置いて使う人が増えていることから、単体でも使いやすい大型サイズも準備中だそう。
さらに「厳しい意見にはヒントがある」と、「もっとこうしてほしい」という不満もリサーチし、徹底的に消費者の意見に寄り添う姿勢を貫きます。
「せっかく悩みを解決できる商品を生み出しても、伝わらなければ意味がありません。以前、とある商品を買ったものの全然使えなかったという意見を見かけ、分析したところ、私たちが意図していた用途とまったく違う使い方をしていて驚いたことがありました。すぐさま、その商品のパッケージや取扱説明書を一から見直すことに。ベストな答えはないのですが、常にベターな案を探しながら、商品の本来の良さを伝えられるよう努力しています」(魯さん)
片付けに悩んだら、実物を見ながら具体的にイメージしてみて
平井さんが提案する片付けのコツは、収納用品の実物を見ながらイメージすること。
「今はインターネットで情報をたくさん集められます。ただ、それを自分の家に置き換えるのが難しいこともありますよね。そんなときは、売り場で商品を見ながら考えれば具体的なイメージも湧きやすくなるはず。『買ったけど使えない』という失敗も減るし、まだ見つけられていない『便利』もあると思うので、悩んだらぜひ売り場に来てみてください」
消費者の「もっとこうしたい」を実現するための商品開発
消費者のニーズを日々調べる中で平井さんと魯さんが実感するのは、片付け意識の向上。
「今はSNSなどで全世界の情報を簡単に調べられる時代。消費者のレベルが上がっていると思うし、収納への向き合い方や意欲が変わっているのを感じています」(平井さん)
お部屋を整える楽しみは人それぞれ。より幅広い暮らし方に対応できる商品開発は、全国に225店舗を展開するカインズだからこそだと実感しました。
インタビューの中で、「整理・収納している最中は大変ですが、その後の生活を必ず楽に、便利にしてくれますから」と笑って話してくれた平井さん。その言葉を胸に、片付けがんばります!
今回お話をお伺いしたのは……
- 株式会社カインズ
- https://www.cainz.com/jp/index.html